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2023年5月27日 (土)

エヌビディア

覚えておられる方も多いかもしれません。

今から8年前。

2015年1月のCES(Consumer Electronics Show)。

毎年ラスベガスで開催されるこのイベントは世界的に有名なものですが、

この年は特に大きな話題を呼びました。

「ジャック」と名付けられたアウディの自動運転車が、カリフォルニア州を出発して900キロの道を走り、ラスベガスの会場まで辿り着いたからです。

このときアウディに搭載されていたのがエヌビディアの「Tegra X1」(『こちら』)。

(ちなみに、この時のエヌビディアの株価は現在の80分の1でした)。

当時私は『会社四季報 ONLINE 』に『“近未来”を見据えた投資術 』という記事を連載していました。

近未来に訪れるであろう自動運転の話は面白い。

こう思って、ジャックがラスベガスまで走る動画を紹介したりしました(『こちら』及び『こちら』)。 

もともとエヌビディアの半導体はオンライン対戦型のゲームを楽しむ人々の間では、よく知られた存在でした。

ゲームの動作環境として「エヌビディアGPU搭載パソコンを使うこと」が推奨されたり要求されたりすることが多かったのです。

それがだんだんとゲームだけではなく、自動運転の領域でもエヌビディアのGPUが注目を集めるようになってきました。

その象徴的な事例が2015年のラスベガスCESだったのです。

さてアウディがCES会場を沸かせた翌年、2016年の1月。

エヌビディアは自律走行車向けの車載人工知能エンジン「Drive PX 2」を発表。

人の脳に近いプロセスを行うニューラールネットワークを用いたディープラーニング(いわゆる深層学習、機械学習)を特徴とし、1秒間に24兆回の演算を可能にしました。

この時点ですでに世界で80社の自動車メーカーがエヌビディアのGPUを採用していることが明らかになります。

そして自動運転だけでなく、様々な「モノ」がインターネットに接続され、情報交換するIOT(internet of Things)の時代においても、

エヌビディアのGPUが注目されるようになっていきました。

この年(2016年)の9月、私はテレビ(日経ベリタストーク)で

「IoT時代に岩崎さんが一番注目している(一押しの)銘柄は何か」

との質問を受け、

「エヌビディア」と答えたのを思い出します(『こちら』及び『こちら』)。

その後、エヌビディアのGPUは暗号通貨のマイニングでも広く使われるようになりました(マイニングブームが冷え込むとエヌビディアの株価は一時的に下落。さらに加えてFRBによる金利引き上げたにも反応して下落)。

そして今度は生成AIです。 

昨年11月30日に Chat GPT-3.5 が発表されると、当時169ドルだったエヌビディアの株価は、上昇基調を強めていくようになります。

現在エヌビディアのPE Ratio(株価収益率=株価を1株当たり利益で割る)は200倍を超えます。

これを「バブル」と見る人もいれば、反対に、

「現状よりさらに高度なAIを開発するにはGPUを3万~5万個使っても驚きではない」(イーロン・マスク)

と考える人もいます。

もっとも最近ではグーグルなど他のテック大手も半導体の開発に力を入れていることも見逃せません。

単純にエヌビディア独り勝ちの未来があるほど「競争の世界」は甘くはないのかもしれません。

それにしても、8年前にあれほど騒がれた自動運転。

たしかに今ではサンフランシスコやアリゾナ州、中国の北京などで自動運転のタクシーなどが見受けられるようになりました。

しかしまだまだ身近のものにはなっていません。

今後更に技術のブレークスルーが進むことを期待したいー

そんな思いでエヌビディア株を持ち続けている投資家も多いのかもしれません。

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