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2024年1月27日 (土)

生涯現役、定年後は「好き」を仕事に

私ごとで恐縮ですが、40年以上も前のことです。

当時、興銀に勤めていて、まだ20代でした。

人事部から電話があり、「何事か」と思って行ってみると、「米国シカゴに赴任して欲しい」と言われました。

この後5年近くをシカゴで過ごすことになるのですが、もちろん希望していた訳ではありません。

事前に何の話もなく、まさに晴天の霹靂でした。

そしてシカゴは冬が寒くてたいへんでした。

ウィンディ・シティと呼ばれ、風が強くて、体感温度はマイナス10℃にも20℃にもなります。

会社勤めをするということは、どこに住むのか、どういった仕事をするのかについて、多くの場合、自分でコントロール出来ません。

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      (写真は日経新聞電子版の当該記事サムネ)

もっとも最近の若い人は、こうした滅私奉公的な、昭和的価値観から少しずつ距離を置いてきているように思います。

中には、FIRE(Financial Independence, Retire Early;経済的な自立による早期リタイア)を目指す人も多いと聞きます。

会社から離れて、早く自由になりたいということなのでしょう。

ところで話は変わりますが、日本で60歳以上で仕事をしている人に聞くと、44%の人が「75歳を超えても働いていたい」と回答しています(内閣府「高齢社会白書」)。

FIREを目指している若者からすると、「何で?」といった感想になるのかもしれません。

なお米国で何歳まで働くつもりかを聞くと、54%の人が65歳以下と答えています(下図;出所は『こちら』)。

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こうした統計の数字を並べてみても、あまり意味ないのかもしれません。

「働く」ということに対しての捉え方が、人それぞれで違うからです。

そんなことを考えながら記事を書き、日経新聞に寄稿しました。

『こちら』です。

明日発売の日経ヴェリタス紙にも掲載されます。

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2024年1月 9日 (火)

今年から始まった新NISAについて

本日は日経CNBCテレビ『日経ヴェリタストーク』に出演するため、昼間、大手町の日経本社ビルに行きました。

本日の日経平均は取引開始後10分ほどで(9:10 AM)33,990円をつけ、34,000円台に迫る勢い。

そんなこともあってか、ここで働く人たちも、いつにも増して明るく感じました(気のせいかもしれませんが)。

番組のトッピクスは今年から始まった新NISAについて。

【1】新NISAはどう評価できるか

これまでのNISAは、たとえば5年経ったらロールオーバーが必要になるケースもあるといった具合に煩雑さが目立ちました。

新NISAはそういった今までのNISAの弱点がかなり改善され使い勝手が良くなっています。

資産形成を図る上で役に立つと思われます。使ってみることをお勧めします。

この制度を作る上で推進役の1人となった内閣府副大臣(当時)が、昨年雑誌のインタビューで次のように発言していました。

『つみたてNISAの導入に向けて関係者をどう説得しようかと考えていたとき、誰かから「米国ではごく普通の仕事をしている、普通の人がミリオネアだ」という話を聞いたの。』

 『「つみたてをしているアメリカ人はザラに1億持っているんだ」って、自民党の会議で言いふらしましたよ。ザラにじゃないかもしれないけれど』

2019年に出した拙著(『こちら』にも、こんな一節があります。

『米国で世帯主が65歳以上の平均所得は月57万円、年収にして680万円』

この数字は現在(2022年の数字)で年収1000万円を超えています(『こちら』)。

65歳以上の世帯年収がこれだけ多いということは、米国の401Kという『年金資金積立制度』が有効に機能しているからと思われます(詳しくは上記拙著をご覧ください)。

つまり新NISA(とくに「つみたて投資枠」)は最初から米国の401Kを意識して作られた訳で、「国も漸く国民の資産形成に真剣に取り組みだした」と評価できるように思います。

【2】年齢によってポートフォリオの資産配分を変えるという考え方について

年齢が上がるにしたがって、ポートフォリオの中身をリスクの低いものにしていくというのは、米国の教科書にも載っている考え方です。

昔から米国では、株と債券の資産配分のルールとして、「100マイナス年齢で株を持て」とか「110マイナス年齢で株を持て」と言われてきました。

すなわち25歳の人は100あるいは110から、年齢である25を引いて、80前後が株式の比率になり、残りは債券の比率になります。

ただ日本の場合は、債券がまだ金利がほとんどつかないといった特殊な事情にあります。

10年ものの個人向け変動国債の金利は税引き後で現状年0.37%。

100万円預けて、3,700円しか金利がつきません。

そういった面では米国の考え方をそのまま今の日本に当てはめることについては違和感を持つ人もいるかもしれません。

(ちなみに米国ではiPhoneに出てくるアップルの定期預金で税引き前4.3%つきます)。

なお債券と言っても、リスクの高いものもあります。

昨年はクレディスイスのAT-1債が全損になりました。

仕組債で大やけどをした人もいます。

Cyprus

    (写真はキプロスの銀行)

更にもう1点。

個別の債券はNISAの対象外です。

【3】NISAで投資して、相場が下落したら、どうするか

株式投資をしていると、相場が大きく下落することもあります。

ウォーレン・バフェットも資産が半分になったことが、これまでに4回あると話していました。

株式投資をする以上、ときに自分の資産が半分になるリスクは覚悟する必要があるように思います。

そんな時、どうするのがいいでしょうか。

個別株ではなくて、S&P500などのインデックス投資の場合は、たとえ半分になったとしても、持ち続けることです。

最悪なのは半分になった時点で狼狽売りをすること。

リーマンショックの時は、米国の株価は半分(正確には46%)になりましたが、5年半で元の水準に戻りました。

1929年の大恐慌の時は、株価は9分の1になりました。

元の水準に戻るのに25年かかりましたが、この間、半年に1回株を買うという積立投資をしていれば(安くなった時に買えるので)、6年で元に戻りました。

多くの人は暴落の相場が続くと、怖くなって降りてしまいますが、下がった時に売らずに、市場に参加し続けていることがポイントです。(繰り返しますが、個別株ではなくて、S&P500などのインデックス投資の場合の話です)。

【4】新制度を機に、初めて投資を始めようという人も多い。基本的なことから教えて欲しい。

まずNISAの口座の開設は銀行がいいか、証券会社がいいかですが、銀行だと株式やETFが買えません。よって証券会社の方を考えるべきです。

とくにネット証券は手数料が割安なのでお勧めです。

次にNISAには(1)つみたて投資と(2)成長投資があります。両方いっぺんにスタートさせてもいいのですが、資金的にあまり余裕のない人や初心者は、つみたて投資から始めるべきです。

たとえば「毎月3万円ずつ投資信託を買っていく」という方式で、これが一番資産形成に向いています。

金額を一定にして購入していく「つみたて投資」方式は、相場が安い時に、より多くの投資信託を買えるという利点があるのです。

なお投資信託にはインデックスとアクティブとがありますが、どちらかというとインデックスの方がお勧め(『こちら』の記事参照)。

信託報酬などの手数料もインデックスの方が安価です。

ネット証券の大手3社を対象に、『ある雑誌』が、『昨年1月から11月末まで、つみたてNISAで、どの銘柄の買い付けが多かったか』を調査しました。

結果は、どの会社でも米国のS&P500に投資するインデックスファンドが第1位でした。

個人投資家の方々はよく勉強していて、ちゃんと分かっているなと思いました。

【5】リタイヤ後の運用について。また全世代を通して新NISAへの向き合い方など

一般的には、さすがに70代になれば、資産を取り崩すのが一般的と考えられていますが、『金融庁の調べ』によると、これまでにNISAで買い付けられた金額のうち25%以上が70代以上によるものとなっています。

なかには80歳以上になっても、つみたてNISAを使って、定期的に積み立てている人もいます。

実際のところ、いまの80代、90代の人と話すと、無駄使いはせずに無理のない範囲で資産を増やせるなら増やして、(自分で使い切るというより)子や孫の世代に残したいという人が結構多いように思います。

つまりどの世代であっても、NISAのつみたて投資枠と成長投資枠は使えると思います。

ただし、NISAにはマイナス面もあります。

損を出した時、NISAでなく一般の株式投資であれば他の利益を出している金融資産と、税務上、損益通算できます。

しかしNISAでは損を出しても、何の救いもありません。

つまりNISAでは損を出さないことが、より一層重要になります。

そういった意味では、個別株よりもインデックス投信、なかでもS&P500とかオルカンと言われるオールカントリー・インデックスが向いていると思います。

ちなみS&P500は30年前と比べると、ちょうど10倍になっています。

なお本日の番組の冒頭部分は『こちら』でご覧になれます。

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2024年1月 1日 (月)

明けましておめでとうございます

今年もよろしくお願いします。

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                            (元旦の朝の富士)

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