自国通貨の価値
過去10年間で日経平均は 3.4倍(8,545.48円 → 28,771.07円)。
一方で、ダウ平均は 3.2倍(10,655.30ドル → 34,326.46ドル)。
これをもってして、日経平均のパフォーマンスの方が良かったと言えるでしょうか?
仮にあなたが海外の投資家の場合、ドルベースで見ると、
10年間の日経平均のパフォーマンスは:
110.78ドル → 259.20ドル
つまり2.3倍にしかなっておらず、ダウで運用した方が良かったことになります。
一方、あなたが日本人の場合、
10年間のダウ平均のパフォーマンスは、
821,950円 → 3,810,237円
となり、4.6倍になっています。
これまたダウで運用した方が良かったという結果です。
これらの結果は10年間で為替が1ドル77.14円(2011年10月3日TTM)から111円(現在)に進んだ(円が安くなった)ことによるものです。
同じような観点から日本の純金融資産(1人当たり)をドルベースで見ると、図の濃い青線のように2011年をピークに少しずつ減ってきていることが分かります。
グラフは株式会社小川製作所のウェブサイト(『こちら』)より。
これに対して、アメリカやスイスがぐんぐんと伸びているのが目を引きます。
日本のマスコミは、日本の個人金融資産が過去最高になったと書き立てます(『こちら』)が、ドルベースで見ると違った景色となります。
為替が随分と円安になり、「ドルベースで見た日本人の持つ資産が減ってきている」(つまり日本人が相対的に貧しくなってきている)ことが分かります。
1990年代のことです。
当時のアメリカの財務長官のルービンは、クリントン大統領(当時)に対して、こう助言したと言われています。
「大統領としていろいろとやりたいことがあるのでしょうが、歴史に名を残したいのなら、ドル高政策を進めることです」。
それまでアメリカでは、ルービンのアドバイスとは真逆に、ドル安にすることこそがアメリカの輸出を促進し、貿易赤字を解消すると考えられていました。
財務長官に就任する前の四半世紀をウォール街のゴールドマン・サックスで過ごしたルービンの考え方は、これとは180度違っていたのです。
さて、目を再び日本に転ずると、
現在の為替レート(110円~112円)は、はたして適正と言えるのかどうか。
先週の『エコノミスト誌』の『円安亡国、超円安時代』と謳う表紙が気になりました。
『こちら』にそのエッセンスが載っています。
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