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2025年5月 4日 (日)

ウォーレン・バフェット氏は総会で何を語ったか

【1】投資家の目で見た米国

(質問)かつて、あなたは「投資をする上では米国に生まれたことが追い風になり、resilience(困難を乗り越え回復する力)に恵まれた」と語ったが、今でもそう思うか。

(バフェット氏)米国に生まれることが出来るというのは、当時、たった3%の確率しかなかった。このチャンスをものにした日、つまり生まれた日こそが、私にとって人生で最も幸運な日だった。

歴史を振り返ると、米国はいろんなことを経験してきた。大恐慌、世界大戦、原子爆弾の開発などだ。

現在、いろんな問題が山積みされているからといって悲観的になることはない。

もし生まれてくるのが95年前でなくて現在だったとしても、私は米国人に生まれたことを幸運に思うだろう。

【2】関税の問題について

(バフェット氏)250年前、米国はタバコとコットン(綿花)を生産していて、それを他国と交換することによって成長してきた。

そのことを忘れて、75億人の人たちの犠牲のもとに3億人の米国人を優先するのは間違いだ。

貿易は戦争になり得る(Trade can be an act of war)。

しかし貿易を武器として使うべきではない(Trade should not be a weapon)。

米国以外の世界ももっと繫栄するようになれば、世界は安全になり、我々の子どもたちは安全と感じるようになる。

3億人を擁する国が成功したからといって、残り75億人に対して「こうしろ」と教え込むようなことはすべきではない。

【3】日本の商社株への投資

(バフェット氏)6年前だったか、日本の商社株への投資を始めた時、株価がとんでもなく安かった(ridiculously cheap)。

商社株は(後任の)グレッグ次第だが今後50年間売るつもりはない。

我々は商社株に $20 billionほど投資したが、ほんとうは $100 billion くらい入れたかった。

バークシャーは巨大になり過ぎてしまって、サイズが大きいことが我々にとって最大の敵となってしまった。

【4】安易に金を儲ける人たちについて

(バフェット氏)あなたの周りで、真っ当でないことが起きていたとしても、それに参加すべきではない。

借金をしてお金持ちになっている人がいたり、大したことのない証券に投資して金を儲けている人たちがいたとしても、彼らは将来傷つく可能性がある。

こうした人たちのことを気にせず、自分の道を行くべきだ。

【5】為替リスクについて

(バフェット氏)10年先、20年先のことを考えてバークシャーを経営してきた。

つまり今期の業績とか四半期の業績を考えたことは無く、為替のことも短期では気にしない。

日本の商社に投資しているが、日本円が地獄(hell)に落ちるように落下していくと考えるのであれば、最初から日本に投資などしない。

心配なのはむしろ米国かもしれず、これは世界共通のことなのだが、政府というのは、どこも「お金を使いすぎる」ことが多い。

その結果、通貨は弱体化する傾向にある。

財政赤字とか通貨の価値というのは一般的に言って scary things(怖いもの)だ。

【6】自動運転が普及することの影響

(Ajit Jain氏)自動運転車の普及によってバークシャー傘下 GEICO の自動車保険ビジネスは大きく変わるだろう。

自動運転車は人間が運転するよりも事故率が圧倒的に低い。

事故数は減るが、1件の事故当たりの修理代は増えるだろう。

今後は製造物責任保険が重要なビジネスになるかもしれない。

【7】アップル株投資と自社株買い

(バフェット氏)税法の改正により、自社株買いをすると1%の税金を取られるようになった。

これによりバークシャーによる自社株買いはコスト高になったが、もっと気の毒なのはアップルだ。

アップルは年に1000億ドルの自社株買いをしているが、これに1%の税金がかかるので、年10億ドルのコスト(税金支払い)になる。

負担しているのはアップルの株主であり、バークシャーもアップルの株主だ。

更に付け加えると、この1%の税金を増やしたいという動きも出てきている。

【8】最近の株式市場の乱高下について

(バフェット氏)株式市場はもともとvolatile な(変動率が高い)ものだ。

私が生まれた時、ダウ平均株価は240だったが、2年後の1932年には41まで落ちた。8割以上の下落だ。

【9】DOGE(政府効率化省)について

(質問)DOGE(政府効率化省)についてどう思うか。

(バフェット氏)官僚主義というのは contagious なものだ(伝染する)。

これによってプライベート・セクター(民間分野)は窒息してしまう。

民間の会社は効率に経営することを考えていて、バークシャー傘下の保険会社 GEICO は、かつて5万人の従業員がいたが、3万人に減らした。

そこで浮いた資金を technology に投資した。

財政赤字を考えると、このままでは続かない。Sustainable(持続可能)ではないのだ。

どこかの時点で制御不能になってしまう(uncontrollable at some point)。

合衆国の歳入と歳出を見ると、現在7%のギャップがあるが、恐らくは3%のギャップが持続可能(sustainable)な水準のはずだ。

これを埋める仕事はたいへんで私個人はそんな仕事はしたくはないが、ギャップを埋めるのは必要なことだと思う。

通貨価値が堕落していく(debased)のは避けなければならない。

【10】バフェット氏の後任

(バフェット氏)明日の取締役会でグレッグ・エイブル氏を次期バークシャーの CEO(最高経営責任者)にするよう提案したい。

グレッグにはこのことを話したことは無く、彼はいまここで初めてこれを知ったはずだ。

取締役会が承認すれば年末にはグレッグが CEO になる。

「政府が困難な状況に陥ったとき、バークシャーは liabilities(重荷、障害)であるよりも、assets(強み)である」との評価を受けてきた。

そういった意味で、これから先も私がグレッグの助けになる局面が出てくるかもしれない。

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