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2022年12月17日 (土)

FTXとアラメダとバイナンスの話

いま米国で騒がれているFTX関連の話を4つに分けてご紹介します。

* * *

【その1】ハイフンで繋がれた名前(Hyphenated Names)

Hyphenated Names とは「ハイフンで繋がれた名前」の意味。

例えば、キャサリン・ゼタ=ジョーンズ(Catherine Zeta-Jones)とか オリビア・ニュートン=ジョン(Olivia Newton-John)とか・・。

その昔、私が JP Morgan に勤めていた時の上司(イギリス人)も Hyphenated Names で、米国人たちに良く揶揄われていました。

ハイフンで繋がれた名前は、イギリスでは Double-Barrelled Names とも言うそうです。

さて、最近倒産した暗号資産取引所FTXの 創業者、サム・バンクマンフリード(Sam Bankman-Fried、30歳)も Hyphenated Name。

Sam_bankmanfried_2022

  (Picture of Sam Bankman-Fried; from Wikipedia)

通常はこんな長い名前ではなく、3つの頭文字を取って、たんにSBFと呼ばれているのですが・・。

彼の父親は Joseph Bankman でスタンフォード大学ロースクール教授。

母親の Barbara Fried もスタンフォード大学ロースクール教授。

父親も母親も高名な学者の家庭に生まれ、恐らくは両親への尊敬から、両親の名字をハイフンで繋げて、Bankman-Fried を名字(family name)にしたのでしょう。

せっかくのHyphenated Name だった筈なのですが、バハマで逮捕されました。

詐欺やマネーロンダリング(資金洗浄)など8つの罪で起訴され、

8つの訴因全てで有罪判決を受けた場合、最長115年の禁錮刑に直面する可能性があると言います。

【その2】イーロン・マスクとSBF

ツイッター買収に際し、イーロン・マスクが資金集めをしていた時、彼はSBFから「資金を出してもいいよ」といったアプローチを受けます。

2人は30分間ほど話したとのことですが、イーロン・マスクの直観が働きました。

彼の言葉ですが、

『俺の頭の中で赤信号が点滅したんだ(I know my bullshit meter was redlining)』)

『この男(SBF)はでたらめだ!(This dude is bullshit)』

この辺の話は『こちら』の記事に詳しく書かれていますので、ご興味のある方はどうぞ。

いずれにせよ、イーロンはSBFの話に乗らなくて正解でした。

もし仮に乗っていたら、ツイッター買収の話はグチャグチャになっていたでしょうし、テスラやスペースXにも何らかの悪影響が及んだ可能性すらあります。

なおイーロンはこの時の模様をツイッターのスペースで発言しています。

その時の会話は一部が録音・録画され(45秒)、『こちら』でご覧いただけます。

【その3】アラメダ

アラメダ(Alameda Research)は、SBFが、2017年に設立した暗号資産のトレーディング会社。

FTXの姉妹会社と言われています。

11月11日、FTXが破産申請(chapter 11)した際に、アラメダも含む形で破産申請されました。

この会社のCEOだったのは、キャロライン・エリソン(Caroline Ellison、28歳)。

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   (Caroline Ellison; from Newyork Post article)

キャロライン・エリソンの両親も高名な学者。

父親のグレン・エリソンはMITの教授(経済学)。母親のサラ・フィッシャー・エリソンもMITで経済学を教えています。

言ってみれば、SBFと似たような家庭環境の出身。

SBFとキャロラインは付き合うようになりますが、彼女はポリアモリー(複数恋愛)をexplore(探索)したと述べているらしく、詳しいことはよく分かりません。

欧米のマスコミでは彼女のことを SBF の ex(元彼女)と表現しています。

「そんなことはどうでもいいじゃないか」と言われそうですが、FTXは顧客資産を流用してアラメダに100億ドルを超える(1.3兆円)を融資していたと疑われる(『こちら』)など、両社の関係を抜きにFTX疑惑を語ることは出来ません。

SBFは逮捕されましたが、キャロリンはまだ逮捕されていません。

彼女はSEC出身のステファニー・アヴァキアンを顧問弁護士に雇い、ニューヨーク・ポスト紙の報道では何らかの司法取引を模索しているとの噂もあるとのこと(『こちら』)。

FTX破綻の発端はアラメダと見る(『こちら』)ことも出来、元カノのこの動きをSBFは複雑な気持ちで見ているのかもしれません(単なる憶測ですが・・)。

【その4】バイナンス

現在、マーケットが心配しているのは、これら一連の動きがバイナンスに飛び火するかどうか。

バイナンスは下表の通り世界最大の暗号資産取引所(『こちら』)。

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 (From CoinMarketCap Ranks)

中国系カナダ人チャンポン・ジャオ(Changpeng Zhao)によって創設されました。サム・バンクマンフリードがSBFと呼ばれるように、チャンポン・ジャオはCZと呼ばれています。米国人はそもそも中国名(もちろん日本名やフランス名も)が苦手ですから。

Changpeng_zhao_in_2022

(CZ is speaking at Vietnam NFT Summit 2022;From Wikipedia;  Wikimedia Commons)

バイナンスを巡る最近の一連の動きについてはGenevieve Roch-Decter氏の一連のツイート(『こちら』)が参考になります。

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