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2022年7月16日 (土)

現預金を貯め込む企業

決算で史上最高益を上げたにもかかわらず、配当は据え置き、自己株式の購入をする訳でもない・・。

それだけではなく、

積極的な設備投資の計画もなく、従業員の給与が大きく上がる訳でもない・・。

こういった企業が結構あります。

その結果、何が起こるのでしょうか。

企業が持つ現預金が積み上がっていきます。

もう少し具体的な数字で見てみましょう。

TOPIX500で見た日本企業の持つ現預金は米国企業(S&P500)や欧州企業(STOXX600)のそれを大きく上回ります。

下記の2つのチャートがそれを物語っています。

1_20220716165501

2_20220716165701

なお、これらのチャートは経済産業省の『こちら』の資料(60頁、61頁)が出所となっています。

日本企業が欧米の企業に比べて現預金を多く抱えるということは、それだけ下駄を履いた経営をしているということです。

たとえ経営陣が間違った判断を下して、その結果、将来、企業業績が低下しても多額の現預金があれば安泰です。

しかし、残念ながら企業が持つ現預金からはリターンは生まれません。

株主が期待するのは、余った金は投資に回して事業を拡大して収益を生み出すのに使うか、

あるいは

投資先が見当たらなければ、配当金なり自社株買いの形で株主に戻してもらうことです。

米国の株主は経営者に対して「必要以上に現預金を抱え込むな」と声高に要求します。

聞き入られない場合には自らが会社を買収し経営陣を交替させようとする株主も現れてきます。

日本ではこうした市場による自浄作用が働きにくく、企業が持つ余分な現預金が寝たまま放置されてしまう傾向にあります。

その結果、上記のチャートのような状況が出現してしまうのです。

日本が欧米のように成長できないことの一因となっています。

詳しくは『こちら』の日経新聞記事、もしくは明日発売の日経ヴェリタス記事をご覧ください。

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