創造的破壊(Disruption)
成功している企業が、今までの成功体験を捨て去ることは結構難しいものです。
2012年、マーク・ザッカーバーグは、PCベースのサービスから、モバイル・インターネット上のサービスに強引にシフトすると宣言。
同時に大胆な社内改革を実施しました(詳しくは『こちら』の記事)。
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(以下、記事からの引用)
『ザッカーバーグ自らがラップトップを使うのを止め、モバイルを使って仕事をするようにしました。
プロダクト・マネージャーたちもデスクトップではなくモバイルを使い、社内ミーティングで従業員が社の新しいプロダクトを発表する時、モバイル版からの説明を要求されました。そうでなければ、ミーティングは即座に中止となったのです』
(He all but abandoned his laptop and started working primarily from a mobile device. Product managers disabled their own desktop versions of Facebook, forcing themselves to use the mobile version instead. In meetings, Zuckerberg expected employees to present the mobile version of new products first. If they didn’t, the meeting was over.)
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それから2年弱。
2013年12月の段階で、フェイスブックのActive Users は12億3000万人。
うち77%がモバイルユーザーでした。
現在は・・というと、
フェイスブックのActive Users は28億9000万人。うち99%がモバイルユーザーです(下図)。
さて、モバイル・インターネットの時代にソーシャル・メディアのプラットフォームを提供することで成功してきたフェイスブックですが、
マーク・ザッカーバーグは『次の章(the next chapter)に行く』と宣言。
『ソーシャル・メディアの会社から、メタバースの会社になる』ことを目指すと発言して注目を浴びています。
詳しくはマーク・ザッカーバーグの『こちら』のインタビューをお聞きください。
(上記をクリックするとSpotifyの画面が出てきますが、Spotifyに登録することなく、マーク・ザッカーバーグのインタビューを聞くことが出来ます。画面上でスクロール・ダウンしてみてください。なおインタビューは43分。英語を聞くのが苦手な人は、『こちら』をどうぞ。インタビューの内容が記事にまとめられています)。
メタバース(metaverse)とは、meta(超越した)と universe(世界)の合成語。
インターネット上に構築される仮想の三次元空間で、現状のネットが「人々が見る」ことが出来る世界であるのに比べて、メタバースは人々が、「その中に入り込める」のが特徴。
実社会と仮想空間が一緒になったサイバー空間のコミュニティーと説明する人もいます。
現在、すでに仮想のショッピングモールに入り込んで、そこで店員さんのアバターと会話して、幾つかの商品を見せてもらって、気に入ったらクリック。すると、その商品が実際に自宅に送られてくるといったことが行われています。
これなどは、メタバースの一例と言えるでしょう。
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マーク・ザッカーバーグが言うように、メタバースが次の大きなトレンドになるかどうかは、分かりません。
しかしフェイスブックにせよ、グーグルにせよ、GAFAMと称される Big Tech は、現在の成功に安住することなく、創造的破壊(Disruption)を行いながら、進化を遂げてきました。
グーグル(持ち株会社アルファベット)のWebsite(『こちら』)を開くと、最初に飛び込んでくるのが、ラリー・ペイジの次の言葉です。
『企業というのは長くやっていると同じようなことをやることで満足してしまう。改善・改良といったちょっとした変化で満足してしまうのだ。しかしテクノロジーの業界では革命的なアイデアが次の大きな成長へと繋がる(従って現状を快適に思うよりも、むしろ不安でいることくらいが必要だ)。』
(We’ve long believed that over time companies tend to get comfortable doing the same thing, just making incremental changes. But in the technology industry, where revolutionary ideas drive the next big growth areas, you need to be a bit uncomfortable to stay relevant.)
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GAFAMと称される Big Techの今後がどうなるかは誰にも分かりません。
しかしポイントは、「彼らが現状に満足することなく、イノベーションを起こし続けられるかどうか」だと思います。
そうやって彼らは現在の地位に上りつめたのですから。
先週火曜日の日経CNBCテレビ、日経ヴェリタストークではそんなことを話しました。
『こちら』です。
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