霧中で光る実力株は
昨日は日経CNBCテレビ『日経ヴェリタストーク』に出演しました。
トピックスは『霧中で光る実力株は』。
下の画像は、日経ヴェリタスによるツイッター投稿画像(公開されオープンになっている)ですが、
巻頭特集記事は、成長、投資、還元の3つの指標で、企業の力を測ろうというもの。
今回番組でコメントする上で、役に立ったのが興銀時代の経験。
入行時、私は外国為替部の配属で船会社と付き合いがあったのですが、海運サイクル(シッピング・サイクル)について勉強させてもらいました。
『船会社は、海運市況が良い時は新しい造船を発注する傾向にある。
しかし船は発注から竣工まで2年はかかる。
すぐには供給が増えないので供給不足は長引きやすい。
ところがやがてはブームの時に発注した船舶の竣工が相次ぐようになる。
すると、今度は供給過多になってしまう傾向にある』。
さまざまな資源貨物を輸送する「ばら積み船」の中で最も大きな船型をケープサイズと言っています。
大きすぎてスエズ運河やパナマ運河を通航できず、喜望峰(the Cape of Good Hope)やホーン岬を周らなければなりません。
こういったことから、Capesize と名付けられています。
2016年前半。ケープサイズのバルカー市況は歴史的な低水準にまで落ち込んだことで知られています。
番組では(紙面でも)日産化学についての話も出ました。
これもたまたまなのですが、興銀時代に5年間、化学会社を担当する営業第3部の課長をしていました。
私は3班の課長をしていたのですが、日産化学は隣の2班が担当。
直接の付き合いはなかったのですが・・。
日産化学は当初、石灰石を原料として肥料をつくっていました。
しかし1960年代を通じて肥料などの製造は石油化学に原料転換されつつありました。
これを受けて、日産化学は1965年、石油化学に進出。
しかし大手がいっせいに石油化学に注力していく中、はたして日産化学としてやっていけるのかが議論となったのだと思います。
1988年、時の社長、中井武夫氏(興銀出身)は石油化学からの撤退を決断。
塩ビは東ソーに、高級アルコール事業は協和発酵に、ポリエチは丸善石油化学に、それぞれ事業譲渡します。
つまり、いちばんの主力事業を切り捨て、後がない状態になって、農薬・医薬品・液晶材料などの高機能化学品に活路を見出していくことにしたのです。
番組では、このほかに株主還元についても議論しました。
会社はそもそも投資家のもの。
であれば、株主還元とはいったいどういう意味なのでしょうか。
英語で外国人投資家に説明しようとすると、たとえば returning capital to shareholders といった具合に苦労して説明するようになります。
たとえばGAFAのなかで、配当を支払っているのはアップルだけ。
グーグルにしてもアマゾンにしても配当は払ったことがなく、自社株購入もごく最近になってから。
にもかかわらず、株主はこれを評価し高い時価総額を付けています。
ただ日本の場合は企業が必要以上に現金を抱える傾向にあります。
然るべき投資先が見当たらないのであれば、いったんは資本を株主に返す(配当金もしくは自己株式購入の形で)、そして資本をスリム化するというのは評価されるべき施策だと思います。
なお配当金については、企業が税金(法人税)を払った後の原資から、株主に配当金を払う。その際、株主は再び税金を払うーといった二重課税の問題があります。
これについては時間の関係で触れることが出来ませんでした。
番組は『こちら』でご覧になれます。
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