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2020年4月29日 (水)

グーグルの1-3月期決算

グーグル(正式名称アルファベット)の1-3月期決算が日本時間29日の早朝に発表されました。

売上高(1-3月の3ヶ月間)412億ドル

(前年同期比+13%)

事前の市場予測(コンセンサス)は410億ドル。

Operating income 7,977百万ドル 

(前年同期比+21%)

(ただし Non-GAAP ベースでは ▲4%)

グーグルの決算を見る上では、GAAPベースと、Non-GAAPベースの両方に目を配る必要があります。

GAAPベースとは、Generally Accepted Accounting Principles の略。

「一般に(公正妥当と)認められた会計原則」を意味します。

グーグルの場合、前期決算において1,697百万ドルもの制裁金が欧州委員会によって課せられました。

このため前期決算はかなり悪化。

この悪化された前期と比較する(GAAPベース)と、今期のOperating incomeは+21%になります。

しかしそれでは本当の意味での「会社が稼ぐ力」を比較したことにはなりません。

そこで投資家は「前期に仮に制裁金が課せられなかったとした場合のケース」と比べて、今期の収益力を判断します。

その方が会社としての、より的確な収益力比較が出来ると考えるからです。

つまりNon-GAAP ベースの数字をより一層重視するわけであり、

その観点からするとグーグルのOperating incomeは前年同期比▲4%ということになります。

もう少し、決算を見ていきましょう。

1株当たり利益(EPS)9.87ドル

(前年同期比+4%)

(ただし Non-GAAP ベースでは ▲17%)

事前の市場予測(コンセンサス)は10.73ドル。

* * *

つまりグーグルの決算を一言で要約すると、

売上は予想以上に伸びたけれども、利益は事前予想と比べても前年同期と比べても期待外れ。

しかし市場はこの決算を好感し、グーグルの株価は After Hours の trade で8%も上昇。

もともと広告収入に頼るグーグルの決算は

新型コロナウイルス危機でかなり落ち込むこともあり得る

と考えられていました(事実、利益で見ると落ち込み)。

しかし投資家が注目したのは売上の中身。

やはり、というか、Stay Home の影響で、YouTubeを見る人が増えました。

YouTube広告は

前期3,025百万ドル

今期4,038百万ドル 

(前年同期比+33%)

もう一つ。

リモートワーク(つまり会社に通勤しない)が増えて、

クラウド・ビジネス全般に追い風になっています。

その結果、グーグルのクラウド収入は

前期1,825百万ドル

今期2,777百万ドル 

(前年同期比+52%)

グーグルは四半期ごとのguidance(今後の見通し)を発表していませんが、CFOの Ruth Porat は

 “Performance was strong during the first two months of the quarter, but then in March we experienced a significant slowdown in ad revenues.”

(1-3月期で、1-2月は良かったが、3月に入って広告収入がガクンと落ち込んだ)

と発言。

更に続けて、

“We are sharpening our focus on executing more efficiently, while continuing to invest in our long-term opportunities.”

(長期的な視野にたって投資を続けていくが、同時に更なる効率性を追求していく)

なおグーグルが発表した決算は『こちら』でご覧ください。

* * *

日本時間の明日、早朝には、マイクロソフトが1-3月期決算を発表。

アップルとアマゾンは、日本時間の明後日(金曜日)早朝に決算を発表します。

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