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2021年11月 6日 (土)

開発競争

10月1日、メルクは、開発中の新型コロナウイルス経口治療薬「モルヌピラビル」について、重症化の恐れがある患者の入院や死亡のリスクを約50%減らす効果があるとの中間臨床試験結果を公表。

これを受け、メルクの株価は前日終値75.11ドルから当日始値81.56ドルへといきなり9%上昇。

さらにメルクの第3四半期決算が良かったこともあり、11月4日時点で株価は、90.54ドル(4日終値)を付けていました。

そこへ今度は競争相手ファイザーのニュース。

ファイザーは5日、開発中の新型コロナウイルス経口治療薬「パクスロビド」の中・後期臨床試験(治験)で、入院や死亡のリスクを89%低減させる効果が得られたとする中間結果を公表。

ファイザーの株価も5日、前日の終値43.85ドルに比し10%上昇して、48.09ドルの始値を付けました。

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PF-07321332(From Wikimedia Commons)

嬉しいニュースなのですが、

しかし・・・。

競争相手(ファイザー)の成功は自分たち(メルク)にとってマイナスに働きました。

ファイザーのこのニュースが伝わるや否や、メルクの株価は急落。

5日、前日の終値90.54ドルに比し9%下落して、82.29ドルの始値となってしまいました。

株式市場がメルクの新薬よりも「ファイザーの新薬の方が強力そうだ」と解釈したことも影響しているようです。

いずれにせよ「ワクチンに加えて、飲み薬も出来た」ということで、人類にとって新型コロナがインフルエンザ程度の脅威に落ち着くまで、あと一歩。

それにしても研究開発費を潤沢に使って、ワクチンや新薬を開発していく欧米の製薬会社。

逞しいというか、ちょっと羨ましいです。

なお日本勢では、塩野義が北海道大学との共同研究で3CLプロテアーゼ阻害薬を開発。新型コロナウイルスの増殖を抑制することが期待されています。現在、第2/3相臨床試験を実施中(『こちら』)。

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