社会的に責任のある役割を選ぶ(choosing a socially responsible role)
最近のスタンフォード大学ビジネススクールの卒業生たちの進路はどのような状況なのでしょうか。
ビジネススクールの就職報告書(『こちら』および『こちら』)によると、
2019年に卒業した409人のうち、企業などに就職したのは70%。
残りの30%は、
(1)自分で起業した(15%)、
(2)企業派遣でビジネススクールに来たため元の会社に戻った(8%)、
(3)博士課程に進むなど、引き続き学問を続けることにした(3%)など。
企業などに就職した人たち(70%)の就職先は:
・プライベートエクイティ、ベンチャーキャピタル、投資顧問などの Finance(金融系)(33%)
・グーグルなど Technology (テクノロジー系)(24%)
・マッキンゼーなどコンサルタント(18%)
・ヘルスケア(医療、医薬)(6%)
・運輸(4%)
私が卒業した1980年には進路先として投資銀行が多かったのですが、今では1%しかありません。
企業などに就職することを選んだ人たちの初任給の平均は:
2,720万円(基本給1,680万円、入社契約金310万円、賞与730万円)。
これは平均であって、年収の高い人は初任給でも9,900万円に達します。
特筆すべきは、18%の卒業生が、たとえ年収は低くとも、社会的に責任のある役割を選んだ(choosing a socially responsible role)。
この18%には、(1)就職先としてNPOなどを選んだ(2)自分で社会的に責任のある役割を果たすべく起業した
といったケースなども含まれます。
社会的に責任のある役割と言っても、イメージが掴みにくいかもしれません。
スタンフォード大学ビジネススクールの就職報告書(『こちら』および『こちら』)では、卒業生の一人、アビオドゥン・ブアリ(Abiodun Buari)さんの例を挙げています。
ブアリさんは、ナイジェリア、ラゴスの貧しい地域からやってきました。
(そもそもスタンフォードビジネススクールでは学生の41%が米国外の出身です)。
ブアリさんは、母国ナイジェリアで苦学して、最優秀とされる大学をひじょうに優れた成績(with distinction)で卒業。
しかし彼は多くの人に支えられて大学まで行けたことをけっして忘れなかったといいます。
ビジネススクールを卒業するにあたって、ブアリさんは次の3つを重視して進路を決めることにしました。
(1)貧しい人たちの生活の為に役に立つ仕事につくこと
(2)商品であれサービスであれ、アフリカに大きな足跡を残すものであること
(3)テクノロジー系の組織であること
「アフリカをもっと良くしたい。
アフリカの未来はテクノロジーにある。
アフリカにおいては、金融、農業、ヘルスケアの分野でテクノロジーが大きな役割をはたしているんだ」
ブアリさんはこう語ります。
そして職場として、Remitly Inc.という会社(『こちら』)を選びました。
(Remitly のウェブサイトより)
Remitlyは、モバイル・テクノロジーを使って海外送金を安価に、しかも安全・迅速に提供する会社です。
アフリカなどの途上国から先進国に出稼ぎや移民で来ている人たちがいます。
彼らの多くは、故郷の家族や親せきを養うために祖国へ送金をします。
こうした人たちにRemitlyのサービスを提供することで、いまなお貧しい国で生活する人たちや移民の人たちの生活を根本から変えたい(transformしたい)。
ブアリさんはこう考えて卒業後はRemitlyで働くことにしたのです。
「そもそも何故スタンフォードのビジネススクールに来ることにしたのですか」
こう質問する記者に、ブアリさんはこう答えたといいます。
「スタンフォードビジネススクールのキャッチフレーズ(tagline)にほれ込んだんですよ。
生活を変えよ、組織を変えよ、世界を変えよ
(Change Lives, Change Organizations, Change the World)
とのフレーズに、ね」
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