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2023年4月28日 (金)

「スター軍団」の多様性

本日の日経新聞記事、

『「スター軍団」は元グーグル オープンAIに才能集結』

面白い記事だったのですが、これは同時に「スター軍団」が多様なバックグラウンドを持つことを示す記事でもあります。

以下、多様性の観点から日経記事に載った「スター軍団」を眺めてみます。

【1】Iliya Sutskever(イリヤ・サツキバー)

Open AI のChief Scientist。

  Iliya

    (画像はLex Fridman Podcast #94より)

ロシア(ニジニ・ノヴゴロド、旧名ゴーリキー)の生まれ。

カナダのトロント大学で、AIのジェフリー・ヒントン教授に師事。

その後、スタンフォード、グーグルを経て、Open AIへ。

【2】Lukasz Kaiser(ルカッシュ・カイザー)

Open AI のリサーチャー。

ポーランドのヴロツワフ大学で数学およびコンピューターサイエンスの両分野で修士号 

その後、ドイツのアーヘン工科大学で博士号取得

グーグルを経て、Open AIへ。 

【3】Igor Babuschkin(イゴール・バブシュキン)

ドイツのドルトムント工科大学で物理学修士。

グーグル傘下のDeepMind社を経てOpen AI社に参画するも再度DeepMind社へ。 

今般イーロン・マスクのX.AI社に参画。

【4】Dario Amodei(ダリオ・アモディ)

イタリア、Pavia市生まれ。

カリフォルニア工科大学、スタンフォード、プリンストン、グーグルを経てOpen AIに。

独立して、2021年、Anthropic社を起業。

【5】Shane Gu(シェイン・グウ)

Open AI、ChatGPT 強化学習リーダー兼Open AI 日本担当。

日本生まれの中国系カナダ人。

ケンブリッジ、スタンフォードを経て、

東大の松尾研、客員准教授

グーグル・ブレインを経て、Open AI。

【6】追記

上記にはグーグル・ブレインとかDeepMind社の名前が出てきますが、

先週、グーグルはGoogle Research(グーグル・リサーチ)のAI開発チームBrain(ブレイン)と、

アルファベット傘下のAI開発企業である英DeepMind(ディープマインド)を統合。

新設する「Google DeepMind(グーグル・ディープマインド)」に組織を一本化しています。

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2023年4月21日 (金)

20代が活躍する企業を見極めよ

3月30日に放映されたカンブリア宮殿。

京セラの谷本秀夫社長は29歳の時にあるプロジェクトのリーダーを任されたと言います。

* * *

【以下『読んで分かるカンブリア宮殿』(『こちら』)より】

(引用;一部抜粋)

(京セラは)当時、鹿児島の工場でセラミックスの基盤を作っていたが、不良品が多く赤字を垂れ流していた。

谷本は製造LINEの改善を命じられたのだが、これが茨の道だった。

どうやって生産効率を上げるか。

谷本が目をつけたのは焼き上げの工程だった。

セラミックスの部品は焼くだけで30時間以上かかってしまう。

稲盛が生み出したやり方だが、ここを変えなければ赤字が解消できない。

谷本は新しい製造ラインの開発に取り掛かる。

しかしこのプロジェクトは難航した。

材料の配合を見直したが、うまく固まらない。

新しい炉も作ったが、1600度まで上げた熱さに耐えられず、中のローラーが壊れてしまったこともあった。

試行錯誤を3年続け、ついに谷本は新しい製造ラインを完成させた。

以前30時間かかっていた焼き上げ工程が3時間となり不良品率も改善した。 (引用終わり)

* * *

この重要なプロジェクトを任された時、谷本さんはまだ20代でした。

20代の若者が目を輝かせて生き生きと働いている企業は成長が期待できます。

しかし残念ながら「ここでは成長できない」とばかり、若者が諦め辞めていく職場も少なくありません。

そんなことを考えながら日経新聞(電子版)に記事を寄稿しました。

『20代が活躍する企業を見極めよ』

『こちら』です。

23日に発売となる日経ヴェリタス紙にも掲載されます。

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2023年4月16日 (日)

バークシャーによる商社株投資と円建て債発行について

バークシャーによる商社株投資と円建て債発行について3枚のスライドにまとめてみました。

(クリックすると大きくなります)。

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2023年4月15日 (土)

バークシャー年次総会

日本時間5月6日(土)23時15分(オマハ時間当日朝9時15分)より、バークシャー・ハサウェイの年次総会がネブラスカ州オマハで開催されます。

通常、バークシャーの総会は6時間以上続くので、終わるのは日本時間7日(日)6時30分前後。

この総会の模様を現地からお届けする番組が日経LIVEであります。

7日(日)12:00~13:00(日本時間)です(『こちら』)。

Buffett

私も番組に出演する予定(日本からの出演です)。

宜しかったらご覧になってみてください。

* * *

最近の米国市場は、物価が少しずつ落ち着きを取り戻し、株価も比較的堅調です。

しかし Yield Curve は歴史的な inverse になっています。

Yield-curve

M2 Money Supply の動きにも要注意です。

M2

サンフランシスコのオフィス物件の空室率が30%になったとの報道もあり(『こちら』)、

商業用不動産危機も一部では叫ばれています(『こちら』)。

そうした中で、FOMCが5月2日(火)~5月3日(水)にわたって開催されます。

このFOMCの結果を受け5月3日(水)~5日(金)の米国相場が動揺する可能性もあり、なおさらのこと、その直後のバークシャーの年次総会が注目されるところです。

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2023年4月10日 (月)

REIT 霧は晴れるか

本日は日経CNBCテレビ『日経ヴェリタストーク』に出演しました(『こちら』)。

本日のトピックは REIT について。

【1】REITとは

REITとは、投資家から集めた資金を不動産に投資し、その収益を投資家に分配する投資信託のこと。

Real Estate Investment Trust を略したものです。

日本でも2001年に初めてREITが東証に上場しました。

現在、東証には約60のREITが上場されています。

REIT 全体の値動きは東証REIT指数で把握することが出来ます。

下記は2003年以降、現在までの東証REIT指数をグラフ化したもの。

Reit

REIT は投資対象の不動産の種類によって(1)ホテル、(2)オフィス、(3)物流施設、(4)住宅などに分類することが出来ます。

REITを見る場合、次の3つを特に頭に入れてみることがポイントです。

(1)不動産投資法人 

REITの発行体。

不動産を取得・運営することだけを目的として創られた法人であり、それ以外の業務を行うことは禁止されています。 

(2)資産運用会社

REITのファンドマネージャー的な役割をはたします。

投資する不動産の選定や賃貸戦略などの決定、修繕計画の立案・実行、資金調達の立案・実行、物件の売却決定等を行います。

(3)スポンサー

資産運用会社の株主で、REITの立ち上げを主導する企業をスポンサーといいます。

REITにおいてはスポンサーが重要な役割を果たします。

一般の上場事業会社(株式会社)における創業者、最大株主のような役割をスポンサーが担っていると見ることも出来ます。

【2】利益相反の問題

もっともREITとスポンサーの間には利益相反の問題も発生しかねません。

昨年7月15日、金融庁は、あるREIT の資産運用会社に対して業務停止命令をくだしました(『こちら』)。

いわく『当社の利益相反管理態勢は著しく不十分であり、当社は本投資法人のために忠実に投資運用業を行っていないことから、金融商品取引法第42条第1項に定める「忠実義務」に違反するものと認められる』。

【3】ホテルのREIT

ホテルのREITに対しては、オペレーターとREITとの間にも利益相反の問題が生じえます。(そうならないような仕組みになっていることが重要です)。

【4】投資するに際して

REITに投資するに際しては、このように利益相反の問題が無いか、そしてガバナンスがはかられているかをチェックすべきです。

スポンサーからの出向者やスポンサー出身者が資産運用会社の役員に就くこともあり(この辺は調べると直ぐに判明します)、そのこと自体は問題ではありませんが、「アームズ・レングス・ルール(Arm's length rule)」の遵守と透明性がきちんと確保されているかをチェックすべきです。

投資を検討するに際しての第1歩としては、REIT(不動産投資法人)が発行する「有価証券報告書」をよく読んでみることをお勧めします。

有価証券報告書の「投資リスク」の項目、とくに「本投資法人の関係者、仕組みに関するリスク」または「本投資法人の仕組み及び関係者への依存に関するリスク」などと記された小項目は必読です。

【5】再放送

番組の再放送は、12日、12:10~12:25 と 21:00~21:15 の2回にわたって行われます。

Cnbc3

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2023年4月 8日 (土)

米国の商業用不動産(リーマンショック以上の危機になるか?)

【1】リーマンショック以上の危機?

『米国の商業用不動産の問題が引き金となってリーマンショック以上の危機が到来する』

こう警鐘を鳴らすのは、モルガンスタンレーのLisa Shalett氏(Managing Director and Chief Investment Officer of Wealth Management)。

4月4日付にてFortune誌のAlena Botros氏が記事にして話題になりました。

  Fortune

Lisa Shalett氏はもともと今後の見通しについて悲観的で、CNBCのインタビュー(2月)でも『S&P500はあと15~20%下落する可能性が大』と発言したりしていました(『こちら』)。

(注:リーマンショック以上の危機であれば、あと15~20%の下落では、とても収まらないのですが・・)。

【2】リファイナンスできるか

 Lisa Shalett氏が問題としているのは、商業不動産は今後2年間で1.4兆ドルのローンが期限を迎える。

これをきちんとリファイナンス(借り換え)出来るだろうかという問題です。

商業用不動産のリファイナンスが問題だと考える人は多く、金融情報のニュースレターである The Kobeissi Letter は先月27日に下記をツイート(『こちら』)。

『米国の商業用不動産に関しては:

(1)今後5年で2.5兆ドルの商業用不動産ローンが満期を迎える、

(2)これは歴史上最大、

(3)しかもリファイナンスに際しての金利は2倍以上になり、

(4)商業用不動産の空室率は現状30~40%』

The Kobeissi Letter  によると、これらの商業用不動産ローンの70%は小さな銀行が供与しているとのことです(『こちら』)。

Small-banks

つまり

『商業用不動産ローンのデフォルト(債務不履行)』

   ↓

『中小銀行のデフォルト』

に繋がりかねず、

これは2008年リーマンショック時の

『信用力の低い個人の住宅ローンのデフォルト』

   ↓

『ローン債権の証券化商品を保有していた金融機関のデフォルト』

といった構図を想起してしまいます。

The Kobeissi Letter  のツイートに対してすぐに反応したのがイーロン・マスク氏。

『This is by far the most serious looming issue. これは 迫り来る大問題。どんな問題よりも重大な問題だ』

とツイート(『こちら』)。

一連のやり取りはFortune誌が記事にしました(『こちら』)。

【3】ブラックストーンのREIT解約制限

ほころびは各方面で出てきています。

昨年12月1日、米大手投資会社ブラックストーンは傘下の資産規模690億ドルの不動産投資信託(REIT)「ブラックストーン・リアル・エステート・インカム・トラスト(BREIT)」について解約制限措置を講じました。

11月の解約請求総額が、予め解約上限額として設定されていた(A)月間で純資産価値の2%と、(B)四半期で純資産価値の5%の、どちらをも上回るほどに膨らんだためとのこと(『こちら』)。

この動きはその後も続き、4月4日の報道によると、投資家からの解約請求額が3月にも増加。

5カ月連続で換金を制限する事態になったとのこと(『こちら』)。

ブラックストーンによると、3月は、市場のボラティリティーが著しく高く、金融ストレスが広がった為、BREITには45億ドルの解約請求があり、約6億6600万ドルを換金。

これは請求額の約15%に相当するとのことでした。

つまり投資家としては解約請求しても85%は換金できなかったことになります。

そう言えば、リーマンショックの前年の2007年8月9日、仏大手銀のBNPパリバが同行傘下のミューチュアル・ファンドの解約を凍結したことが思い出されます。

これはサブプライム問題の発端として多くの投資家の記憶に残るものです。

【4】商業用不動産の下落

ここにきて米国商業不動産(ビジネスや商業などの中心地区におけるオフィス、郊外のオフィス、その他全般「RCA CPPI ALL Property」)の価格が前年比で下落に転じるようになってきています。

Pricecre

減損処理の金額もリーマンショックに匹敵するレベルになってきました。

Write-down

下記は本日の日経に掲載されたグラフです。

Photo_20230408204401

いったいどこの銀行がどれだけの商業用不動産のローンを抱えるのか。

米国ではそんな記事も散見されるようになってきました。

下図はそのうちの一つです。

Bank-exposure

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2023年4月 2日 (日)

QQQ と VGT

ナスダック銘柄を投資対象とするETFとして主なものは、QQQとVGTです。

【1】QQQ

QQQは「Invesco QQQ Trust Series 1」の略称。

NASDAQ100指数の値動きに連動するインデックスETFです。

運用会社はインベスコ。

Total Assets under Mgmt は、1,694億ドル(23年3月30日)

先週末時点での上位運用構成銘柄は:

  Microsoft Corp 12.57%

  Apple Inc  12.34%

  Alphabet Inc. 7.35%

  Amazon.com Inc 6.22%

  NVIDIA Corp 5.23%

上位5社で全体の 43.71%

詳しくは『こちら』

【2】VGT

VGTは、「Vanguard Information Technology ETF」の略称。

運用会社はバンガード。 

Total Assets under Mgmt は、463億ドル (23年3月30日)

先週末での上位運用構成銘柄は:

  Apple Inc  22.31%

      Microsoft Corp. 17.12 %

      NVIDIA Corp. 5.59 %

      Visa Inc. 3.26 %

      Mastercard Inc. 2.97 %

上位5社で全体の51.25%

詳しくは『こちら』

【3】このように QQQ と VGT とでは運用先がかなり違います。

過去2年間のパフォーマンスの比較は:

Qqq

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2023年4月 1日 (土)

ナスダック総合指数

ナスダック総合指数とは、ナスダック市場に上場しているすべての銘柄約3,000を対象とし、時価総額加重平均で算出したもの。

アップル、マイクロソフト、グーグル、アマゾン、テスラ、エヌビディアの6社で全体の38.5%を占めます(昨年12月末現在、『こちら』)。

ナスダック総合指数は、21年11月19日に、16,057を付けました(これが最高値)。

その後、下落のトレンドを続け、昨年10月14日には、ピーク時の64%に当たる10,321を記録。

現在は、12,221ですので、漸くピーク時比、76%にまで戻してきました。

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理由はいくつかありますが、

1)SVBの破綻などで金融機関全般の経営危機が懸念されたが、連鎖はさほどでもなかった

2)3月31日発表の2月のPCE(個人消費支出)の物価指数はコアで前月比+0.3%。市場予想を下回り、かつ1月の+0.5%も下回った

3)チャットGPTなどAIの分野で大きな動きが出てきた

といったところでしょうか。

ナスダック総合指数は昨年8月15日にはいったん盛り返し、13,128(ピーク時の82%)を付けました。

このため市場では当面の目標として昨年8月のレベルに到達できるかどうかが意識されていますが、さて。

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