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2019年10月27日 (日)

ダウ平均株価とS&P500

以下は、米国の平均株価指数への投資に関心のある方の為の記事です(ちょっとややこしいので、関心ない方は読み飛ばしてください)。

さて、米国の平均株価指数に投資する場合、ダウ平均株価と、S&P500のどちらが良いのでしょうか。

   * * *

実はダウ平均株価とS&P500の違いについては、拙著の184~194頁に書きました。

ダウがたった30銘柄から成り立っているのに対し、S&P500は500銘柄をカバー。

S&P500がカバーする株式の時価総額は500社合計で24兆ドル(『こちら』)。

米国株式全体の8割(時価総額ベース)をカバーしています(『こちら』)。

一方、ダウは30社なので、時価総額の合計は8兆ドル。

米国株式全体の27%(時価総額ベース)をカバーするに過ぎません。

指数の算出方法もダウは基本的には株価平均型ベース(詳しくは『こちら』)、

一方、S&P500は時価総額加重平均型(詳しくは『こちら』)。

一般的には「指数としては株価平均型よりも時価総額加重平均型の方が優れている」と考えられています。

たとえば日経平均も株価平均型指数ですが、日経平均を動かそうとして、値がさ株であるユニクロ株を売買することなどがよく行われます(『こちら』)。

以上のようなことから、機関投資家はダウ平均株価よりもS&P500をよく使います。

にもかかわらず、新聞やテレビなどが報じる時にダウ平均株価の方をよく使うのは、ひとつにはダウが古くから使われていて馴染みがあるからです。

ダウ平均株価はいつ頃から使われているのでしょうか。

これが出来たのは1884年、つまり明治17年です。

日清戦争や日露戦争よりも前なのです。

1929年の大恐慌の時も使われていたのはダウ平均株価。

これに対して、S&P500が出来たのは、第二次世界大戦後の1957年です。

    * * *

実際のパフォーマンスはどうでしょうか。

過去30年で見ると、ダウのリターンは8.7%(年率平均)、S&P500は10.4%(出所は拙著186頁。18年11月末現在)。

一方、同じ30年間のリスク(標準偏差)はダウ13.9%(年率)、S&P500、14.1%(出所は上記と同じ)。

つまり平均株価の振れ幅(リスク)という側面ではダウ有利、しかしリターンではS&Pに軍配が上がっています。

もっとも同じ30年間で見て、日経平均はリターン▲0.9%、リスク20.8%ですから、ダウ、S&Pいずれを選んでも日経平均に比べればはるかに良いパフォーマンスを上げられたことが分かります。

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最近時(先週末)のデータで、過去5年間のパフォーマンス(リターン)を比較してみましょう。

   Dow-sp

青がダウ、赤紫がS&P500です。

先週末のデータで過去5年間の実績をプロットしたものですが、これを見る限り、ダウの方が勝っていることが分かります。

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最後に一言。

個人投資家の方が実際に投資する上では、ETFが経費率(例:投信でいう信託報酬など)が低くて好ましいと思います。

そういった意味では、ダウに投資する場合はスパイダー(SPDR)ダウ工業平均ETFが良いと思います

経費率は年0.17%、AUM(Asset under Mgmt)は218億ドル、2.4兆円。

証券コードDIAで購入できます。

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もっとも最近では、

「エリザベス・ウォーレン上院議員(民主党)が米国の大統領に選ばれれば、ダウ平均株価は25%ほど下落するだろう」

などと言われるようになってきました(『こちら』)。

投資の世界では3つの坂があると言われています。

上り坂、下り坂、そして

まさか。

投資をする前には勉強して納得してから投資をするのが望ましいと思います。

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2019年10月23日 (水)

iPhone11

日本ではあまり報じられていませんが、海外ではiPhone11の売れ行きが好調(『こちら』『こちら』の記事)。

このためアップルの株価は今月に入って、史上最高値を何度か更新。

22日(火)にはとうとう 241.95ドルにまで上がりました(もちろん史上最高値;米国時間22日11時25分現在)。

        Iphone11_20191022215201

         (Photo from Apple Japan's site)     

実は日本でもアップルストアの前には、銀座でも表参道でも長蛇の列。

これはiPhone11を買い求める客の列だそうで、iPhone以外の客(Apple Watchを買うなど)は、列に並ぶことなく店に入れます。

iPhone11を求めて列に並ぶ人たちの中には、中国の人も多く見受けられます。

中国でのiPhone11 Pro Max(64GB)の値段は9,599元(14万7千円;『こちら』)。

日本のアップルストアでは11万9800円(税別価格)ですから、並ぶ価値があるのかもしれません。

ところで、このiPhone11。

同じ日本の中でも、どこの店で買うかによって、値段がみんな違います(分割ではなく一括で買う場合で比較すると、最高値と最安値で2万円くらいの差が!)

キャリアのショップ(ドコモショップなど)に比べれば、アップルのサイトやアップルストアが安いようです(家電量販店はその中間?)

もっとも下取りに出すiPhoneがあったりすると、下取り価格も違ったりして、ちょっと複雑。

気になる方は事前に少しチェックしてみることをお勧めします。

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2019年10月22日 (火)

インビクタス(invictus)

インビクタス(invictus)はラテン語で、

「屈服しない」(undefeated)、

「征服されない」(unconquerable)

を意味します。

「人種差別は間違っている」。

こう主張したことで、国家反逆罪の判決を受けた「ネルソン・マンデラ」。

27年間に及ぶ獄中生活を余儀なくされました。

彼ほど、この単語が相応しい人物はいないでしょう。

「 I am the master of my fate, I am the captain of my soul」

(我が運命を決めるのは我なり、我が魂を制するのは我なり)

これは、英国の詩人ウィリアム・アーネスト・ヘンリーの詩「インビクタス」の一節ですが、

マンデラ自身、この詩の一部を自らのスピーチで使ったことで知られています。

   Nelson_mandela2008

(Photo: Wikimedia Commons; Attribution: South Africa The Good News / www.sagoodnews.co.za)

ところで、今朝の朝日新聞に「ラグビーが開いた新たな扉」と出して、

李淳馹(李スンイル)さんが寄稿していました(『こちら』;なお有料記事とありますので、もしかすると全文が表示されないかもしれません)。

今回のラグビーW杯における日本チーム活躍に関連しての寄稿文なのですが、

記事の中で、ラグビー映画「インビクタス」が引用されていました。

クリント・イーストウッドが監督した2009年の映画「インビクタス」。

1995年に南アフリカで開催された第3回W杯ラグビーを舞台とする映画なのですが、李さんの寄稿文はこの映画にも触れつつ、今回のW杯に関して、こう結んでいます。

『この大会の成功には日本チームの大躍進があったことは間違いない。

が、他の世界各国のチームの熱いプレーや紳士的な振る舞い、そしてなによりも彼らを分け隔てなくもてなし、彼らに好感を与えた日本の人々の姿に私はある種の感動を覚えている。

「日本人」ではないプレーヤーも多い日本チームに熱狂する人々の姿に、私は24年前の南アフリカ大会を思い起こし、この日本の国の何か新しい扉が開かれた気がしているのである』。  

歴史が少しずつ良い方向に変わっていくことを信じたい。

マンデラもそう思っていたに違いありません。

 

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2019年10月20日 (日)

デイリー新潮

昨日のデイリー新潮にインタビュー記事が掲載されました(『こちら』)。

『老後2千万円不足問題の最適解 50歳から「ダウ平均」に投資するメリット』という記事なのですが、

内容的には、拙著『人生100年時代の正しい資産づくり』のエッセンスを抽出したような記事になっています。

なぜ日経平均よりもダウ平均の方が高いリターンを上げてきたのか。

その理由は、上記のインタビュー記事や拙著に譲りますが、

たとえば日経平均の過去20年間の年率平均リターンが1.1%なのに比して、

ダウ平均は4.9%(myIndex、9月末データ)。

100万円を投資するとして、日経平均の方は20年後、124万円。

ダウなら260万円。

(もちろん、これは将来が過去の実績と同じリターンで推移するとの大胆な仮定での話。また為替レートは無視しています)。

もう少し分かりやすくグラフで示すと下記のようになります。

Dow

ピンク色がダウ、水色が日経平均です。

この間、例えば2013年3月には黒田東彦氏が日銀総裁に就任。

その後、13年4月に第一弾の「量的・質的金融緩和」、

14年10月に第二弾の「量的・質的金融緩和の拡大」、

16年1月に第三弾の「マイナス金利付き量的・質的金融緩和」、

と立て続けに「バズーカ砲」と称される大胆な金融緩和の施策を実施してきました。

にもかかわらず、ダウ平均の方が、より高いリターンを上げ得てきています。

まぁ、そうは言っても、大切なお金の話です。

投資の世界に足を一歩踏み出すか否かを含め、慎重に検討されることをお勧めします。

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2019年10月 8日 (火)

20年前のべゾス

アマゾンの創業者、ジェフ・べゾス。

CNBCは今年になって20年前のインタビュー動画をネット上に公開しました(『こちら』)。

6分30秒。

当時べゾスは35歳でした。

さすがに若いですね。

      Cnbc

(From https://www.cnbc.com/video/2019/02/08/jeff-bezos-1999-interview-on-amazon-before-dotcom-bubble-burst.html)

さて、インタビューが行われたのは、1999年7月13日。

アマゾンが上場してから2年が経っていました。

当時の株価は63ドル。

現在は1,732ドル(昨日)ですから、27倍になっています。

実はアマゾンは上場後も長い期間、赤字でした。

ちなみに、この年の赤字額は▲7.2億ドル(▲770億円)。

取扱商品も当時は今よりもずっと少なくて、書籍、音楽、DVD、ビデオのみ。

インタビューが行われた1999年7月に、ようやく玩具とエレクトロニクス(テレビ、PCなど)を始めたところでした。

現在ではアマゾンの稼ぎ頭となっているクラウド・サービスのAWS(Amazon Web Services)。

AWSも、もちろんまだありませんでした(AWSがlaunchされるのはこの7年後の2006年)。

インタビューにも出てきますが、当時のアマゾンの従業員数は3,000人。

それが現在では、200倍以上の647,000人に膨れ上がっています。

「あなたは激しいギャンブルをしている(You're making intense gambling here)」

とのインタビューアーの問いかけに対して、

「我々がやろうとしていることはひじょうに複雑な(complicated)ことです。

実際にビジネスを執行する上では、とてつもないリスクがあります(there is huge execution risk involved)」

とべゾスは回答。

しかしその目は自信に溢れていました。

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