« 2021年9月 | トップページ | 2021年11月 »

2021年10月30日 (土)

卒業生の0.3%がユニコーンを設立

ユニコーンとは時価総額が10億ドル(1130億円)以上の未公開企業(通常、創業10年以内)。

世界中で多くの起業家たちがユニコーンを設立しようと頑張っています。

日本では例えばディープラーニングの研究と開発を行う「株式会社Preferred Networks」が時価総額3500億円を超えると考えられています(『こちら』)。

「米国のビジネススクール卒業生たちは、はたしてどのくらいの割合でユニコーンを創業したのか」。

この点について、Ilya Strebulaev教授が調べました(『こちら』)。

調査結果によると、1997年から2019年までの間に、ユニコーンになったのは米国で538社。

これら538社のユニコーンを創業したのは、1356名(注:2~3人で共同して創業するケースが多いので会社の数より創業者の人数が多くなる)。

1356名の創業者のうち、ビジネススクールの卒業生は238名(注:在学中に起業して卒業しない人や、そもそもビジネススクールに行かない人が多い)。

トップのスタンフォードでも、卒業生1000人当たり3人でした。

下図は、トップ12校のグラフです。

Unicorn

| | コメント (0)

2021年10月23日 (土)

新規感染者数

海外の友人たちが「日本は最近調子良いじゃないか」と言うので、

新型コロナの1日当たりの新規感染者数(2日前のデータ)を調べてみました(出所は『こちら』)。

赤字は1万人を超えたところです。

米国     86,558

ロシア        36,339   

中国                  21

インド   15,759

ブラジル     16,852

英国           51,819

ドイツ        17,838

フランス       6,127

スペイン       1,881

韓国             1,441

シンガポール       3,439

台湾                   2

ニュージーランド       102

オーストラリア         2,545

日本                397

| | コメント (0)

スナップチャット・ショック

友だちと話すとき、会話が全部録音されているとしたら、その友だちとはもう話したくないですよね。

自分が話したり、書いたり、写真投稿したりすることが、「記録されて残ってしまう」というのは、時として苦痛です。

スタンフォード大学の学生だったエヴァン・シュピーゲル(現在のスナップチャットCEO)とレギー・ブラウンは、時間が経つと消えてしまう投稿サイトのアイデアを思いつきます。

これがスナップチャットの出発点。

Snap

 (From Wikipedia and Wikimedia Commons)

エヴァン・シュピーゲルといっても、日本ではあまり馴染みがないかもしれません。

日本のテレビCMによく出ていたミランダ・カー。

彼女が俳優のオーランド・ブルームと離婚した後に再婚した相手がエヴァン・シュピーゲルです。

さて、話をスナップチャットに戻します。

投稿が短時間で消えるという機能は、米国の若い層を中心に多くのユーザーに受け入れられ、2012年の段階で1日に3千万回も利用されるようになりました。

しかしスナップチャットのこのアイデアは、すぐさまインスタグラムに模倣されるようになります。

そうです。インスタのストーリーズ機能です(2016年8月スタート)。

スナップチャットはそれでも2017年3月に上場を果たし、株価も初値の26ドルから75ドル(2021年10月21日)まで順調に上昇してきました。

そして一昨日、10月21日の市場終了後(米国時間)。

スナップチャットは第3四半期決算を発表します。

売上は対前年同期比57%増とまずまずの内容だったのですが、

今年アップルが導入していたプライバシーポリシーの変更が同社の決算を直撃していたことが分かりました。

アップルは、スナップチャットなどの企業がiPhoneユーザーの行動を把握し、そのデータに基づいた広告を表示することを、各ユーザーの判断で防げるように変更していたのです。

スナップチャットのシュピーゲルCEOは、投資家との電話会議で

「アップルによるプライバシーポリシー変更で、追跡型広告(iOS ad tracking)が従来と変わってしまい、予想していたような業績を出せなかった」

と発言。

更に、第4四半期のガイダンス(業績見込み)についても

「アップルのiOS上でのターゲット広告が難しくなり 広告主が広告効果を測定・管理することがより困難になった」

と、投資家にとってdisappointingな内容をコメント。

株価は昨日一日で26%も下落してしまいました。

アップルによるプライバシーポリシー変更がスナップチャットの株価を一日で26%も急落させるのならば、似たように広告収入に依存するフェイスブックやツイッター、グーグル(親会社アルファベット)なども無傷ではいられない筈。

投資家はそう考えて、これらの会社にも一斉に売りを浴びせました。

結果、昨日一日で各社の株価は以下のように下落(After Hour Tradingベース)。

スナップチャット ▲26.7%

フェイスブック ▲5.2%

ツイッター ▲4.9%

グーグル ▲3.2%

さて、実際のところ、フェイスブックなどの第3四半期決算はどういった内容になるのでしょうか。

発表日は(米国時間ベースで)、

フェイスブック 10月25日(月)

ツイッター 10月26日(火)

グーグル 10月26日(火)

と続きます。

| | コメント (0)

2021年10月16日 (土)

▲0.2%ではなくて、+0.7%

米国時間で昨日、気になったニュースを3つほど。

【1】9月の全米小売売上高は事前予想の▲0.2%(対前月比)ではなくて、+0.7%であったことが判明。

対前年同月比で13.9%の増加(『こちら』)。

 Consumer-spending

予想外の好調な数字で、昨日のアマゾンの株価は3.3%上昇。

【2】昨日はゴールドマンの決算が発表されました。

7-9月期決算では純利益が前年同期比6割増。

このままのペースでいけば年間ベースで過去最高益となることが確実視されてきました。

ポイントは投資銀行部門の収益で前年同期比88%増。

M&Aの手数料や株式引受手数料が好調とのことで、企業の資本活動の活発化が背景にあります。

【3】来年の米国年金(Social Security)も発表になっています(『こちら』)。

今年に比べて5.9%の増加。

米国人(年金受給年齢到達者)の88%がSocial Security の年金をもらっているとのことで、しかも下図のようにCost of Living Adjustments に従って、支給額はこれまで毎年増額されてきています。

 Cola

日本人にとっては少々羨ましく思えるニュースでした。

| | コメント (0)

2021年10月 9日 (土)

クイズ

以下の株式はそれぞれ5年間で次のように値を上げました。

(1)アマゾン→3.6倍

(2)アップル→2.1倍

(3)アルファベット(グーグル持ち株会社)→3.0倍

(4)マイクロソフト→2.5倍

以上の実績を踏まえた上で、あなたが今後5年間を見通して株式投資をする場合、これらの株式に投資をしますか。

*********

以上がクイズの内容なのですが、答えは昨日の日経新聞(電子版)に( →『こちら』)。

10日(日曜日)発売の日経ヴェリタス紙に同じものが掲載されます。

| | コメント (0)

2021年10月 8日 (金)

You have been quoted

この英語は『あなたの発言が記事になって引用された』という意味なのですが、『新聞に出ていたね』とか『雑誌で名前を見たよ』といったニュアンスで使われます。

投資銀行時代。

ニューヨークから出張でやってきた米国人幹部にこう言われたのを思い出して、かつてこのブログの記事にしたことがあります(『こちら』)。

さて、本日発売の『週刊現代』

『日本経済と株価のこれから』という記事で、ほんの僅かですが私の発言が引用されています。

宜しければご覧になってみてください。

| | コメント (0)

2021年10月 4日 (月)

30年間変わらなかった平均年収

土曜日にご紹介した週刊エコノミストにJPモルガンの佐々木融氏が寄稿しています。

佐々木氏の記事を読み解くと、過去30年間、日本の平均年収は横ばい。

1991年 439万円

2020年 440万円

米国や英国はこの間、おおむね2.5倍に増えている。

この結果、佐々木氏によれば

『賃金が日本だけ上昇していないことに加えて、円が割安なままに放置され修正されなくなっていることから、日本は世界の中でジリ貧となっている』

『製造業の収益をかさ上げするために円安に誘導することに気を取られ、国内経済の本当の問題点に向き合ってこなかった』

(以上、ともに10/5付『エコノミスト誌』21頁より)。

その結果が以下のようなグラフ(出所:10/5付『エコノミスト誌』20頁)となって現れてきています。

Photo_20211004181801

 一刻も早く「令和版所得倍増計画」(それがどんなものか、よく分かっていませんが、とにかく働く人の所得を上げることが必要)を実行に移さなくてはなりません。

| | コメント (0)

2021年10月 2日 (土)

自国通貨の価値

過去10年間で日経平均は 3.4倍(8,545.48円 →  28,771.07円)。

一方で、ダウ平均は 3.2倍(10,655.30ドル →  34,326.46ドル)。

これをもってして、日経平均のパフォーマンスの方が良かったと言えるでしょうか?

仮にあなたが海外の投資家の場合、ドルベースで見ると、

10年間の日経平均のパフォーマンスは:

110.78ドル → 259.20ドル

つまり2.3倍にしかなっておらず、ダウで運用した方が良かったことになります。

一方、あなたが日本人の場合、

10年間のダウ平均のパフォーマンスは、

821,950円 → 3,810,237円

となり、4.6倍になっています。

これまたダウで運用した方が良かったという結果です。

これらの結果は10年間で為替が1ドル77.14円(2011年10月3日TTM)から111円(現在)に進んだ(円が安くなった)ことによるものです。

同じような観点から日本の純金融資産(1人当たり)をドルベースで見ると、図の濃い青線のように2011年をピークに少しずつ減ってきていることが分かります。

149oecd

      グラフは株式会社小川製作所のウェブサイト(『こちら』)より。

これに対して、アメリカやスイスがぐんぐんと伸びているのが目を引きます。

日本のマスコミは、日本の個人金融資産が過去最高になったと書き立てます(『こちら』)が、ドルベースで見ると違った景色となります。

為替が随分と円安になり、「ドルベースで見た日本人の持つ資産が減ってきている」(つまり日本人が相対的に貧しくなってきている)ことが分かります。

1990年代のことです。

当時のアメリカの財務長官のルービンは、クリントン大統領(当時)に対して、こう助言したと言われています。

「大統領としていろいろとやりたいことがあるのでしょうが、歴史に名を残したいのなら、ドル高政策を進めることです」。

それまでアメリカでは、ルービンのアドバイスとは真逆に、ドル安にすることこそがアメリカの輸出を促進し、貿易赤字を解消すると考えられていました。

財務長官に就任する前の四半世紀をウォール街のゴールドマン・サックスで過ごしたルービンの考え方は、これとは180度違っていたのです。

さて、目を再び日本に転ずると、

現在の為替レート(110円~112円)は、はたして適正と言えるのかどうか。

   Photo_20211002203001

先週の『エコノミスト誌』の『円安亡国、超円安時代』と謳う表紙が気になりました。

『こちら』にそのエッセンスが載っています。

| | コメント (0)

2021年10月 1日 (金)

ブレイクスルー賞

10月になりました。

来週月曜日(日本時間)からいよいよノーベル賞が発表になります。

ところで、これから先の将来、ノーベル賞の対抗馬となるのかどうか、ブレイクスルー賞(『こちら』)について・・。

少し前のニュースですが、9月9日に発表されました。

受賞者は5つの分野にわたり、賞金は各受賞分野(複数人のケースも)につき3億円、賞金総額は約15億円にも及びました。

(日本の新聞には香取教授と望月教授の受賞のニュースしか伝わらず、全体像が分からなかったので、まとめてみました)。

5つの受賞分野のうち、生命科学の分野では、次の3分野に生命科学ブレイクスルー賞が授与されました。

(1)mRNA therapies関連の功績で、Katalin Karikó氏(独ビオンテック社) and Drew Weissman(米ペンシルバニア大学教授)

            Katalin-kariko

           Katalin Kariko(From Wikimedia Commons) 

(2) the next generation sequencing technologiesで、 Shankar Balasubramanian(ケンブリッジ大学教授), David (ケンブリッジ大学教授) and Pascal Mayer(仏企業AlphanososのCEO)

(3)amyloid diseasesの研究でJeffery W. Kelly教授

次に、

(4)基礎物理学ブレイクスルー賞は東大の香取秀俊教授と米国NIST(国立標準技術研究所)とコロラド大学のJun Ye氏。

(5)数学ブレイクスルー賞は京大の望月拓郎 数理解析研究所教授。

5つの受賞分野のうち、2つまでがCovid-19関連というのが特徴的。

また日本人が2名選出されたのも嬉しいニュースでした。 

ところで、ノーベル賞の方は、

(1)ノーベル文学賞選考関係者の夫にレイプ疑惑が浮上、2018年文学賞選考が見送られた

(2)平和書について政治的だとの批判がある(『こちら』

(3)数学賞がない

といったことがこれまでも言われてきました。

権威という観点からすれば、ノーベル賞の右に出る賞はないのでしょうが、ブレイクスルー賞が最初に発表されてからもうすでに9年。

年を追うごとに注目度が高まってきました。

ノーベル賞に対してブレイクスルー賞という「競争相手が出てきた」というのは、望ましいことだと思います。

と言いつつ、やはり来週から毎日発表されていく今年のノーベル賞に注目してしまします。

| | コメント (0)

« 2021年9月 | トップページ | 2021年11月 »