友だちと話すとき、会話が全部録音されているとしたら、その友だちとはもう話したくないですよね。
自分が話したり、書いたり、写真投稿したりすることが、「記録されて残ってしまう」というのは、時として苦痛です。
スタンフォード大学の学生だったエヴァン・シュピーゲル(現在のスナップチャットCEO)とレギー・ブラウンは、時間が経つと消えてしまう投稿サイトのアイデアを思いつきます。
これがスナップチャットの出発点。

(From Wikipedia and Wikimedia Commons)
エヴァン・シュピーゲルといっても、日本ではあまり馴染みがないかもしれません。
日本のテレビCMによく出ていたミランダ・カー。
彼女が俳優のオーランド・ブルームと離婚した後に再婚した相手がエヴァン・シュピーゲルです。
さて、話をスナップチャットに戻します。
投稿が短時間で消えるという機能は、米国の若い層を中心に多くのユーザーに受け入れられ、2012年の段階で1日に3千万回も利用されるようになりました。
しかしスナップチャットのこのアイデアは、すぐさまインスタグラムに模倣されるようになります。
そうです。インスタのストーリーズ機能です(2016年8月スタート)。
スナップチャットはそれでも2017年3月に上場を果たし、株価も初値の26ドルから75ドル(2021年10月21日)まで順調に上昇してきました。
そして一昨日、10月21日の市場終了後(米国時間)。
スナップチャットは第3四半期決算を発表します。
売上は対前年同期比57%増とまずまずの内容だったのですが、
今年アップルが導入していたプライバシーポリシーの変更が同社の決算を直撃していたことが分かりました。
アップルは、スナップチャットなどの企業がiPhoneユーザーの行動を把握し、そのデータに基づいた広告を表示することを、各ユーザーの判断で防げるように変更していたのです。
スナップチャットのシュピーゲルCEOは、投資家との電話会議で
「アップルによるプライバシーポリシー変更で、追跡型広告(iOS ad tracking)が従来と変わってしまい、予想していたような業績を出せなかった」
と発言。
更に、第4四半期のガイダンス(業績見込み)についても
「アップルのiOS上でのターゲット広告が難しくなり 広告主が広告効果を測定・管理することがより困難になった」
と、投資家にとってdisappointingな内容をコメント。
株価は昨日一日で26%も下落してしまいました。
アップルによるプライバシーポリシー変更がスナップチャットの株価を一日で26%も急落させるのならば、似たように広告収入に依存するフェイスブックやツイッター、グーグル(親会社アルファベット)なども無傷ではいられない筈。
投資家はそう考えて、これらの会社にも一斉に売りを浴びせました。
結果、昨日一日で各社の株価は以下のように下落(After Hour Tradingベース)。
スナップチャット ▲26.7%
フェイスブック ▲5.2%
ツイッター ▲4.9%
グーグル ▲3.2%
さて、実際のところ、フェイスブックなどの第3四半期決算はどういった内容になるのでしょうか。
発表日は(米国時間ベースで)、
フェイスブック 10月25日(月)
ツイッター 10月26日(火)
グーグル 10月26日(火)
と続きます。