GAFAMの決算(1-3月期)はどこも良かったのですが、29日以降の株価の動きをプロットしてみると次のようになります。

上図で、マゼンダ色がダウ平均株価推移でこの間+0.9%。
これを上回ったのは黄色のフェイスブック1社で+3.7%。
後は軒並み総崩れで、
青のグーグルは-2.2%、
紫のマイクロソフトは-2.5%、
緑のアマゾンは-4.2%、
茶色のアップルは-4.4%。
決算が良かったにもかかわらず株価が息切れしたのは、
(1)「アナリスト予想を上回る好決算」を市場は「事前に」予想し株価が「すでに」上がっていた(Amazonなど)
(2)市場はもっと大幅な驚き(blow out)を期待していた(これに応えたのはFacebookのみ)
(3)マーケット全体に高値恐怖症が出始めている
この(3)のところを敷衍すると:
(3-1)「経済が良くなる」と期待するアナリストは多いのですが、これは米国の状況であって、ワクチンで遅れを取る一部の国が世界全体の足を引っ張るのではないか・・。
(3-2)バイデンの経済政策は景気にプラスだが、この後に出てくる増税が景気の足を引っ張るのでは・・。
(3ー3)5月1日に開かれたバークシャー・ハザウェイの年次株主総会でウォーレン・バフェットが指摘したように、「人々が6か月前に予想した以上にインフレが進行している。そして人々はインフレを受容している」。つまりこれは、いずれは金利上昇に繋がるのではないか。
こういった諸点が重なって高値恐怖症が出て、株価はちょっとしたニュースに過剰反応するようになっています。
昨日の市場はイエレン財務長官の「金利を幾分上げざるをえなくなることもあり得るかもしれない」との発言に大きく反応。
実際のコメントは下記のように例によって注意深く綴られたものでしたが、GAFAMを中心に売りが殺到しました。
"It may be that interest rates will have to rise somewhat to make sure that our economy doesn't overheat, even though the additional spending is relatively small relative to the size of the economy,"
"It could cause some very modest increases in interest rates to get that reallocation, but these are investments our economy needs to be competitive and to be productive (and) I think that our economy will grow faster because of them."
市場の過剰反応を見て、イエレン長官は慌てて、すぐに下記(とくに青字部分)のように火消しに努めましたが、あまり効き目はありませんでした。
Yellen told a Wall Street Journal CEO Council event that she does not anticipate that inflation would be a problem for the U.S. economy and that any price increases would be transitory because of supply chain shortages and the rebound in oil prices to pre-pandemic levels.
Asked directly about her remarks on rates, Yellen said she was neither predicting nor recommending a rate rise.
"If anybody appreciates the independence of the Fed, I think that person is me," Yellen said.
"I don't think there's going to be an inflationary problem. But if there is the Fed will be counted on to address them," she added.
(3-1)のワクチンのところも問題です。米国では、「ワクチンが余ってしまい18万回分のワクチンが廃棄されている」との報道も(『こちら』)。
米国スタンフォード大学近辺でも、
『Stanford Medical Center will have a lot of Pfizer vaccines leftover today at 505 Broadway in Redwood City. Come before 3:30pm! They will take anyone!』
といった案内が回ってきたり、『カリフォルニアに住む全ての16歳以上はワクチンが受けられるので受けるように』(『こちら』)との案内がなされる状況。
実際にワクチンによって新規感染者は下図の通り激減しており、カリフォルニア州では、かつては1日の新規感染者が6万人を超えることもありましたが、今やその 3% の1,824人(『こちら』)。

『しかしこれは米国の状況で世界経済は連動していることを忘れてはいけない。米国の状況を見て、経済は急回復すると過信してはいけない。(昨日の)株式市場はそういったことを我々に認識させてくれる』
昨日の米国の経済番組ではコメンテーターがこうコメントしていましたが、米国民がそう認識するのであれば、もう少し積極的にワクチンが他国に回るようにして欲しいと思ってしまいました。