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2022年9月19日 (月)

投資信託

日銀の資金循環統計によると、家計部門の金融資産は2005兆円(『こちら』)。

日本人の人口(8月発表分)122,444千人で割ると1人当たり1637万円。

これを多いと見るか、少ないと見るか・・。

ところで、何回も報じられてきたことですが、日本人は金融資産を現預金中心にして持っています。

すなわち2005兆円の金融資産のうち、現金預金が54.3%。

株式は204兆円で全体の10.2%。

投資信託(91兆円)は4.5%を占めるに過ぎません。

* * *

『株式は単一銘柄で持つと値下がりリスクが怖いけど、投資信託なら複数銘柄がパッケージにされているので、幾分安心、しかし手数料は?』

一般的には、投資信託に対して、こういった印象を持つ人が多いのではないでしょうか。

投資信託の手数料には(1)購入する時に取られる「購入時手数料」、(2)保有している間ずっと取られる「信託報酬」、(3)解約(売却)時に取られる「信託財産留保額」の3つがあります。

しかし(1)と(3)については、これをゼロとする投資信託も出現するようになっています。

とくに(1)についてゼロとする販売会社(証券会社など)は、ノーロードと称して積極的にPRしています。

しかしこれは彼らにとって、報酬ゼロでの販売を意味している訳ではありません(慈善団体ではないので)。

実は、(2)の「信託報酬」は、委託会社、販売会社、受託会社3者に対して分け前が配分されます。

つまり販売会社は信託報酬の中から自分たちの分け前をきちんと得ています。

ところで、最近では「野村スリーゼロ先進国株式投信」のように、

「(1)、(2)、(3)とも全てゼロにする」といった投資信託も出てきています(『こちら』)。

3つともゼロだとすると、販売する金融機関や運用する金融機関は「いったいどこで収益を上げるのか」、疑問に思われるかもしれません。

野村スリーゼロの場合は(2)がゼロなのは2030年末までと期間限定となっています。

* * *

さて投資信託を購入する場合、どこに気を付けるべきでしょうか。

(A)過去の実績を見て、納得がいくものかをチェック

株価指数(TOPIX、S&P500など)に連動する運用を目指すインデックス・ファンド(パッシブ・ファンドとも言います)については、ベンチマーク(運用する際に目標とする指数)にきちんと連動しているか。トラッキング・エラー(ベンチマークに対する「運用誤差」「乖離度合い」)がないか。

独自の運用を目指すアクティブ系のファンドの場合、指数以上のリターンを上げているかどうか(例:米国株式を多く組み入れるファンドであれば、S&P500以上のリターンを上げてきたかどうか)

なお過去の実績をチェックする場合、10年間といった長期だけでなく、例えば今年2月以降の基準価額の変化をチェックすることもお勧めします。

過去10年は米国のアップルなどテクノロジー株を組み入れたところが高いリターンを出しました。

しかし今年に入っての下げ相場で、そういったファンドはどういったパフォーマンスを上げているのか。

アクティブ系の場合、少なくとも(例えば今年の2月1日以降で見て)S&P500以上のリターンを上げていることを期待したいところです。

ちなみにS&P500の場合、2月1日 4546.54 → 9月16日 3873.33 ですが、円ベースでは523,580円 → 554,312円と7か月半で 5.9%上昇しています。

(B)手数料はどうか

とくに上記(2)の信託報酬は、投資信託を保有している間ずっと取られるので注意が必要。

たとえ年率1%であっても10年持てば10%になります。

この手数料ゆえに、多くのアクティブ系ファンドは指数に負けてしまうといった結果に陥ってしまいます。(もちろん指数以上のパフォーマンスを上げている投資信託もたくさんあります)。

なお手数料としては上記(1)、(2)、(3)のほかに、「その他の費用、手数料」もかかります。

具体的には保管費用、監査費用、株式売買手数料などですが、これは目論見書においては具体的金額が明示されていません。

運用報告書を見て、これまでの実績値として、どのくらいかかったのか、頭に入れておいた方がいいと思います。

(c)ETFも検討してみる

投資信託は買う時も売る時も、注文を出してから幾らの基準価額で約定できたのか、マーケットが終わって数時間しないと分かりません(翌日や翌々日に報告されてくるケースも多くあります)。

一方、ETF(上場投資信託)の場合は、普通の株式取引と同じように相場を見ながら売買出来て、指値も出来ます。

指数に投資することを目的にインデックスファンドを選ぶならば、ETFに投資することを考えてみても良いと思います。

ETFは幾つもありますが、例えば米国株の指数に投資する場合、ファンドの純資産額やGross Expense Ratio(経費)などを考えて、ティッカー・コードで、SPYや VOO (いずれもS&P500に連動)、DIA(ダウ平均に連動)などが良いかと思います。

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