ストックオプションとRSU
最近では日本企業も取締役や幹部社員にストックオプションを付与するケースが多くなりました。
ここで言うオプションとは、株式を特定価格で買う権利。
例えば500円で買うオプションを付与され、株価が1200円の時にオプションを行使した上で、市場で株を売却すれば700円の利益を得られます。
ストックオプションを付与される人の立場からすると、オプションがout of the moneyになると意味がなくなるという点が懸念されます。
どういうことでしょうか。
例えば500円で買うオプションを付与されたとしても、株価が低迷を続け、ずっとout of the money (500円未満)であり続けるとオプションを貰った意味がなくなるということです。
もちろん株価が将来的に500円を超える(in the money)ようになることもあり得る訳で、その時にオプションを行使出来れば経済的利益を得ることが出来ます。
さて、ストックオプション制度を導入すると、オプションを貰った人は自社の株価を意識するようになります。
そして業績を上げ、株価を高めようと頑張る(でないと、オプションがout of the moneyになってしまう)ことが期待されます。
よって経営陣としてはオプション制度を導入することに関し、既存株主からの賛同を得やすいといった点が挙げられます。
オプションに似た制度に、RSUがあります。
Restricted Stock Units の略で、譲渡制限付株式のことです。
これは一定期間経過後に(特定の条件が満たされれば)初めて正式な株式になる(Vestされる)というもの。
たとえば『1000株のRSUが与えられ(Grantされる)、5年間会社に勤務すれば正式な株式となる(Vestされる)』といった形で使われます。
ストックオプションやRSUは昔から外資系投資銀行ではよく使われていました。
幹部社員が他社に引き抜かれるとオプションやRSUの権利を剥奪する仕組みにして、
優秀な社員が引き抜かれるのを防ぐことに使われていました。
そればかりでなく(全く逆の使い方なのですが)、幹部社員に会社都合で退職してもらう際に、オプションの権利をすぐに行使可能にしたり、RSUをすぐにvestさせたりして、辞めてもらいやすくする、つまりある種のsweetener(甘味料)として使われたりしました。
投資銀行で良く使われてきたオプションやRSUの制度ですが、2000年頃からでしょうか、外資のIT大手などでも広く使われるようになりました。
そして今では日本企業でもオプションのみならずRSUを使うところが出てきています。
さて前置きはこの位にして、オプションやRSUにからむ失敗談を昨日の日経新聞(電子版)に寄稿しました。明日発売の日経ヴェリタス紙にも掲載されます。
題して『株はあなたの思い入れを知らない』。『こちら』です。
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