親切に電話してくれた外国人
東日本大震災のとき。
出版社で編集長を務めていたMさんが以下のようなメールを送ってくれました(詳しくは『こちら』)。
* * *
『終戦の混乱の中で、朝鮮半島にいた邦人の引き上げ時に一番罪深かったのは、「治安は確保されます」「市民は動揺せずに現地にとどまれ」というラジオニュースでした。
ソ連軍の南下を知らずに、ラジオニュースを信じてピョンヤンを動かずにいた人たちはその後、大変は目に遭いました。
たぶん、いつの時代も一般市民というのは、そんなものです。垂れ流される公式のメッセージをひたすら信じて・・・。
悲しいものです。』
* * * * * *
東日本大震災のときのことが今また蘇ります。
当時、知り合いのN社社長が電話してきて、
『岩崎さん、うちにフランス大使館に勤務する人と知り合いの社員がいるんだけど、在日フランス大使館が避難勧告を出したらしい。東京から一刻も早く離れろって』。
電話を切ると、またすぐに別の電話が鳴ります。
今度はフランス人でした。
『岩崎さん、フクシマの原発ヤバいよ。
在日フランス大使館から東京を即、離れろと避難勧告が出た』
『そうなの?だとしたら、もっと日本で報道されていいかも・・』
『それが、日本政府に配慮してかどうか知らないけど、大使館のホームページを見ても、フランス語だけ。
日本にいるフランス人は全員すぐに読めるけど、日本の政府関係者や報道関係者でフランス語をさっと読める人はそんなに多くないでしょ』
* * *
9年後。
4月3日付けの在日アメリカ大使館が『Health Alert(皆さん方の健康に関する警告)』を出しました。
『こちら』で全文をお読みいただけます。
以下、抜粋(邦訳は岩崎が訳したもの)。
U.S. citizens who live in the United States but are currently in Japan should arrange for immediate return to the United States, unless they are prepared to remain abroad for an indefinite period.
(無期限に海外に残るつもりの米国人の方は別として、米国に居住する米国民で現在日本にいる方はすぐに米国に帰国する手続きを取るべきです)。
The Japanese Government’s decision to not test broadly makes it difficult to accurately assess the COVID-19 prevalence rate.
(広範囲にわたっては新型コロナウィルスの検査をしないという日本政府の決定によって、日本での正確な感染状況を把握することが難しくなっています)。
While we have confidence in Japan’s health care system today, we believe a significant increase in COVID-19 cases makes it difficult to predict how the system will be functioning in the coming weeks.
(我々は現在の日本の医療システムを信頼しています。しかし新型コロナウィルスが著しく拡大している現状を鑑みるとこれから先、数週間後に日本の医療システムがどう機能しているのか予測するのが難しくなっています)。
在日ドイツ大使館も在日ドイツ人にメールを配信。
『検査数が少ないため、かなりの規模の未報告感染が発生していると考えられる』
と注意喚起していたとの報道が・・(『こちら』)。
* * *
もちろん「米国(新型コロナウィルス死者数16,700人)やドイツ(2,600人)の方が日本よりずっと危険だ」という意見の人も多いでしょう。
ただ検査数が少ないという海外からの批判には謙虚に耳を傾けた方が良いような気がします。
4月8日時点での東京都の検査実施人数366人。
これまでの累計で5,477人。
データはいずれも『こちら』の東京都のサイトから。
東京都の人口は1,400万人(『こちら』)。
人口100万人あたり391人。
1,000人当たり0.39人。
下図は人口1,000人当たりに直したPCR検査状況の国際比較。
図はクリックすると大きくなります。
これをまとめたのは、Our World in Data。
オックスフォード大学の研究者らで作る団体です(『こちら』)。
上図のグラフの出所は『こちら』になります。
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