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2023年3月13日 (月)

JTCの問題は、JTCの中にいると、自分たちがJTCであることに気がつかないこと(その1)

(その4まで続くシリーズの1回目です)

今週の日経ヴェリタス紙ではJTCが取り上げられている。

何よりも、この問題を取り上げた新聞社や編集の方に敬意を表したい。

というのは、広告主や取材先、法人購読契約者のことを考えると

「ひょっとしたら怒らせてしまうかも」

との思いが関係者の頭をよぎったとしても不思議ではないからだ。

Jtc1

JTCとは、Japanese Traditional Companies (日本の伝統的な企業)の略なのだが、

ネットの世界では、古い体質を引きずる企業の意味でつかわれる。

世界株式時価総額トップ50で、日本企業は1989年版に32社がランクインした。

しかし2023年版ではトヨタ自動車も圏外に去りゼロになった(ヴェリタス紙4頁)。

日本が元気をなくしているのは、JTCが蔓延っているからと診断する人も多い。

【1】多くの企業は人事制度を改革してJTC脱皮を目指す

JTCも黙って手をこまねいている訳ではない。

人事制度を改革するという企業も多く出てきている。

実は人事制度の改革は「待ったなし」の状況にある。

今のままだと、苦労して採用した若い優秀な人材が辞めていってしまう。

従業員1000人以上の大企業の場合、

入社後3年以内に辞める人の割合は、10年前は20.5%(2009年卒)。

それが今では25.3%(2019年卒)にまで上がってきている。

優秀な人が辞めてGAFAなどの外資に行ってしまうと、GAFAとの差がますます開いてしまう。

一例をあげよう。

昨年11月、NTTのサービスイノベーション総合研究所で働くネットワークセキュリティの若手技術者が外資に移った。

彼女は「サイバーセキュリティに関する総務大臣奨励賞」の受賞経験もある研究者だった。

こうした人材の流出を防ぐには、これまでの年功序列システムを変えなくてはならない。

斯様な問題意識が背後にあるのだろう。

NTTは新しい人事制度を立ち上げた。

すでに報じられている新人事制度のもとでは、

理論上は20代で課長級への抜擢が可能になるという。

しかし、である。

ここで私は疑問に思ってしまうのだ。

しかしそれでほんとうに十分なのだろうか。

アポロ計画(1961年~72年)を推進したNASA(米航空宇宙局)のエンジニアたちは当時ほとんどが20代、30代だった。

日本の大企業が

「理論上は20代で課長級への抜擢が可能になります」と胸を張る。

敢えて「理論上」と言うことは、実際にはそういったケースはゼロかもしれない。

こうした状況に違和感を感じてしまうのは私だけなのだろうか。

米国の投資銀行では若くても、どんどん上に行く。

昔の話で恐縮だが、39歳で投資銀行のナンバー2になった米国人が来日するというので、日本の取引先社長とアポを取ったことがある。

すると後で、企画担当の専務から電話があった。

「39歳がうちの社長と会うというのは、ちょっとどうかと思います」

しかし米国ではJFKは43歳で大統領になっている。

若くして上に行くというのは、それだけ優秀ということなのだ。

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