人手不足
欧米ではリオープン(経済再開)と称して、空運やホテル、レジャーなどで「リベンジ消費」が本格化。
しかし一方でその足かせとなっているのが人手不足。
英ヒースロー空港では、チェックインカウンターに長蛇の列ができ、預け入れ荷物が大量に放置されるなどの事態がおきました。
ドイツでは、7月27日に、ルフトハンザ航空がフランクフルトやミュンヘンのフライトを殆ど全てキャンセル。
理由は、人手が圧倒的に足りていない状況下で、空港のグランドスタッフが「やってられない」とばかり、1日だけですが、walk-out する形のストライキに打って出たことにあります(結果、従業員たちはその後、昇給を勝ち取りました)。
深刻な人手不足はなぜ起きているのでしょうか。
たとえば欧米の航空会社の場合、新型コロナのパンデミックが発生した際に、客室乗務員、空港のグランドスタッフなどの多くをレイオフしました。
その後、経済がリオープンするようになり、飛行機を再びどんどん飛ばすような状況になっても、レイオフした人たちは簡単には戻ってくれません。
この2~3年の間に(レイオフされた)多くの人たちはすでに他で職を見つけて、そこで働いているからです。
それでは新規の採用をすぐにかければ良いではないか。
こう思う方も多いでしょう。
しかし、新規の採用は即戦力になりません。
客室乗務員にしても、B-777に乗れるようになるには、トレーニングセンターでそれなりのトレーニングを積む必要があります。
研修とトレーニングの結果、B-777で勤務可能になっても、B-767やB-737にはまた別のトレーニングが必要。
もちろんエアバスに乗れるようになるにはエアバス用の研修・トレーニングが要求されます(エアバスも機種がいろいろある)。
こうした状況が背景にあり、しかも経済のリオープンのペースが速すぎた結果、
人の補充が追いつかず、人手不足が深刻化してしまったという訳です。
翻って、日本。
日本の場合は少し状況が違います。
新型コロナのパンデミックに襲われたとき、
たとえばJALやANAの客室乗務員はノジマやイオンリテールなどに出向させられました。
給与の差額分(もし生じた場合)は、JALやANAが払いました。
もう少し具体的に記しますと、
20年11月から、JALとANAからの出向者を受け入れていたノジマの場合、最大で約250人のJAL、ANA社員が働いていたと言います。
そして今年5月、航空需要の回復を受けて、ノジマは両社からの出向受け入れを終了させています。
経済が、いざリオープンする場合には、日本のやり方の方が即戦力を再配置させやすいような気がします。
昨日出演した日経ヴェリタストークでは、人手不足やインフレなど、リオープンに際して「立ちはだかる壁」について検証しました。
『こちら』で動画をご覧いただけます。
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