JTCの問題は、JTCの中にいると、自分たちがJTCであることに気がつかないこと(その2)
(その4まで続くシリーズの2回目です。第1回は3月13日に掲載しました)。
【2】JTCの中にいると気がつかない
JTCとは、Japanese Traditional Companies (日本の伝統的な企業)の略なのだが、
ネットの世界では、古い体質を引きずる企業の意味でつかわれる。
JTCの問題は、JTCの中にいると、自分たちがJTCであることに気がつかないことだ。
「自分の勤める会社はJTCではない」
こう思う人も多いだろう。
しかし・・
たとえば日本のような形で入社式をやっている会社は海外(欧米)にない。
海外の企業にも
New Hire Orientation とか、Onboarding というeventはあるし、
会社によっては、Senior Management による Welcome Breakfast や Welcome Lunch があったりするが、
これらは日本の入社式とは全然違う。
そもそも海外では新卒一括採用がない。
新入社員が軍隊のように同じようなリクルートスーツを着て、
会社の講堂やホテルの大広間で一堂に会して、
社長のスピーチを聞くというのは、異例だ。
数百人のリクルートスーツに身を固めた新入社員を前にして、
社長が
「これからの時代は多様性だ。イノベーションだ」
と訓示するのは、悪い冗談としか思えない。
「入社式くらいに目くじらを立てるな。どこの会社でもやっている」
こう言う人も多いだろう。
しかし例えば日立製作所は、
2020年に早々と「入社式」を廃止している。
* * *
ところで話はそれるが、
日本企業のJTC的な実態は、海外投資家にかなりの程度、知れ渡ってしまっている。
日本の企業経営者が海外IR(海外投資家説明会)の資料で、
「当社は多様性を重んじ、新しい人事制度をスタートさせました」
と謳ってみても、
投資家の方は「実のところはどうなのだ」とチェックを入れているケースがほとんどだ。
たとえば、今ではネット上で会社の評価が様々な局面で語られている。
3/12号の日経ヴェリタス紙の記事にも出ているOpenWorksの口コミサイトには、500万人を超えるユーザーが登録。
6万社を超える会社に関して、合計1,300万件もの口コミ(1社平均200件以上)が寄せられている。
下記の書にも詳しい(『こちら』)。
OpenWorks の大澤陽樹社長によれば、
同社の口コミサイトは海外投資家にも読まれていて、
海外の名だたるヘッジファンドから
「OpenWork口コミデータを投資モデルに組み込めないか、検証させて欲しい」
といった話さえ来るという(『こちら』)。
もちろんレストランの口コミサイトの例で分かるように、
ネット上の口コミには限界がある。
だから注意が必要だ。
しかし数多く読むうちに(これもレストランの口コミサイトと同じなのだが)
どれが偽物でどれが本物なのか、分かる人には何となく分かるようになってくる。
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