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2025年3月30日 (日)

日経ヴェリタス(紙版)最終号と「青い壺」

もう10年以上も前のことですが、日経ヴェリタス編集長(当時)からお昼をご馳走になり、その席でヴェリタス紙への寄稿を求められました。

そこで始めた連載が「Money Never Sleeps」。

14年12月の第1回から17年6月まで、19回にわたって、金融の世界で私が出会った人たちを中心に記事を書きました。

アベノミックスが始まると耳にして、突然来日して面会を求めてきたアフガニスタンの富豪とか、

キプロス島に来ないかと誘ってきたロシア人のヘッジファンド創始者などの話です。

20年3月からは「投資力を磨こう」とのテーマで、51回にわたって連載を続けました。

そんな日経ヴェリタスも紙版は今日が最終号です。

すでに電子版がスタートしていますので、私の連載記事もこれからは電子版の方に引き継がれます。

ということで、「たまたま」なのですが、栄えある(?)最終号に私の寄稿記事が載りました。

題して、『「青い壺」で読む、支配されない運用』。

「青い壺」は有吉佐和子によって半世紀近くも前に書かれた小説ですが、「定年、相続、お金」といった現代にも通用する話が綴られています。

13の短い話で構成されているのですが、第2話では、デパートで壺を買い求めることになる定年退職後の夫と妻の話が出てきます。

夫、寅三68歳と、妻、千枝。

千枝は若い頃は、舅と姑に叱られ、それでも彼らに尽くし、やがては順を追って見送りました。

やっとのことで老後は寅三と二人きりの静かな暮しができると思っていたのですが、実際は違っていました。

「寅三が会社をやめて半年たつと、千枝は遂に音をあげてしまった。夫がくる日もくる日も毎日家にいるという生活は、千枝が結婚して以来、初めての経験であったし、おまけに寅三は家の中ではガスに火ひとつ点けることもできないほどの役立たずなのである」。

こんな魅力ない男と、よくも五十年連れそって来たものだと、千枝は嘆きます。

それでも夫妻は、連れ立ってデパートへ買い物に行きます。

寅三が会社で世話になった上司への贈答品を求めるためです。

そして買い求めた青い壺を持って、寅三は久しぶりに会社を訪れるのでした。

しかし、問題はその後です。

上司だった副社長に壺を届けた後、寅三は会社の階段を下りて、以前いた自分の席に戻ってしまいます。

そして右手で印を取り、伝票をゆっくりめくりながら判を押し始めるのでした。

「印を取って、伝票に判を押す」というあたりは、まさに昭和の小説であり、現在ならば「端末のキーを押す」となるのでしょうか・・。

Photo_20250330104601

なお今回の寄稿文は、日経ヴェリタスの電子版にも掲載されています。

『こちら』です。

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2025年3月24日 (月)

真の「配当貴族」を探せ

本日は、日経CNBCテレビ『日経ヴェリタストーク』に出演しました(『こちら』)。

トピックスは『真の「配当貴族」を探せ』。

時間の関係で、番組内でお話することができなかった点を中心に以下を記します。

Photo2

トランプ大統領による矢継ぎ早の政策発表で米国の株式市場が混迷しています。

これまで相場をけん引してきた米国の大手テクノロジー株は、3月19日現在、最高値に比して2割前後も下落しています。

具体的には、エヌビディア(▲21%)、アマゾン(▲19%)、アルファベット(▲21%)。

なおテスラに至っては▲48%も下落しています。

そういった状況を受け、日経平均株価も年初の39,307円から本日37,608円と、年初から比べると 4%ほど下落。

こうした相場環境のもとでは確たるキャッシュが欲しいという人が増えてきていて、高配当株が注目を集めるようになってきています。

とくにシニア世代、年金世代にとっては、定期的にきちんと配当金がもらえるというのが、結構大事なポイントになっているように思います。

【1】そもそも配当貴族とは?

配当貴族という言葉は、S&P Dow Jones Indices 社が使い始めたことで急速に広まりました。

英語でDividend Aristocratsと言います。

指数を開発しているS&P Dow Jones Indices 社は、25年以上、連続して増配を続ける企業を集めて、「S&P 500 配当貴族指数」という名をつけて指数化しました。

2024年の資料によると、この指数を構成するのは67社。

こういった指数に投資したいという方には、この指数に track する ETF もいくつか開発されていて、日本のネット証券でも買えます。

たとえば Ticker Code が NOBL というETF。

貴族のことを英語でNOBLEとも言うのですが、恐らくはその理由で、Ticker Code(Ticker Symbolともいう)を NOBL と名付けたのでしょう。

ちなみに話はそれますが、米国には、このように粋な Ticker Code が結構あって、たとえばフェラーリ社の Ticker Code は RACE です(恐らくはカーレースから来たものと思われます)。 

話がそれたついでに、もう1点追加しますと、(25年ではなく)50年以上増配を続ける企業は、Dividend Kingと呼ばれています。

日本には該当する企業はありませんが、米国では、Procter & Gamble 社(P&G)や Johnson & Johnson 社など、Dividend King の会社は結構あります。

【2】高配当株をどう評価するか

株式投資に何を求めるかは、投資家によって違うので、一口に「高配当株がいい」とか「配当を出さないキャピタルゲイン狙いの株の方がいい」と結論づけることは出来ません。

無配の会社であっても、たとえばアマゾンは世界第4位の時価総額を誇り(2.1兆ドル)、株価は10年間で11倍になっています。

(1)高配当株の利点

配当という形でキャッシュを実際に手に入れることが出来る。

(2)高配当株のマイナス面

現金で配当金をもらってしまうと、その分(キャッシュで貰ってしまった分)、投資先の会社での再投資効果(複利運用に近い発想)が期待できない。

税金面でも(NISAで運用している人は、配当金が非課税になるが)NISAの枠をはみ出して投資している人にとっては、配当金に20.315%の税金が発生してしまう。

もちろんキャピタルゲイン狙いで投資しても売る時には税金が発生するが、退職して収入の少ない時に株を売るなどして、(税金を意識しながら)売るタイミングをある程度コントロールできる(と言っても株価が下がってしまえば、元も子もありませんが・・)。(注:株式の譲渡所得は分離課税なので他の収入が少ない時に売ってもそれで税金が少なくなる訳ではありません)。

【3】ニッチトップ戦略など

以上のほか、番組では(1)中堅企業のニッチトップ戦略、(2)日本で唯一35年間連続増配を続ける花王がOasisに狙われた背景、(3)バフェットによる商社株購入、(4)高値掴みの避け方などについてカバーしました。

是非ご覧になってみてください。

再放送は、水曜 12:10~12:25、および同じく水曜日 21:00~21:15 です。

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