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2024年3月24日 (日)

NVIDIA GTC

3月18日~21日に開催されたNVIDIA のGTC(GPU Technology Conference)。

ファン会長の 基調講演(key note)だけでも見ておきたいと思っていたのですが、今日やっと時間が取れて最初から最後までを見ることが出来ました。 

2時間を超えるプレゼンですが、英文の字幕もあり、一見の価値ありだと思います(『こちら』)。

忙しい方は最初の3分間の動画だけでもご覧になってみてください。

下図は昨年10月のNVIDIAのプレゼン資料で、今後のプロダクト・ロールアウト(製品投入計画)を示したものです。

Nvidia-roll-out-2310

H-200は今年の4-6月期にshipmentが始まる(『こちら』)とのこと。

現在のH100およびこれから出てくるH200はいずれも頭文字はHで、このHはGrace Hopper(1906~1992年。1959年にプログラミング言語COBOLを開発)から来ています。

Hの一世代前はA(Ampere)、さらにその前はV(Volta)といった開発コードネームがつけられていました。

さて今回のGTCでは、Hopperの次の世代、Blackwellが発表されました(下図)。

Nvidia-blackwell

これは数学者のDavid Blackwellから取ったもの。

新しいGPUは、B100、GB200といった具合に、数字の前にBlackwellのBが付くことになります。

GPUの性能は、このようにどんどんと良くなりますが、NVIDIAの凄いところは、顧客と一緒になって、エコシステムを創り出しているところ。

TSMCは半導体のファンドリー(顧客が設計する半導体を製造する工場。製造専門の会社)として有名ですが、ファン会長は『NVIDIAはAIのファンドリーを目指す』と力説していました。

社内にはハードのエンジニアよりもソフトのエンジニアの方が多いといった声も聞こえてきます。

未来はもうすぐ、そこまで来ている・・。

動画の最初の3分間を見ただけでも、それを感じることが出来ると思います。

音楽はAI、AIVAが作曲したものです。

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2024年3月23日 (土)

建築家とゼネコン

先月24日に発行されたバークシャーのアニュアルレポート(2023年)。

表紙と目次のすぐ後に、バフェットによるマンガーへの弔辞が掲載されています(下の写真)。

題して『チャーリー・マンガ―:「バークシャー・ハサウェイのアーキテクト(建築家)」(The Architect of Berkshire Hathaway)』

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この中でバフェットは次のように書きました。

『チャーリーは現在のバークシャーの "設計者 "であり、私は "ゼネコン"として彼のビジョンを日々建設していった。』

(Charlie was the “architect” of the present Berkshire, and I acted as the “general contractor” to carry out the day-by-day construction of his vision.)  

昨年11月28日に99歳で他界したマンガー。

あと33日で100歳の誕生日を迎えるところでした。

チャーリー・マンガ―と言えば、歯に衣着せぬ発言で有名でした。

私はそんなマンガーのコメントをバークシャーの株主総会で聞くのが好きでした。

たとえばバフェットは2006年にようやくコカ・コーラの役員を退任したのですが、

マンガーによれば「もっと早く取締役を辞めていればコカ・コーラ株を売れたはずだ」(バフェットの公認伝記「The Snowball」原書681頁)。

昨年5月のバークシャー株主総会にはマンガー(当時99歳)は車椅子に乗って登壇しましたが、

今年の総会では残念ながら彼の姿を見ることが出来ません。

ご冥福をお祈りします。

* * *

話は変わりますが、先週末(3/15)時点で、バークシャーの時価総額は8,883億ドルでした。

これを分解してみると、

保有有価証券(上場株式)の時価が3,660億ドル。

現金および現金同等物が1,676億ドルです。

この2つを足し合わせると、5,336億ドル。

これとバークシャーの時価総額との差(3,547億ドル)が、ざっくり言って、バークシャーの事業会社(保険会社、エネルギー会社、鉄道、キャンデー、家具など)の価値ということになります。

(本当は、現金および現金同等物の中には、事業会社が事業を行っていく上で必要なものも含まれている為、上記計算は正確ではありません)。

保有有価証券(上場株式)の時価(3,660億ドル)の中身を見てみましょう。

全体の74%をアップルなど、たった5社への集中投資が占めています。

Bkr

しかもこの上位5社の顔触れですが、10年前(下図)と比べると大きく変わっていることが分かります。

Bkr10yrs-ago

10前の上位5銘柄で残ったのは、コカ・コーラとアメックスだけでした。

350万もの虚偽口座が作られたウェルズ・ファーゴについては、バークシャーは、22年第1四半期に全株の売却を完了。

IBM株については、17年にほぼ全て売却。

17年8月のCNBCによるインタビューの中で、バフェットは次のように発言しました。

"I was wrong on IBM.  I made a mistake." 

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2024年3月 6日 (水)

一万円出しても読みたい本

最近読んで面白かった本を2つ。

【1】清原達郎著 『わが投資術 市場は誰に微笑むか』

間違いなく今年読んだ本でいちばん面白かった本です。

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生きるか死ぬかの市場を生き抜いて、最終的には抜群のパフォーマンスを手にした著者の言葉はさすがに重さが違います。

アマゾンの書評欄に『一万円出しても読みたい本』と載っていましたが、私も全く同じ感想。

この本が世に出たことを感謝したい、そんな読後感を持ちました。

きっと1回だけでなく、何回か、読み返す本になりそうです。

【2】ビル・パーキンス著『DIE WITH ZERO 人生が豊かになりすぎる究極のルール』

先日、日経新聞の方が来社され、この本の話が出てきたので、買って読んでみました。

       Dwz_

本書のエッセンスをひとことで言うと、

「多くの人はお金を残して死ぬ。

お金よりも人を幸せにするのは"経験"なので、その為にお金を使いなさい」

という内容の本。

これだけ書くと、大したことのないようです(やはり私はとても書評家にはなれない)。

しかし本書には寿命時計とか、目から鱗の話が幾つか出てきます。

(私も早速自分のスマホに寿命時計を入れてみました。すると結構、緊張するものです。「あと〇〇年」とか出てきますので)。

多くの人が老後の為とばかり、資産を増やすことに邁進している現在の日本。

そんな中で、著者の主張は新鮮です。

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2024年3月 5日 (火)

日経平均4万円突破

日経平均が4万円を突破したことで、いろいろな方からコメントを求められます。

基本、巷で言われていることと同じで、何か新しい視点がある訳ではないのですが、

『S&P500やオルカン(オール・カントリー)と比べると、どうか』といった質問も受けます。

両者(たとえばS&P500と日経平均)を比べる場合は、通貨を揃えた方が良いと思います。

【1】ドルベースでの比較(外国人投資家の視点)

たとえば今から約3年前。

2021年2月16日の日経平均株価は、

30,467.75円(このときの為替レートTTMは105.49円)

よってこの時の日経平均はドルで、288.82ドルです。

現在は、日経平均40,097.63円(為替150.42円)。

ドルベースで、266.57ドルです。

つまり約3年の間に日経平均は値下がりしています。

一方、S&P500(米国株)は、

2021年2月16日が、3,932.59ドル

そして現在が5,130.95ドルなので、

30%以上値上がりしています。

【2】円ベースでの比較(日本人投資家の視点)

同じ期間で、日経平均は

30,467.75円→40,097.63円(32%上昇)

一方の、S&P500(円ベース)は、

414,849円(3,932.59ドル×105.49円)

から、

771,797円(5,130.95ドル×150.42円)

へと、86%上昇しています。

* * *

つまり現時点で、日経平均は一見したところ、暴騰しているように見えます(そうマスメディアが騒いでいる)。

しかし、S&P500(そして米国株が62%を占めるオルカン)に比べれば、まだまだ力不足と言えるかもしれません。

もちろん、これから先、短期的には、ドルベースでも、そして円ベースでも、

日経平均のパフォーマンスがS&P500を上回ることがあるかもしれません。

ただ中長期で見ると株価は基本的にはGDP(経済力)の伸びに左右されていく面が強いように思います。

目先の市場に惑わされず、国として経済の底上げを図る(なによりも急速な人口減少に歯止めをかける)ことが重要であるような気がしています。

(注)S&P500の単位はドルではなく、ポイントですが、分かりやすくするため、1ポイント=1ドルと仮に置いて、議論を進めています。

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2024年3月 3日 (日)

IBJ Professorship

IBJとは、Industrial Bank of Japan の略で、海外では興銀(日本興業銀行)のことを英語でこう呼んでいました。

三行統合で興銀の名が消え「みずほ」になってから、残念ながら IBJ の名前も聞かれなくなってしまいました。

銀行としての名は消えてしまったのですが、スタンフォード大学ビジネススクールでは IBJ の名前が残り続けました。

どういうことでしょうか。

1987年、興銀はスタンフォードのビジネススクールに寄付をしました。

当時のビジネススクール学長 Robert Jaedicke はファイナンス(株式投資論)を教えていたマクドナルド教授を冠名教授としました。

IBJ Professorship の誕生です。

マクドナルド教授は、IBJ Professor と呼ばれ、1968年から2017年まで50年間に亘って株式投資論をスタンフォードで教え続けました。

翌18年、教授は80歳で他界しましたが、教授の薫陶を受けた資産運用業界で活躍する人たちがビデオメッセージ(『こちら』)を送りました。

本日の日経ヴェリタス紙に掲載の寄稿記事は、教授のことを思い出しながら書いたものです(『こちら』でお読みいただけます)。

なお記事の中では、マクドナルド教授が授業に招いたゲストスピーカーの名前を例として数名挙げました。

ウォーレン・バフェット、

チャーリー・マンガー、

フィリップ・フィッシャー、

ノーラン・ブッシュネル(アタリの創業者)

しかし大事な人の名前を記事には書き忘れました。

スティーブ・ジョブズです。

1980年、マクドナルド教授は スティーブ・ジョブズをゲストスピーカーとして授業に呼びました。

トピックスは『もしアップルがIPO(株式公開)をするなら、いくらの値段が適当だろうか』というもの。

ちなみにこの時のジョブズは25歳。

そしてこの年の12月12日、アップルはIPOを実施。

売出価格は1株22ドルでした。

その後、アップルは何度か株式分割をしていますので、分割調整後のベースでは、売出価格は0.1ドル。

現在アップルの株価は約180ドルですので、当時1000ドルを投じていれば、180万ドル(2.7億円)になっている計算です(そのほかに配当金として16万ドルを得ている計算)。

1980年当時のジョブズを交えての、IPO価格に関するクラス討論、きっと興味深いものであったに違いありません。

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(Jack McDonald, From the website of Stanford Business School, Photo by R.J. Muna)

最後に、マクドナルド教授にビデオ・メッセージを送った人々の名を記しておきます(ビデオに現れた順番。なお資産運用業界の人に限定して載せます)。

Sandy Dean, Sansome Partners

John Saer, GI Partners

John Zellerbach, BE Properties, Inc.

Wallace Hawley, InterWest Partners 

Charles R. Schwab, The Charles Schwab Corporation 

Steve Denning, General Atlantic 

John S. Osterweis, Osterweis Capital Management 

Warren Buffett, Berkshire Hathaway Inc.

Andreas Halvorsen, Viking Global Investors, L.P.

Bill Barnum, Brentwood Private Equity

Peter Chung, Summit Partners 

Jody Fowler Jonsson, The Capital Group

Mary Ellen Martin Zellerbach, Martin Investment Management, LLC 

Jim Coulter, TPG Holdings 

Frank Quattrone, Qatalyst Partners

Gene Skyes, Goldman Sachs Group, Inc.

John H. Scully, SPO Partners & Co.

Bill Oberndorf, Oberndorf Enterprises, LLC 

Carter McClelland, Union Square Advisors

Glenn Solomon, GGV Capital

Charlie Anderson, Fox Point Capital 

Don O’Neal, The Capital Group

Doug Valenti, QuinStreet, Inc.

Dave Hodgson, General Atlantic 

Alex Seaver, Stadium Capital Management

Bill Matthes, Behrman Capital

John Hurley, Cavalry Asset Management

Hadley Mullin, TSG Consumer Partners 

Mike McCaffery, Makena Capital Management LLC 

Tim Bliss, Investment Group of Santa Barbara

Thomas A. Russo, Gardner Russo & Gardner LLC

Bill Ford, General Atlantic

John Bartholdson, Juniper Investment Company, LLC

Reece Duca, Investment Group of Santa Barbara

Ed McDermott, Spring Tide Partners

Michael Fisch, American Securities LLC

Terry O’Toole, Macanta Investments LLC

George Davis, Hotchkis & Wiley

Lizzie Fisher Marshall, Hall Capital Partners LLC

John Anderson, Anderson Dealership Group

Ori Uziel, Uziel Capital Management, LLC 

Tom McKinley, Cardinal Partners

Pete Masucci, New Mountain Capital, LLC

Ted Muhs, The Muhs Company, Inc.

Christine Hammer, Hammer & Associates, Inc.

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