危機の中での1枚の手紙
「パロアルト(Palo Alto;スタンフォード大学がある)の町は、今日はひじょうに静かだ」
フェイスブックの友だちがこう投稿していましたが、コロナウィルスが米国でも人々の話題の中心になってきています。
会社を創業したばかりの起業家たちにとっては、これはとくに一大事。
会社基盤はまだまだ脆弱で、コロナの猛威で景気が後退すれば、会社の存立自体が危なくなるかもしれません。
そんな中、ベンチャーキャピタルとして著名なセコイア・キャピタルが、彼らの投資先の起業家たちに宛てた1枚のレターが関心を集めています。
セコイアと言えば、Apple、Google、Oracle、PayPal、LinkedIn、YouTube、Instagram、Yahoo! などの初期段階に投資して、これら各社を成長させたベンチャーキャピタルとして有名。
「2020年のブラックスワン」と題されたレターの中では:
- Drop in business activityに備えよ
- Supply chain disruptionsがあるかもしれない
- Softening demand にどう対応するか
- Cash runway が起きたらどうする?
- Contingency plans はもう作成したのか
- ビジネスを傷つけずに、どの分野でexpenses をtrimできるのか
- これから先、プライベートな Fundraisingはますます難しくなるぞ
- Sales forecastsは変更しなくて大丈夫か
- 人員(Headcount)削減を考えるべきか
- 設備投資(Capital spending)の変更は?
といった具合に、危機的状況のこの時期に、経営者がまず考えておくべき事項を懇切丁寧に説明。
そして、
「下り坂では売り上げや現預金残高は、常に経費よりも早く落ちていく(In downturns, revenue and cash levels always fall faster than expenses)」
と解説。
「困難な時期に環境変化に適応すべく、自信をもって素早く決断すべきだ。そうすることで後悔する人はいない(nobody ever regrets making fast and decisive adjustments to changing circumstances)」
と説いています。
「従業員はあなたのことを見ている。意味のない楽観主義に陥ることなく、科学的(臨床的)根拠に基づき、決断して実行せよ」
といったアドバイスも・・。
米国の創業者たちは、こうした(セコイアのような)メンター的なベンチャーキャピタリストの言葉によって鼓舞され、困難時の対応に関するアドバイスをもらっているんですね。
最後に印象に残ったのは手紙の中で語られた次の1節です。
「多くの、後に伝説となるような会社は、困難の中で、鍛えられ磨き上げられてきたんだ。
我々がシスコに投資したのは1987年のブラックマンデーの直後だ。
グーグルやペイパルは、ドットコムバブル崩壊(インターネットバブル崩壊)の中を頑張って切り抜けた。
もっと最近の例では、エアビーアンドビーや、スクエア、ストライプの各社は、まさにリーマンショックの最中に設立されたんだ」
「制約は(思考をつかさどる)心をフォーカスさせる、そして創造性を産み出す肥沃な土壌を提供するんだ(Constraints focus the mind and provide fertile ground for creativity)」
こうしたアドバイスを得られる米国の起業家たちが羨ましいです。
なおセコイアのレターの全文は『こちら』でご覧になれます。
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