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2019年11月23日 (土)

昼間の人口と夜の人口

北米カナダのトロント市では、IT企業のグーグルがスマートシティの開発を進めています。

グーグルはレベル4の自動運転車を開発済みで、たとえばアリゾナ州フェニックスの郊外では600台以上もの自律走行車がすでに街中を走っています。

こうして培われた自動運転の技術と人工知能とを駆使して、グーグルはスマートシティを作ろうしているのです。

場所は、トロント市の中でもオンタリオ湖沿いの「ウォーターフロント地区」。

      Sidewalk-lab

        (Picture from Sidewalk Labs

このスマートシティでは、車が赤信号で待つことを極力なくし、温室効果ガスの排出を極限まで抑え込もうとしています。

具体的な数字を挙げますと、グーグルの当初計画によれば、温室効果ガスの排出は89%も削減できる、つまり従来を100とすると11で済むようにできるとのことです。

もっともグーグルのこの計画に対しては別な観点から批判が寄せられました。

「住民の顔を画像認識で把握すれば、プライバシーが損なわれる」だとか、「監視社会に繋がるのではないか」といった懸念です。

このためグーグルの計画は、現時点では当初に比べて、その規模がかなり縮小される見通しです。

こうした懸念や批判は重要で、グーグルとしては「プライバシーの遵守」に対して正面から答え、スマートシティが「監視社会」に繋がらないようにしていかなければなりません。

一方で、グーグルの計画のように(その実現の手段については今後さらに検討されるべきでしょうが)、世界のこれからの都市は、「環境負荷」に配慮し、「持続的成長」(Sustainable Growth)を目指すようなものになっていかなければなりません。

* * * *

こうした観点から日本の都市を見てみます。

例えば、日本の巨大都市「東京」。

ここは、はたして「環境負荷」に配慮し、「持続的成長」を目指すものになっているでしょうか。

公共交通機関が発達し、東京は「環境負荷」の観点から及第点を得られると主張する人もいます。

しかしそもそも東京の場合、「実際に住んでいる人口に比べて、昼間の人口があまりに多すぎる」というギャップの問題を抱えています。

この昼と夜の人口のギャップについて、具体的に数字を拾ってみます。

東京都がまとめた「東京都市白書2013-世界の諸都市と比較した東京の魅力」によりますと、千代田、中央、港の都心3区の昼間と夜の人口比率は、「夜1.0人に対して昼間6.2人」です。

一方で、この都心3区とほぼ面積が等しい(といっても1.4倍ほどになりますが)、ニューヨーク市マンハッタン区は「夜1.0人に対して昼間1.3人」です。

パリは夜、すなわち定住人口の方が多くて、「1.0人」対「0.8人」となっています。

ニューヨーク市マンハッタン区などに比べると、東京都心3区は5倍近くも昼間の人口が(定住人口との比較で)偏って多くなっていることが分かります。

都心3区の中でも、千代田区の昼間と夜間の人口比率は突出して歪になっています。

最近の国勢調査によりますと、千代田区は、「夜1.0人」に対して昼間はなんと「14.6人」です。

具体的には、千代田区に住む人、すなわち夜の人口は5万8000人。

これに対して、昼の人口は85万3000人。

毎朝、約80万人もの人が通勤電車や車などで、外部から千代田区にやってくるのです。

さて、昼と夜の人口が著しく違うと、「環境負荷」と「持続的成長」から、どうして問題となりうるのでしょうか。

温室効果ガスの排出などに関しては、具体的な数値を伴う調査結果を待たなければなりません。

しかしイメージ的にはこれが問題であることは容易に想像できると思います。

例えば東京都心部には毎朝、郊外から数多くの会社員が通勤してきます。

ターミナル駅には2分間隔で次から次へと、郊外から電車が到着し通勤客を吐き出していきます。

この電車は、今度は、次から次へと2分間隔で、ほとんどガラガラに近いような状態になって郊外へと帰っていきます。

人があまり乗っていない電車が列をなすようにして次から次へと走っていく光景は明らかに異様です。

しかしこのことは日本では意外にもあまり報じられていません。

昼間、東京のオフィス街で働く多くの人たちは、昼食時間になるとコンビニでお弁当やお握りを買い求めます。

東京都心3区だけでも、1,000店舗ものコンビニがあるのですが、昼食時にはこれらのコンビニはお弁当やお握りなどを買い求める会社員たちでごった返します。

当然のことながら、これらのお弁当は昼食時間に間に合うように、午前中には東京都心部にあるコンビニに届けられなくてはなりません。

毎朝、数多くのトラックが例えば茨木県や千葉県などの近隣県の工場でお弁当を積んで出発し、首都高を、列をなすようにして都心へと向かっていきます。

お弁当を届け終わった後のトラックは、多くの場合、帰りの積荷もあまりないままの状態で近隣県の工場へと戻っていきます。

住んでいる人に比べて、昼間の人口が突出して高いがゆえに、こうした現象が生じているのです。

さらに加えて、(環境負荷の問題とは直接リンクしませんが)昼間と夜の歪な人口構成は、ひとたび地震などで災害が起きると、東京の都心部が帰宅難民で溢れかえってしまうという問題も指摘しておかなければなりません。

* * *

現在、ニューヨーク、ロンドン、パリ、東京など、世界の主要都市は、より魅力ある都市になるべく努力しています。

A.T.カーニー、EIUシティグループ、Monocle、森記念財団などが、世界の主要都市を調査し、「世界の都市総合力ランキング」といったレポートを発信しています。

  Photo_20191123232401

   (出所:森記念財団「世界の都市総合力ランキング」

こうした調査機関は、都市を経済、文化交流、研究開発、居住性、環境、交通アクセスといった様々な諸点から評価しています。

このうち例えば、森記念財団が2019年11月19日に発表した「世界の都市総合力ランキング2019」によりますと、東京は「経済」、「文化交流」といった指標では世界4位となったものの、「環境」の指標では世界48都市中23位にとどまっています。

東京がこれから世界の主要都市と伍していくために、現在、各方面でいろいろな施策が講じられているとは思います。

その中の一つとして、現状あまり着目されていませんが、「昼間と夜の歪な人口構成を是正する」ための施策も検討されて然るべきであると考えます。

具体的には、都心部にも集合住宅を中心とする居住空間を今まで以上に設け、一方で、業務空間については抑制気味にするような政策的誘導を検討すべきだと思います。

ニューヨーク・マンハッタンの「アッパー・イースト・サイド」は豊かな居住空間を有することで知られています。このような街並みが東京にもあって良いと思いますし、何よりも居住空間と業務空間とが「心地よい比率」で存在していくことが、東京が都市として持続的に成長していくうえで必要であるように思います。

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2019年11月20日 (水)

暗い決算、光は差すか

昨晩出演した日経CNBCテレビ『日経ヴェリタストーク』ですが、『こちら』で動画をご覧になれます(13分です)。

    Photo_20191120205301

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2019年11月18日 (月)

2019年度上半期決算と今後の見通し

先週で日本企業の決算発表がほぼ終了しました。

11月7日(木)から14日(木)にかけての6営業日の間に、

上半期決算を発表した会社は、1,825社にものぼります。

これで、東京海上など今週以降発表する数社を除き、

ほとんどすべての3月末決算の会社が、上半期決算を発表し終えたことになります。

結果は・・?

ひとことで言うと、

厳しい決算が相次ぎました。

日経新聞の集計によると、上場企業の2019年度上半期連結純利益は、

前年同期比▲14%の減益。

製造業で見ると減益幅は▲31%にもなります。

各社が掲げる下期(10月~3月)の見通しはどうでしょうか。

日経の集計では、前年同期比+3%増と微増の見通し。

結果、2019年度通期の業績修正を発表した企業のうち、

製造業では4社に3社が下方修正でした。

しかし・・・。

こうした状況にもかかわらず、なぜか株価は好調です。

   N225

日経平均株価はここ3か月間で2万円台から2万3千円台へと、

3千円ほど値を上げてきました(上図)。

なぜでしょうか。

いくつか要因があるのですが、3か月前の時点では、

日本株全体が過小評価されていた点があげられます。

3か月前、つまり8月の時点では、日経平均の予想PERは11.5倍前後。

このときのマーケットを思い起こしてみると、

米中貿易摩擦の影響がどう出るか、

消費税の影響はどうか、といった具合に

不安要素が大きく、市場は極端に神経質になっていました。

そしてその後3か月間をかけて、予想PERが本来の水準と考えられている14倍に上がってきたことで、

「株価は3千円ほど値を上げてきた」

と見ることも出来ます。

もう一つの要因は、好調な米国の株価。

   Dow30

11月に入って、ダウ平均株価は史上最高値を繰り返し、

とうとう2万8千ドル台に突入しました(上図)。

こちらの方は予想PERが18.6倍(『こちら』)ですので、

さすがに「過熱気味である」と指摘する市場関係者が多くなってきています。

ダウに牽引される形で、日経平均にも買いが入り、

とくに日経平均の方はこれまでPERが低かったこともあって、

ある意味、安心して買い進められてきたのです。

結果、ここ3か月間で見ると、日経平均はダウ平均以上の値上がりを示現してきています(下図で青線が日経平均、赤紫がダウ)。

   Dow30-vs-nikkei225

実際、このところの東証における投資主体別売買動向を見ても、

ダウに牽引される形で(つまり海外勢によって)日経平均が値を上げてきたことがはっきりと窺えます(下表)。

   Photo_20191117233701

すなわち10月11日で終わる1週間から始まって、5週連続で、

個人投資家は売り越してきています(5週累計のネット売り越し額は1.3兆円)。

これをどの投資主体が買ったのかというと、

海外投資家です。

この同じ5週間で、海外投資家は5週連続で買い越し(5週累計のネット買い越し額は1.5兆円)。

つまり、10月中旬から11月中旬にかけては、海外勢が買いを入れることで、日経平均は値を上げてきたことが分かります。

今後の見通しはどうでしょうか。

日経平均の予想PERは14倍になってきたので、3か月前のような割安感はもはやなくなりました。

しかしダウが予想PER18.6倍と高値にあることを考えれば、ダウとの比較感から、もう少し上値を追えるのかもしれません。

いずれにせよ日経平均は今後もダウ平均株価にある程度連動する可能性が高いのですが、

問題はそのダウが今後どうなっていくか、です。

さすがにここまで高くなってくると高値警戒感も台頭してきています。

しかし各社の最近時四半期決算を一つひとつ追っていくと、マーケットがアグレッシブになるのもある程度納得がいきます。

ダウ平均に採用されている30社の個別決算ですが、IBM、キャタピラー、ボーイング、3Mなどの決算は悪かったものの、

アップル、マイクロソフト、P&G、ファイザー、インテル、ホームデポ、JPモルガンなどは好調。

総じて市場予想を上回る結果を上げたところが少なくありませんでした。

市場予想を上回る収益を上げることで株価が高くなる・・。

米国での高株価を演出しているのは、そんな実際の数字に裏打ちされた形での

「主要米国企業(ダウ構成銘柄)の高収益体質」であると見てとることも出来ます。

もちろんこれから先のことは、米中の貿易交渉の行方がどうなるかによって、大きく変わってきてしまうでしょう。

米中の貿易交渉がなぜそんなに重要なのか?

日本の方にはもうひとつピンとこないのかもしれません。

しかし例えば次のYouTubeの動画をご覧になってみてください(『こちら』)。

『もしも中国製のものがなければ、あなたの生活はどういったものになるのだろう』

米国の若者が作った、こんなタイトルの3分少々の短い動画なのですが、

『これ』を見ると、ナイキ(Nike)など米国企業の「中国製品」が、米国の消費者に如何に浸透しているかがよく分かります。

何もかもが「メイド・イン・チャイナ」だらけ。

そんな中で、高い関税を掛けたらどうなるのか・・。

こうした状況を是正したいがゆえに始めた米中貿易交渉でしたが、それはすなわち自らを苦しめることにも繋がってしまう。

米国のフラストレーションが伝わってきます。

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2019年11月10日 (日)

始まりはダーパのプロジェクトだった  (その2)

グーグルの自動運転プロジェクトは、現在グーグル(正式名称はアルファベット)の子会社「ウェイモ(Waymo)」で進められています。

ウェイモは全米6つの州、25の都市で自動運転プロジェクトを遂行。

そのうちの1つが、2017年以降、アリゾナ州フェニックス(Phoenix)の郊外で進められています。

現在、このプロジェクトが最も大規模な形で展開されていると言います。

フェニックスは、人口約170万人を擁するアリゾナ州最大の都市。

この郊外(東南)に位置するチャンドラー(Chandler)、テムピー(Tempe)、メサ(Mesa)といった市で、現在ウェイモの自動運転車が走行中(下図)。

数にして600台です。

   Az

チャンドラーの市長、ケヴィン・ハートキー(Kevin Hartke)氏によれば、

『ウェイモの車は市内の至る所で見受けられる。

街角に立っていれば必ずと言っていいほどウェイモが通り過ぎていくし、

2~3マイル走ればウェイモに出くわす』。

600台のウェイモ車はすべてクライスラーのミニバンを基本車体としています。

   Waymo

     (ウェイモの自動運転車;

      From https://www.cnbc.com/video/2019/08/17

この地域で登録した約1,000人の住民はウェイモ車を24時間いつでも呼びだし、地域内のどこにでも連れて行ってもらうことが出来ます。

実際にタクシーと同じように利用でき、もちろん有料です。

さらにこの地域では配車アプリの Lyft(リフト)が10台のウェイモ車を擁していて、

地域の人は誰でもリフトでウェイモ車を呼ぶことが出来ます。

なおこの地域のウェイモ車は、自動運転のLevel 4に分類されています。

   Level

CNBCは今夏、アリゾナにおけるウェイモ車の状況を放映、現在でも13分間の動画としてこれを見ることが出来ます。

百聞は一見にしかず。

まずはこの動画をご覧になってみてください(『こちら』です)。

さて日本でも自動運転の試みは進められています。

例えば、今年の11月2日、大津市は公道を使ったバスの2度目の自動運転の実証実験を始めました。

バスは大津駅を出発し、湖岸沿いを通ってびわ湖大津プリンスホテルまでの約3.6キロのコースを、最高時速約40キロ、曲がり角も試しながら走行しました(『こちら』)。

アリゾナのウェイモ車と違って、決まったコースしか走ることが出来ませんが、今後が期待できます。

欧州ではどうでしょう。

メルセデス・ベンツのダイムラー社は、先月1日、

「来年公表予定の新しいSクラスは、規制当局によって認定される最初のレベル3車になるだろう」

と発表しました(『こちら』)。

すでにアウディは同様のレベル3車を開発済みですが、ダイムラーのカレニアス会長によれば、

「当局から認可を受けるのは当社の方が先だろう」

とのこと(『こちら』)。

ちなみにアウディ車についてはせっかくレベル3の機能を開発したものの、自動運転を受け入れるための法整備が遅れているとの記事が昨年配信されていました(『こちら』)。

自動運転車の開発を巡っては、本来競争関係にあるダイムラー社とBMWがコラボするといったことも起こってきており(『こちら』)、まさに「何でもあり得る」といった状況になってきています。

ところで、

話は変わりますが・・・。

前回の自動運転車の記事で登場したセバスチアン・スラン。

彼はいま何をしているでしょうか。

スランは、キティ・ホーク(Kitty Hawk)という会社を起業しました。

この会社は、空飛ぶタクシーとも言うべき自動操縦の無人小型飛行機を開発。

グーグルのラリー・ペイジのサポート(恐らくは出資)も得ています。

『こちら』でキティ・ホーク(Kitty Hawk)が開発した無人操縦の空飛ぶタクシー「コラ(Cora)」の動画を見ることが出来ます(2分45秒です)。

自動運転車から無人操縦の空飛ぶタクシーへ。

スランのような常に一歩先を行く人が次の時代を切り開いていくのだと思いました。

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2019年11月 4日 (月)

始まりはダーパのプロジェクトだった  (その1)

ダーパ(英語で DARPA)。

米国国防高等研究計画局(Defense Advanced Research Projects Agency)の略称です。

ダーパは、インターネットやGPSの「産みの親」としても知られています(『こちら』『こちら』)。

自動運転車の場合はどうでしょう。

自動運転車については、すでに1980年代から、米、独、日などで開発が進められていました(1920代まで遡れるという説もあります;『こちら』)。

2003年、デンソーは、トヨタ自動車と共同で、ミリ波レーダーセンサーで前方車両や障害物との衝突を予測し、衝突前にシートベルトの巻き取りやブレーキ制御を行うシステムを開発しています(『こちら』)。

この技術は、同年2月発売のトヨタ・ハリアーに世界で初めて搭載されました。

一方、これとは全く別のアプローチで、最初から完全に無人の自動運転車の開発を考えたのがダーパ(DARPA)です。

2004年、ダーパ(DARPA)は、無人自動車による走行競技「ダーパ・グランド・チャレンジ(DARPA Grand Challenge)」を開催します。

米国議会は、このプロジェクトを「基礎研究と軍事利用との橋渡し(bridge)を担うプロジェクト」と認定、

プロジェクト勝者に賞金1百万ドル(約1億円)を授与することを認可します(『こちら』)。

つまり「ダーパ・グランド・チャレンジ」は、最初から、自動運転技術を軍事目的でも使うことを展望してスタートしたのでした。

走行競技における規定走行距離は142マイル(約230キロメートル)。

これを完全自動運転(無人車)でもっとも速く完走した車を開発したチームを優勝チームとし、賞金1百万ドル(約1億円)を授与する予定でした。

しかし・・・。

何台もの無人車が参加しましたが、残念なことに、142マイルの規定距離を走破出来た車は1台もありませんでした。

最も長い距離を走った無人車は、「サンドストーム(砂嵐)」と名付けられたカーネギーメロン大学の無人車。

この車は、参加した車の中で最長の距離を進みましたが、それでもたったの7マイル(11キロ)を走れただけ。

11キロ進んだ時点で岩にぶつかり、それ以上走ることが出来なくなりました。

この結果、2004年の「ダーパ・グランド・チャレンジ」では勝者はなく、どのチームも賞金を獲得することが出来ませんでした。

翌年もダーパは同種の競技を開催。

今度は賞金が2百万ドル(約2億円)に引き上げられていました。 

この間、たったの1年間ですが、実はこの1年間で状況は一変していました。

第2回目の「ダーパ・グランド・チャレンジ」では、なんと約200台の無人車が競技に参加。

このうち5台の車が規定走行距離(今度は132マイル;212キロ)を完走したのです。

このとき、もっとも速く完走し、走行競技「ダーパ・グランド・チャレンジ」を制覇したのは、スタンフォード大学の無人車でした。

「スタンレー(Stanley)」と名付けられたスタンフォード大学の無人車は規定走行距離を6時間54分(平均時速31キロ)で走破したのです(『こちら』)。

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    (スタンレー;From Wikimedia Commons

見事優勝を果たし、賞金2百万ドル(2億円)を手にしたのはセバスチアン・スラン(Sebastian Thrun;当時37歳)。

スタンフォード大学コンピューター・サイエンスの准教授(associate professor)で、無人車「スタンレー」を開発したチームのリーダーでした。

   Mdv2

   (ダーパのプロジェクトに優勝し喜ぶスラン;

    https://www.cnbc.com/video/2019/08/17

実は、ダーパのレース会場では、スランの快挙をじっと見守っていた人がいました(『こちら』)。

周囲に気づかれないように帽子をかぶり、サングラスをかけながら、レースをこっそり見に来ていた人物。

この人物こそがグーグル創業者の1人、ラリー・ペイジでした。

ペイジに説得され、2007年、スランはグーグルに入社します(『こちら』および『こちら』)。

そして2010年には、Astro Teller、Yoky Matsuoka(現パナソニック㈱・フェロー)とともにグーグルXを設立。

こうしてスランはグーグルでの自動運転車開発を牽引していくようになったのです。

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