REIT 霧は晴れるか
本日は日経CNBCテレビ『日経ヴェリタストーク』に出演しました(『こちら』)。
本日のトピックは REIT について。
【1】REITとは
REITとは、投資家から集めた資金を不動産に投資し、その収益を投資家に分配する投資信託のこと。
Real Estate Investment Trust を略したものです。
日本でも2001年に初めてREITが東証に上場しました。
現在、東証には約60のREITが上場されています。
REIT 全体の値動きは東証REIT指数で把握することが出来ます。
下記は2003年以降、現在までの東証REIT指数をグラフ化したもの。
REIT は投資対象の不動産の種類によって(1)ホテル、(2)オフィス、(3)物流施設、(4)住宅などに分類することが出来ます。
REITを見る場合、次の3つを特に頭に入れてみることがポイントです。
(1)不動産投資法人
REITの発行体。
不動産を取得・運営することだけを目的として創られた法人であり、それ以外の業務を行うことは禁止されています。
(2)資産運用会社
REITのファンドマネージャー的な役割をはたします。
投資する不動産の選定や賃貸戦略などの決定、修繕計画の立案・実行、資金調達の立案・実行、物件の売却決定等を行います。
(3)スポンサー
資産運用会社の株主で、REITの立ち上げを主導する企業をスポンサーといいます。
REITにおいてはスポンサーが重要な役割を果たします。
一般の上場事業会社(株式会社)における創業者、最大株主のような役割をスポンサーが担っていると見ることも出来ます。
【2】利益相反の問題
もっともREITとスポンサーの間には利益相反の問題も発生しかねません。
昨年7月15日、金融庁は、あるREIT の資産運用会社に対して業務停止命令をくだしました(『こちら』)。
いわく『当社の利益相反管理態勢は著しく不十分であり、当社は本投資法人のために忠実に投資運用業を行っていないことから、金融商品取引法第42条第1項に定める「忠実義務」に違反するものと認められる』。
【3】ホテルのREIT
ホテルのREITに対しては、オペレーターとREITとの間にも利益相反の問題が生じえます。(そうならないような仕組みになっていることが重要です)。
【4】投資するに際して
REITに投資するに際しては、このように利益相反の問題が無いか、そしてガバナンスがはかられているかをチェックすべきです。
スポンサーからの出向者やスポンサー出身者が資産運用会社の役員に就くこともあり(この辺は調べると直ぐに判明します)、そのこと自体は問題ではありませんが、「アームズ・レングス・ルール(Arm's length rule)」の遵守と透明性がきちんと確保されているかをチェックすべきです。
投資を検討するに際しての第1歩としては、REIT(不動産投資法人)が発行する「有価証券報告書」をよく読んでみることをお勧めします。
有価証券報告書の「投資リスク」の項目、とくに「本投資法人の関係者、仕組みに関するリスク」または「本投資法人の仕組み及び関係者への依存に関するリスク」などと記された小項目は必読です。
【5】再放送
番組の再放送は、12日、12:10~12:25 と 21:00~21:15 の2回にわたって行われます。
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