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2025年5月19日 (月)

霧中の企業業績

本日は、日経CNBCテレビ『日経ヴェリタストーク』に出演しました(『こちら』)。

トピックスは『霧中の企業業績』。

時間の関係で、番組内でお話することができなかった点を中心に以下を記します。

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【1】個人投資家としてどこに資金を向ければよいか

(質問)ムーディーズによる米国債格下げなど、いろいろな動きが出てきている。先行きが不透明な中で、資金をどこに向ければ良いか迷っている個人投資家の方も多いと思う。

(答え)個人投資家の方はS&P500やオルカン(オールカントリーズ)に資金を入れているケースが多いと思う(『こちら』)。

これをいま敢えて変更する必要性はとくにないように思う。以下、詳しく説明したい。

【2】いま米国で起きていることは急に起きたことか

米国の双子の赤字、貿易赤字と財政赤字は未来永劫的に継続できない。

米国の貿易赤字は、GDP比4%であり、これはいわば米国が他国から借金をして他国のモノを買っているようなこと。

一方、米国政府の財政赤字はGDP比7%に迫る。

スコット・ベセント財務長官によると、2年前トランプ氏に呼ばれてフロリダの私邸(Mar-a-Lago)を訪れた際に、

トランプ氏から「リセッション(景気後退)にならないように気をつけながら、どうやって財政赤字の問題を解決するんだ?」

と聞かれたという。

詳しくは『こちら』の動画の22分45秒あたりをご覧いただきたいが、

トランプ氏は大統領になる前から、財政赤字と貿易赤字はともに持続不可能と考えており、放置すれば、もっと大きな問題に発展する可能性が高いと認識していた。

そして経済を後退させることなく、この問題を退治したいとの強い意向を持っており、彼のこの質問に対するべセント氏の答えに納得したからこそ、

大統領になった際に、べセント氏を財務長官に指名したのだろう。

この時のべセント氏の答えは上記動画に詳しいが、急激な変化は景気後退を誘発しかねない為、2028年をターゲットに財政赤字をGDP比7%から、3~3.5%にしたいと考えていることが分かる。

トランプ大統領やべセント財務長官の取り組みが成功するかどうか分からないが、このまま放置すれば財政赤字にしろ貿易赤字にしろ、unsustainable(持続不能)なのは明らかで、傷口が広がらないうちに、先送りせずに問題解決したいとの意向だ。

そのためには、ある程度の軋轢は生じようが、かと言って「景気後退は避けたい」とのスタンスは鮮明だ。

またべセント長官は上記だけでなくいろんなインタビューで述べているが、強いドルを望むとの立場。

しかしbilateral(二国間)の関係で、為替が貿易不均衡の要因になっているのであれば、その部分については是正が必要と考えている。

私は今でも鮮明に覚えているのだが、1981年にレーガン氏が大統領になった時、米国のインフレ率は約12%だった。この時、サプライサイド・エコノミックスの政策が取られ、これに対して多くの経済学者が反発、当時としてはかなり混乱した。

しかしその後インフレは収まり(83年1月3.7%)、株価もレーガン氏が大統領だった8年間で2倍以上になった。

今でもサプライサイド・エコノミックスは経済学的に間違いだとする説が多く、またインフレを退治したのは、ポール・ボルカ―氏(当時のFRB議長)だと主張する人も多いが、いずれにせよ1974年から続いていた高いインフレはレーガン大統領の時代に収まった。

当時と今回では情勢も全く違い、デジャブ(déjà-vu)であると考えている訳ではないが、米政権が考えていることを頭ごなしに否定するのではなく、これを理解しようとする姿勢は重要であるように思う。

【3】FRBパウエル議長とべセント財務長官の関係

トランプ大統領がパウエル氏に圧力をかけているといった情報が伝わり、FRB(パウエル氏)とべセント財務長官との関係はどうなんだろうと疑問に思う向きもあるかもしれない。

しかし『こちら』のインタビューからも明らかなように(注:12分53秒あたり)、パウエル議長とべセント長官は、毎週1回は必ず朝食を共にしていろんな問題を協議するという。

インタビュー動画では、べセント氏のこの発言を受けて、インタビュアーのAnnmarie Hordern氏がすかさず『それでは先週も朝食を共にしたのですね』と畳み込んだ。

この辺のやり取りはさすが・・。

これに対して、べセント氏は『もちろんです。先週は away game だったので、私がFRBを訪れました』と回答。

政権としてFRBと緊密に連絡を取り合っていることをアピールしていた。

* * *

(追加)

【4】バフェット氏の引退

なお本日の番組の最後に、突然バフェット氏引退の話が出て来て、ほとんど時間がなくて答えられなかったのだが、先週WSJ(ウォールストリートジャーナル紙)がCEO退任(今年中に退任)表明後のバフェット氏にインタビューした時のことに触れた(『こちら』)。

バフェット氏いわく:

『今年95歳になるが、90歳になった辺りから年齢を感じるようになった。

人の名前をよく「ど忘れ」するようになった。

グレッグ(注:後任CEOのグレッグ・アベル氏のこと)が10時間になしえることと、

私が10時間に出来ることとを比較すると明らかに違う。

こういった状況でCEOを務め続けるのはグレッグに対してフェアではないと考えた。

ただCEOは辞めるが、家にこもってソープオペラ(soap opera)を見る訳ではない。

投資の意思決定について年齢は関係ない。

人々が恐れる時、私は恐れない』

* * *

バフェット氏らしいコメント・・。

普通の人は60歳あたりから、時おり人の名前が出て来ないようになるだが・・。

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