米国のインフレは終息へと向かうのか、それとも、まだまだなのか
【1】米国長期金利推移
米国の長期金利(10年もの国債利回り)は6月14日に3.483%をつけた後、下落に転じて、8月1日には2.606%をつけていました。
【2】為替レート推移
これに呼応するように、為替相場も7月14日、139.39円/$から、8月2日、130.39円/$へと円高に推移。
半月で9円も円高に振れたので、FXのトレードをされている方にとっては緊張する相場展開だったと思います。
こうした相場展開の背景には、FRBによる度重なる利上げで、米国は景気後退局面に入るのではないか(あるいはもうすでに入っているのではないか)との見方が台頭してきたことがあります。
【3】FRBによる利上げ推移
FRBによる利上げ推移を見ておきましょう。
(1)22年3月16日に0.25%利上げして、利上げ後:
0.25~0.50%(Fed Funds Rate target rate)
(2)22年5月4日に0.50%利上げして、利上げ後:
0.75~1.00%(Fed Funds Rate target rate)
(3)22年6月15日に0.75%利上げして、利上げ後:
1.50~1.75%(Fed Funds Rate target rate)
(4)22年7月27日に0.75%利上げして、利上げ後:
2.25~2.50%(Fed Funds Rate target rate)
【4】原油価格推移
一時は120ドルを超えていた原油価格(WTI)も88ドルにまで落ち着いてきました。
【5】消費者物価(CPI)推移
それでは肝心の消費者物価はどうなのかというと、7月のCPIは8月10日(8:30AM)の発表を待たなくてはなりません。
今年2月以降の推移は:
2月 7.9%
3月 8.5%
4月 8.3%
5月 8.6%
6月 9.1%
以下は2012年以降のCPI推移のグラフと表です。
【6】雇用統計
こうした中で昨日発表された米国の7月雇用統計。
非農業部門の就業者数は前月比で528,000人増加(事前予想250,000人)。
失業率も3.5%に低下。
以下、2012年以降の失業率推移のグラフと表です。
新型コロナのパンデミックが始まる前、米国での就業者数は152.5百万人いました。
それがコロナの影響で22百万人減少しましたが、今や、コロナ禍前の水準に戻ったと解されています。
以下は昨日のNY Timesのグラフ。
【7】どう読むか
こうした雇用の強さはどう解すべきなのでしょうか。
米国経済はまだ景気後退には陥っていないのではないか。
だとすると、心配になってくるのはインフレ率の方です。
7月の平均時給は前月比0.5%増となり、事前予想の0.3%増を上回りました。
一昨日までの段階では、次回のFOMC(9/20~9/21)には、0.5%の利上げを予想する市場関係者が多かったのですが、上記雇用統計の発表を受けて、一転、0.75%の利上げを予想する人が増えてきました(大半が0.75%を予想)。
こうした結果を受けて、
昨日1日で、10年もの米国債利回りは2.84%に跳ね上がりました。前日は2.676%でしたので、0.164%の上昇、率にすると6.13%(=0.164÷2.676)になります。
S&P500は、0.16%下落し、為替は135円へと2円近くも円安に触れました。
さて、10日(米国時間)に発表される7月のCPI。
これはいったいどういったものになるのでしょうか。
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