ダウ平均株価とS&P500
以下は、米国の平均株価指数への投資に関心のある方の為の記事です(ちょっとややこしいので、関心ない方は読み飛ばしてください)。
さて、米国の平均株価指数に投資する場合、ダウ平均株価と、S&P500のどちらが良いのでしょうか。
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実はダウ平均株価とS&P500の違いについては、拙著の184~194頁に書きました。
ダウがたった30銘柄から成り立っているのに対し、S&P500は500銘柄をカバー。
S&P500がカバーする株式の時価総額は500社合計で24兆ドル(『こちら』)。
米国株式全体の8割(時価総額ベース)をカバーしています(『こちら』)。
一方、ダウは30社なので、時価総額の合計は8兆ドル。
米国株式全体の27%(時価総額ベース)をカバーするに過ぎません。
指数の算出方法もダウは基本的には株価平均型ベース(詳しくは『こちら』)、
一方、S&P500は時価総額加重平均型(詳しくは『こちら』)。
一般的には「指数としては株価平均型よりも時価総額加重平均型の方が優れている」と考えられています。
たとえば日経平均も株価平均型指数ですが、日経平均を動かそうとして、値がさ株であるユニクロ株を売買することなどがよく行われます(『こちら』)。
以上のようなことから、機関投資家はダウ平均株価よりもS&P500をよく使います。
にもかかわらず、新聞やテレビなどが報じる時にダウ平均株価の方をよく使うのは、ひとつにはダウが古くから使われていて馴染みがあるからです。
ダウ平均株価はいつ頃から使われているのでしょうか。
これが出来たのは1884年、つまり明治17年です。
日清戦争や日露戦争よりも前なのです。
1929年の大恐慌の時も使われていたのはダウ平均株価。
これに対して、S&P500が出来たのは、第二次世界大戦後の1957年です。
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実際のパフォーマンスはどうでしょうか。
過去30年で見ると、ダウのリターンは8.7%(年率平均)、S&P500は10.4%(出所は拙著186頁。18年11月末現在)。
一方、同じ30年間のリスク(標準偏差)はダウ13.9%(年率)、S&P500、14.1%(出所は上記と同じ)。
つまり平均株価の振れ幅(リスク)という側面ではダウ有利、しかしリターンではS&Pに軍配が上がっています。
もっとも同じ30年間で見て、日経平均はリターン▲0.9%、リスク20.8%ですから、ダウ、S&Pいずれを選んでも日経平均に比べればはるかに良いパフォーマンスを上げられたことが分かります。
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最近時(先週末)のデータで、過去5年間のパフォーマンス(リターン)を比較してみましょう。
青がダウ、赤紫がS&P500です。
先週末のデータで過去5年間の実績をプロットしたものですが、これを見る限り、ダウの方が勝っていることが分かります。
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最後に一言。
個人投資家の方が実際に投資する上では、ETFが経費率(例:投信でいう信託報酬など)が低くて好ましいと思います。
そういった意味では、ダウに投資する場合はスパイダー(SPDR)ダウ工業平均ETFが良いと思います
経費率は年0.17%、AUM(Asset under Mgmt)は218億ドル、2.4兆円。
証券コードDIAで購入できます。
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もっとも最近では、
「エリザベス・ウォーレン上院議員(民主党)が米国の大統領に選ばれれば、ダウ平均株価は25%ほど下落するだろう」
などと言われるようになってきました(『こちら』)。
投資の世界では3つの坂があると言われています。
上り坂、下り坂、そして
まさか。
投資をする前には勉強して納得してから投資をするのが望ましいと思います。
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