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2019年12月23日 (月)

子どもを守るということ

安冨歩さん。

以下『#あなたを幸せにしたいんだ』より。

* * *

「私の両親は、私を立派に育てました。

誰よりも立派に育てたと思います。

彼らは必死で私を育てて立派な人間にしようとして、

そして(私は)京都大学に入って、住友銀行に入って2年半で辞めたんですけど、

で、大学院に入って博士号取って大学教授になって、最後、名古屋大学から東京大学の教授になるという、

立派なエリートコースを歩んで、両親は私を立派に育てたんですが、

でもその私は虐待のサバイバーだと思っています。

子どもを守るというのは、

私のような人間を作らないっていうことです。

私は、例えば京都大学に合格したときも、

私が34歳で最初に書いた博士号を取った論文を本にして、

日経・経済図書文化賞という賞を獲りました。

そういう賞のですね、受賞の連絡を受けたときも、

東大に職を得たときも、

これっぽっちも嬉しくなかったんです。

いつも私はそういったときには、ほっとしていました。

その日経賞っていう賞は大体、とっても功成り名遂げた立派な先生が受賞するような賞なんですけれども、

私は34歳のときにそれを受賞したんですが、

本を書いて出版したときに、

『この賞を獲らなかったら死ぬ』

って思ってました。

本当に怖くて、獲れなかったらどうなるんだろうと思ったときに電話がかかってかかってきてですね。

受賞したのでほっとしたんですね。

完全におかしいです。

成功する人間というのは、そういう人間です。

成果を上げなければ生きてる値打ちなんてないって、

心の底から思ってるから成果を上げられます。

東大や京大に合格するような勉強を、そんなことのために青春を捧げるのは、まともな人間には無理です。

合格しなかったら死ぬって思ってるから、合格するんです。

そんなふうに子どもを育てるのは虐待です。

考えてみてください。

この国はそういう学歴エリートによって指導されています。

私たちエリートは怯えています。

誰かに何かを言われるんじゃないかと思って、怯えています。

特に、自分に力を振るうことの出来る人に叱られるのに怯えています。

五十何歳にもなって、親から縁を切って十何年もたって、

東大教授で有名人なのに、

『あゆむ』という名前を呼ばれるだけで、

私は怯えるんです」(本書140-141頁)。

* * *

安冨さんは、「たびたび湧き起こる自殺衝動に

長らく悩まされてきたという」。

そんな安冨さんが「『解放』された転機のひとつが、離婚。

それと同時に両親とも絶縁すると、

自殺衝動は消えたという」(本書145頁)

* * *

以下、再び安冨さんの言葉。

「大人が好き好んで子どもに隠蔽された虐待を加えているわけではなく、

社会に適応できるように育てようとして、

やってしまっている。

つまり、社会システムの再生産のために誘導されて、

子どもに隠蔽された暴力を、

「良かれと思って」振るっているんです。(略)

恐ろしいことに、日本の子どもの自殺率は世界一です。

社会が隠蔽された暴力で満ちているので、

ガチで子どもを虐待する親も出てくる。

直接殴ったりせず、子どもを死に追いやる親もいる。

そういう恐ろしいことをやめないといけない。(略)

これからはインターネットの時代に合うような社会システムを考えないといけなくて、

それを子どもたちに考えてもらうしかない。

それに賭けるしかないので、子どもを叱るとか、ふざけんなと思うわけですよ。

なんで世界を救えない奴が、救うかもしれない人を叱ったりするんだよって(笑)。」(本書152-153頁)

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