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2024年10月28日 (月)

連続増配企業

本日は日経CNBCテレビ『日経ヴェリタストーク』に出演しました。

テーマは連続増配企業について。

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以下、キャスターの曽根さんからの質問とそれに対する私の答えです(放送内容に更に加筆しています)。

【1】連続増配銘柄はどういう点で魅力があるといえるか。

投資の世界では「常識を疑え」とよく言われるが、連続増配企業が魅力的かどうかを考えてみる必要がある。

日本では「日経連続増配株指数」という指数がある。

国内に上場する銘柄のうち連続増配を続ける銘柄から構成される時価総額ウエート方式の株価指数で、

70銘柄で構成される(『こちら』)。

この指数と日経平均を比べると、下記の通りで、連続増配株指数は日経平均に割負けている。

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次に海外に目を転じると、米国ではS&P配当貴族と呼ばれる指数がある。

S&P500に採用されている企業のうち、25年間以上にわたって連続して毎年増配している企業66社から成る(『こちら』)。

この配当貴族とS&P500とを比べると、下記の通りで、配当貴族はS&P500に割負けている。 

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つまり、意外に思われるかもしれないが、日本でも米国でも連続増配企業のトータル・リターン(TR)はベンチマークたる日経平均やS&P500に割負けている。

なぜか。

過去5年間とか10年間で見ると、経済状況は不況ではなく、株価は比較的堅調だった。

連続増配企業は一般に不況抵抗力が強いと言われていて、不況の時にTRがベンチマークを上回るケースが多い。

そもそも投資家の立場からすると(1)配当金で貰うことと(2)配当せずにその金を企業の方で投資に回してもらって株価を上げてもらう、という2つの道筋がある。

どちらがいいかと言うことだが、この2つにそれほどの差はない。

むしろ途中で配当金をもらうと20%強の税金がかかるので、配当せずに企業の方で投資に回してもらって、株価を上げてもらった方がいいという投資家も多い。

たとえば米国のアマゾンは20年間で株価が110倍になったが、この間、1銭も配当していない。

日本では最近、株主還元ばかりが注目されるが、ほんとうは、配当金や自社株買いで還元してもらうよりも、企業の方で、きちんと投資してもらって株価を上げてもらう方が有難い。

ただ最悪なのは、これまでの日本企業に多かったパターンで、

配当はあまりせず、かといって投資もあまりしない。

ひたすら内部留保を貯めて、安全経営に徹するという企業。

こうした企業に比べると、きちんと配当して、しかもそれを着実に増やしてくれる企業は評価できると思う。

【2】連続増配企業の中には20年間でテンバガーを達成したところもあるが・・

20年の間にテンバガー(株価が10倍)になるというのは、年率平均で株価が年12.3%で上昇したということ。

これはこれで凄いのだが、この位の形で株価が上昇する企業は米国ではたくさんある。

何よりもS&P500は今年に入って10か月間が経ったが、この間、22%上昇している。

もう少し個別銘柄で見ていくと、たとえば日本の投資家が好んで買っているアップルは、20年間に株価が321倍になった。

アマゾンは110倍、グーグルは35倍、マイクロソフトは25倍である。

フェイスブックは20年前には上場していなくて、上場したのは12年前だが12年間に株価は17倍になっている。

つまりGAFAと言われる4社はいずれも20年間に10倍どころか、それをはるかに上回るペースで株価を上昇させてきている。

【3】連続増配企業の中には地方の優良銘柄も少なくない

地方の優良銘柄というのは、地方でビジネスモデルを磨き、地域社会の中で圧倒的地位を確立してきた会社。

たとえばニトリは1967年に北海道で創業し、25年間ずっと北海道に留まって、ビジネスモデルを磨いてきた。

そして1993年になって、本州1号店を茨城県に開いている。

ウォーレン・バフェットは競争力のある会社を moat (お堀)に囲まれている城のようだと表現したが、地方で圧倒的な優位性を持つ会社はまさに moat に囲まれていると言える。

【4】連続増配企業はなぜ市場の調整局面や急落時に強いのか

連続増配企業が調整局面や急落時に強いのは、キャッシュフローが安定している会社が多いから。

日用品、雑貨、小売りなどにこういった会社は多い。

その反対が半導体などテクノロジー系の会社で、キャッシュフローは上下にかなり触れるが、

グロース株ということで、長い目で見ると、かなりの勢いで成長してきている会社。

ただしこれらのハイテク株は金利が上昇するとか、アゲンストの風が吹く時には、抵抗力に乏しい。

【5】日本企業の資本コスト経営に対する取り組み方が変わってきたという印象だが・・。また、さらなる改善点や期待などあるか。

私の印象はようやく1990年代(30年前)の米国に近づいてきたというもの。

昔の日本の経営者は売上やマーケットシェアを重視した。

そして儲けた金は内部留保として取っておいた。

これはバブル崩壊の過程で、企業が倒産していくのを目の当たりに見てきたから。

終身雇用だし、米国のように従業員の首を切れない。

よって安全性の糊代を大事にしてきた。

当時は、株価とか株主のことを考えなかった。

ただ現在では、昔流の経営を続けていくと、株価は上がらず、会社は買収されてしまう。

同意なき買収というものが出始めて、今や日本は30年前の米国のようになってきた。

さて、さらなる改善点や期待だが、

配当や自社株買いにばかり躍起になっている会社があるとしたら、大問題だ。

株主としては、企業にお金を預けているのは、それで企業が投資してリターンを上げ、株価上昇という形で株主に報いて欲しいから。

今週の日経ヴェリタス紙の2頁の表を見ると、

日本で20年以上にわたって増配を続け、株価が10倍以上にもなった会社が10社も出てくるが、

同じ20年間で米国のアップルの株価は321倍になり、アマゾンは1銭たりとも配当せずに株価が110倍にもなった。

連続増配も大事だが、企業のアニマル・スピリットにも期待したい。

* * *

なお番組については『こちら』でご覧いただけます。

また水曜日の 12:10~12:25、および 21:00~21:15 の2回にわたって再放送されます。

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2024年10月18日 (金)

ヘッジファンドの業界

NYメッツ対LAドジャーズ第4戦。

大谷選手が本塁打を打ち、先発山本投手も好投。

ところでメッツのオーナーのスティーブ・コーエン氏は、ヘッジファンド業界で成功した人として知られています。

フォーブスによると個人資産3.2兆円。

そもそもヘッジファンドの世界で成功している人とはどんな人なのでしょう。

1年以上も前になりますが、日経新聞の記者が来社された際に、こんな質問を受けました。

その時の答えはシンプルなもので、

『ネットフリックスで配信されているビリオンズを見るのがいちばん分かりやすい』。

このドラマ、SMの場面があったりするので、家族で見る際には注意が必要ですが、番組に出てくるブルームバーグの端末など、細部にまで拘りがあり、よく出来た作品だと思います。

ビリオンズはフィクションなのですが、実際にあった検察官とヘッジファンド・オーナーとの戦いがベースになっています。

そして、このときのヘッジファンド・オーナーがまさに現在ニューヨーク・メッツのオーナーとなっているスティーブ・コーエン氏なのです。

(注:コーエン氏が設立したヘッジファンド『SAC Capital Advisors』は2013年インサイダー取引に従事したと摘発され、18億ドルの支払いを命じられた)。

今年2月、ブルームバーグが発表したヘッジファンド創業者たちの長者番付がこちら(↓)。

Hedge-fund

コーエン氏の名前も見えますが、実は今回、このグラフでいちばん右側に見えるアックマン氏のことを書いて、日経新聞(電子版)に寄稿しました。

なぜコーエン氏ではなく、アックマン氏なのか。

理由は簡単で、米国で著名なレックス・フリードマン氏のポッドキャストにアックマン氏が出演したのを聞いたのですが、これがかなり面白かったから。

ポッドキャストでアックマン氏は3時間半以上にわたって熱弁をふるったのですが、まったく長さを感じさせない興味深いものでした。

とくに前半、彼は、自分の投資手法について述べるのですが、よく聞いてみると、これは日ごろウォーレン・バフェット氏が言っていることに極めて近いもの。

詳しくは日経の記事(『こちら』)をご覧になってみてください。

明後日発売の日経ヴェリタス紙にも掲載されます。

いずれにせよ、ビリオンズに登場するボビー・アクセルロッド(役名)や、スティーブ・コーエン氏、ビル・アックマン氏など業界で評判になる人たちは濃いキャラの人が多いというのが私の印象です。

蛇足になりますが、大谷選手がコーエン氏の自宅に招かれたり、松居一代さんがアックマン氏と同じマンションだったり(『こちら』)といった具合に、日本人との接点も増えているように思います。

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