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2022年1月22日 (土)

金利が上がれば株は下がる

金利が上がれば株は下がる。

これに対して、

「いや、いや違う。金利が上がるということは景気が良い証拠なので、株は上がる」と言う人や、

「過去の金利上昇局面では株価は上がった」と述べるエコノミストも多い。

たしかに金利以外の要因が強く働けば、金利上昇にもかかわらず、株が上がることはある。

しかし一般論として言うと、金利の上昇は株の下落要因だ。

理論的に言うと株価は、企業が上げる将来のフリーキャッシュフロー(FCF)を現在価値に割り戻したときの総和がベースとなって算出される。

そして金利の上昇は、FCFを割り戻す際の割引率(WACC)の上昇を意味する。

だから株価は下落する。

この辺のことは昨年11月12日の日経新聞(電子版)と11月14日の日経ヴェリタス紙に書いた(『こちら』。なお日経電子版の購読者ではなくても、登録(無料!)すれば読めます)。

さて、今週水曜日(19日;NY時間)、米国の10年もの国債利回りは一時1.9%まで上げた(その後、少し下落)。

ポイントはむしろこれから先だ。

どの程度の速度で、どこまで金利が上がるのか。

今後のFOMC(米連邦公開市場委員会)のスケジュールを概観しておこう。

まずは2022年第1回の会合が来週25~26日 に予定されている。

そしてその次(第2回)は3月15~16日。

米国の市場関係者の間では、これまでは「FRB(米連邦準備委員会)は3月のFOMCで金利を上げる。これが2022年の第1回目となる」と予想する向きが大半(95%!)を占めていた。

しかし「もしかすると来週かもしれない」と心配する向きも一部に出てきた。

何よりも米国では物価の上昇がキツく、FRBとして何らかの対応をせざるを得ないのではないか・・。

こう考える人が増えてきている。

相場がこのように下落基調にある中で、期待外れの決算を発表すれば、株は一気に売られる。

典型例がネットフリックス。

20日に決算を発表した後、株価は一気に(前日比で)▲25%以上も下落した(その後、少しは持ち直したが・・)。

これから先、マイクロソフト(1月25日)、アップル(1月27日)、アルファベット(グーグル)(2月1日)、メタ(フェイスブック)(2月2日)、アマゾン(2月3日)と決算の発表が続く・・。

相場の全般的な下落基調を覆すだけの好決算を発表できるのか、

それともネットフリックスのように沈没してしまうのか。

来週のFOMCと各社決算が今後のカギを握る。

ところで、こうした時に投資家が陥りやすい危険な考えとは・・。

1)もうこんなに下がったのだから、これより下がりようがない

2)株価はいつかは元の値段に戻ってくる

これらは私の言葉ではなくて、伝説の投資家、ピーター・リンチの言葉。

詳しくは昨日の日経新聞電子版の記事と明日発売の日経ヴェリタス紙に書いたので、関心ある方はお読みいただきたい(『こちら』)。

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