JTCの問題は、JTCの中にいると、自分たちがJTCであることに気がつかないこと(その3)
(その4まで続くシリーズの3回目です)
【3】多様性と公平性
日本企業が、JTCと揶揄されることから脱皮する上で、いちばん重要なのは多様性と公平性だと思う。
別言すれば、差別がなく、フェアであるということだ。
この点は私自身、かつて外国人投資家ともよく議論したが、日本はまだまだ遅れている。
たとえば、日経ヴェリタス紙面(3/12付)でも取り上げられた日立製作所は、
日本の中では先進的な企業として評価されている。
日立は、2020年には早々と「入社式」を廃止している。
(別にだからと言って先進的という訳ではないのだが、その他にもヴェリタス紙3頁にあるように、日立はいろいろな取り組みをしている)。
なぜ入社式を廃止したのか。
経営陣によれば「新入社員には日立という会社に入るのではなく、日立という会社でキャリアを積むという考え方を持って欲しい」からだと言う。
そして入社式に代わって、キャリア・キック・オフ・セッションと呼ぶイベントを開催することにしたという。
斯様に先進的な考えの日立であっても、いちばん最近の英文の統合報告書(2022年integrated reports)を覗くと、
executive officers として11人が顔写真付きで登場するが、
全員が男性で、それも10人まで日本の男性。女性は1人もいない。
統合報告書の中を読み込んでみると、
「2030年度までにexecutive and corporate officersにおける女性や外国人の比率を30%にする、
2024年度までに、この比率を取りあえず15%にする」
と書いてある。
しかし外国人投資家の目からすると、このスピード感で平気かなと思ってしまう。
いずれにしても多様性と公平性がないと、グローバルなレベルで優秀な人は採用できない。
しかもヨーロッパの投資家や顧客の目は厳しい。
何れかの時点で彼らから相手にされなくなってしまうリスクさえあり得る。
JTCはこのことを頭の片隅に置いておくべきだと思う。
| 固定リンク
« JTCの問題は、JTCの中にいると、自分たちがJTCであることに気がつかないこと(その2) | トップページ | JTCの問題は、JTCの中にいると、自分たちがJTCであることに気がつかないこと(その4) »
コメント