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2023年3月23日 (木)

JTCの問題は、JTCの中にいると、自分たちがJTCであることに気がつかないこと(その2)

(その4まで続くシリーズの2回目です。第1回は3月13日に掲載しました)。

【2】JTCの中にいると気がつかない

JTCとは、Japanese Traditional Companies (日本の伝統的な企業)の略なのだが、

ネットの世界では、古い体質を引きずる企業の意味でつかわれる。

JTCの問題は、JTCの中にいると、自分たちがJTCであることに気がつかないことだ。

「自分の勤める会社はJTCではない」

こう思う人も多いだろう。

しかし・・

たとえば日本のような形で入社式をやっている会社は海外(欧米)にない。

海外の企業にも

New Hire Orientation とか、Onboarding というeventはあるし、

会社によっては、Senior Management による Welcome Breakfast や Welcome Lunch があったりするが、

これらは日本の入社式とは全然違う。

そもそも海外では新卒一括採用がない。

新入社員が軍隊のように同じようなリクルートスーツを着て、

会社の講堂やホテルの大広間で一堂に会して、

社長のスピーチを聞くというのは、異例だ。

数百人のリクルートスーツに身を固めた新入社員を前にして、

社長が

「これからの時代は多様性だ。イノベーションだ」

と訓示するのは、悪い冗談としか思えない。

「入社式くらいに目くじらを立てるな。どこの会社でもやっている」

こう言う人も多いだろう。

しかし例えば日立製作所は、

2020年に早々と「入社式」を廃止している。

* * *

ところで話はそれるが、

日本企業のJTC的な実態は、海外投資家にかなりの程度、知れ渡ってしまっている。

日本の企業経営者が海外IR(海外投資家説明会)の資料で、

「当社は多様性を重んじ、新しい人事制度をスタートさせました」

と謳ってみても、

投資家の方は「実のところはどうなのだ」とチェックを入れているケースがほとんどだ。

たとえば、今ではネット上で会社の評価が様々な局面で語られている。

3/12号の日経ヴェリタス紙の記事にも出ているOpenWorksの口コミサイトには、500万人を超えるユーザーが登録。

6万社を超える会社に関して、合計1,300万件もの口コミ(1社平均200件以上)が寄せられている。

下記の書にも詳しい(『こちら』)。

Openwork

OpenWorks の大澤陽樹社長によれば、

同社の口コミサイトは海外投資家にも読まれていて、

海外の名だたるヘッジファンドから

「OpenWork口コミデータを投資モデルに組み込めないか、検証させて欲しい」

といった話さえ来るという(『こちら』)。

もちろんレストランの口コミサイトの例で分かるように、

ネット上の口コミには限界がある。

だから注意が必要だ。

しかし数多く読むうちに(これもレストランの口コミサイトと同じなのだが)

どれが偽物でどれが本物なのか、分かる人には何となく分かるようになってくる。

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