消費者物価の上昇
下のグラフは、セントルイス連邦準備銀行のオンライン・データ・ベース(FRED)による全米の消費者物価指数推移。
これは画像を貼りつけたものですが、実際にサイト(『こちら』)にいってグラフの上でカーソルを当ててみると、各月の数値が出てきて、結構使い勝手の良いグラフになっています。
これを見ると改めて最近の物価上昇の激しさが実感できます。
前年同月比7.5%の上昇というのは82年2月以来。
パウエル議長がインフレについて「transitory(一過性)という形容詞を使わないようにする(retire that word)」と述べたのは、昨年11月30日の議会での証言(『こちら』)。
ちなみに、これより27日前。
11月3日に公表されたFOMC statement (『こちら』)では
Inflation is elevated, largely reflecting factors that are expected to be transitory.
と一過性の言葉を使っていました。
この間のインフレ率の推移を見ると、
9月のインフレ率(対前年比)5.4%
(10月13日発表→11月3日のFOMC statementへと繋がっていく)
10月のインフレ率6.2%
(11月10日発表→11月30日のパウエル氏議会証言へと繋がっていく)。
そして以降のインフレ率は、
11月 6.8%(12月10日発表)
12月 7.0%(1月12日発表)
22年1月 7.5%(2月10発表)
といった具合に上昇し続けてきています。
FRBの役割は雇用の極大化と物価の安定にあります(『こちら』)から、
FRBとしては何としてでもインフレを抑え込まなければなりません。
しかしロシア vs. ウクライナ情勢など不透明な要因は多く、今後については予断を許さない状況。
* * * * *
こうした状況下で、株価について昨年末あたりから質問を受けることが多くなりました。
transitory と診断を下した昨年11月3日に比して、「もはやこの形容詞はretireさせる」と11月30日には議会証言している訳ですから、
FRBの政策は、よりhawkish(タカ派的)になっていくことが予想されます(『こちら』)。
このため、株価的には厳しい状況が続くことが予想されますが、さて個人投資家としてどうするか。
昨年末から年初にかけてこの種の質問を受けるたびに、私は
「今年は結構厳しい年になりますよ」といったことを話してきました。
ブログでも
といったようなことを書いてきました。
しかしこれは「耐える」ということであって「売ってしまう」ことを特に推奨している訳ではありません。
もちろんこの辺の判断は読者の皆さんにお任せしますが、
以下はチャールズ・エリスの「敗者のゲーム」からの引用です(38~42頁、なおカッコ内は私が書き加えた部分です)。
ご参考になるかどうか・・。
『運用の歴史を振り返ると、市場が大底から回復する最初の1週間に、
株式リターンのかなりの部分を得られることは明らかだ。
しかし、一般にタイミングに賭ける人々は、
(大底に至る過程で売ってしまっているので)その時にはすでに(株式の)手持ちがない
(よって)最もおいしい部分を手に入れられない。
(中略)36年間のデータに基づいて、
(中略)最も上昇したベスト10日(検証期間全体のわずか0.1%にも満たない)を逃すだけで、
リターンの平均水準は(年収益率)11.4%から9.2%へと低下する。
(中略)長期的に見て投資家が失敗する原因の一つは、
激しい下げ相場に遭遇しておじけづいて株から手を引いた結果、
先述のように、最大の上げ相場になった時に
参加する機会を逃してしまうことだ。
この教訓は明らかだ。
投資家は、「稲妻が輝く瞬間」に市場に居合わせなければならない』
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