« 底が見えない恐怖 | トップページ | コロナ・ウィルスを予言した1981年の小説 »

2020年3月 8日 (日)

危機の中での1枚の手紙

「パロアルト(Palo Alto;スタンフォード大学がある)の町は、今日はひじょうに静かだ」

フェイスブックの友だちがこう投稿していましたが、コロナウィルスが米国でも人々の話題の中心になってきています。

会社を創業したばかりの起業家たちにとっては、これはとくに一大事。

会社基盤はまだまだ脆弱で、コロナの猛威で景気が後退すれば、会社の存立自体が危なくなるかもしれません。

そんな中、ベンチャーキャピタルとして著名なセコイア・キャピタルが、彼らの投資先の起業家たちに宛てた1枚のレターが関心を集めています。

セコイアと言えば、Apple、Google、Oracle、PayPal、LinkedIn、YouTube、Instagram、Yahoo! などの初期段階に投資して、これら各社を成長させたベンチャーキャピタルとして有名。

「2020年のブラックスワン」と題されたレターの中では:

  • Drop in business activityに備えよ
  • Supply chain disruptionsがあるかもしれない
  • Softening demand にどう対応するか
  • Cash runway が起きたらどうする?
  • Contingency plans はもう作成したのか
  • ビジネスを傷つけずに、どの分野でexpenses をtrimできるのか
  • これから先、プライベートな Fundraisingはますます難しくなるぞ
  • Sales forecastsは変更しなくて大丈夫か
  • 人員(Headcount)削減を考えるべきか
  • 設備投資(Capital spending)の変更は?

といった具合に、危機的状況のこの時期に、経営者がまず考えておくべき事項を懇切丁寧に説明。

そして、

「下り坂では売り上げや現預金残高は、常に経費よりも早く落ちていく(In downturns, revenue and cash levels always fall faster than expenses)」

と解説。

「困難な時期に環境変化に適応すべく、自信をもって素早く決断すべきだ。そうすることで後悔する人はいない(nobody ever regrets making fast and decisive adjustments to changing circumstances)」

と説いています。

「従業員はあなたのことを見ている。意味のない楽観主義に陥ることなく、科学的(臨床的)根拠に基づき、決断して実行せよ」

といったアドバイスも・・。

米国の創業者たちは、こうした(セコイアのような)メンター的なベンチャーキャピタリストの言葉によって鼓舞され、困難時の対応に関するアドバイスをもらっているんですね。

最後に印象に残ったのは手紙の中で語られた次の1節です。 

「多くの、後に伝説となるような会社は、困難の中で、鍛えられ磨き上げられてきたんだ。

我々がシスコに投資したのは1987年のブラックマンデーの直後だ。

グーグルやペイパルは、ドットコムバブル崩壊(インターネットバブル崩壊)の中を頑張って切り抜けた。

もっと最近の例では、エアビーアンドビーや、スクエア、ストライプの各社は、まさにリーマンショックの最中に設立されたんだ」

「制約は(思考をつかさどる)心をフォーカスさせる、そして創造性を産み出す肥沃な土壌を提供するんだ(Constraints focus the mind and provide fertile ground for creativity)」

こうしたアドバイスを得られる米国の起業家たちが羨ましいです。

なおセコイアのレターの全文は『こちら』でご覧になれます。

|

« 底が見えない恐怖 | トップページ | コロナ・ウィルスを予言した1981年の小説 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



« 底が見えない恐怖 | トップページ | コロナ・ウィルスを予言した1981年の小説 »