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2025年8月13日 (水)

メタ、AI事業の現在地(その3)

(続きです)

AIの賢さを高めるうえでは、単調で地道なラベル付け作業が欠かせません。

スケールAIは、こうした単純なラベリング業務をアフリカや南アジアなどの労働者を安価に雇って行わせてきました。

なお単純なラベリング業務の実態については、NHKが『BS世界のドキュメンタリー』で『AIの不都合な真実』と題して報道したこともあります(『こちら』)。

スケールAIが行うのは、単純なラベリング業務だけではありません。

AIが進化するにつれて、より高度で専門的なトレーナー業務も必要となります。

これには先進国の大学院生やエンジニアたちが当たってきました。

彼らの時給は比較的高く、日本の場合で約4600円の例が報道されています。

彼らはアルバイトとして雇われ、すき間時間を使ってトレーナー業務に従事します。

こうしてスケールAIは、マイクロソフトやオープンAI、トヨタ自動車などの顧客企業に対して、ラベル付けやAIトレーナー業務を提供してきました。

そしてAIインフラの中核を担う存在として評価されてきました。

スケールAI社は、22年5月の段階で未公開企業としての評価額が70億ドルに到達。

ワン氏は25歳にして「ビリオネア」(資産10億ドル以上)になったと報じられました。

そして25年6月、メタは約2兆円を投じてスケールAIの株式49%を取得しました。

このディールによって、ワン氏はスケールAIのCEO(最高経営責任者)職を配下のジェイソン・ドロージ氏に譲ります。

そして、自らは「スケールAI社」の取締役に退きつつ、「メタ社」のチーフAIオフィサーに就任したのです。

これまで(5月末まで)メタのAI開発を率いてきたピノー氏は、査読付き論文200本以上を発表してきた世界的なAI研究者です。

対するワン氏は、ラベリングを中心とするAIインフラ分野で実績を上げてきた起業家。

メタのCEO、ザッカーバーグ氏としては、AI事業のテコ入れを図る上では、学者ではなく、起業家としての突破力と実行力が必要だと考えたのでしょう。

2兆円を投じたメタの「大胆な一手」は、はたして成功を収めるのでしょうか。

株式市場はまだその行方を見定めている段階です。

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2025年8月 8日 (金)

朝日新聞東京本社本館

朝日新聞東京本社ビル(本館)1階に本社受付があるのですが、

そのすぐ脇の写真。

Asahi

なんか変です。

この画像をチャットGPTに見せたら、画像を読み込んで違和感の原因を指摘してくれました。

【以下はChatGPT-5(早速使ってみました!)の答え】

はい、この画像には英語の文法的な不自然さがあります。

窓に書かれている文は:

We accelarate your business to make the world better.

ですが、"accelarate" は誤字で、正しくは accelerate です。

正しい文章例:

We accelerate your business to make the world better.

つまり、スペルミス("accelarate" → "accelerate")があるのが一番目立つおかしな点です。

このままだと「世界を良くするためにビジネスを加速する」というかっこいいスローガンが、ちょっと惜しい感じになってます。

【以上がChatGPT-5の答えです】

朝日新聞は自社の玄関の脇ですので、早く直すように手配した方がいいです。 

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English translation of Aug. 6 entry

This is English translation of my August 6 entry.

* * * * *
Eighty years ago, on August 6, the first atomic bomb in human history was dropped.

Over a hundred thousand lives were taken in Hiroshima.

Today is August 6.

And on this day, I am reminded of a story from my youth.

When I was in high school, I studied abroad in the United States for one year through AFS program.

I often spoke at community events, as I was “an exchange student from Japan”.

After each speech, people would ask questions.

Some were lighthearted:

“What’s your favorite American food?”

When I once answered, “Rice,” the room burst into laughter.

But there were other questions as well.

“What do you think of HIROSHIMA, the atomic bombing?”

I told them—

The horror of the atomic bomb is not only in the instant destruction,

not only in the hundred thousand lives taken in a flash,

but also in what comes after.

For the survivors, the risk of leukemia and other cancers rises for years to come.

For those exposed while still in the womb, disabilities could appear later in life.

And almost always, the response from the audience was the same:

“I never knew that.”

And I realized something.

We Japanese must do more to share the truth—

the full truth—

about the horror and the cruelty of the atomic bomb.

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2025年8月 6日 (水)

晩発性障害

『メタ、AI事業の現在地』の続きを書こうと思ったのですが、8月6日ですので、これに関する話題をひとつ・・。

AFSで留学していた高校時代の話です。

私が留学していたニューポートビーチ市は全米有数の富裕層が住む地域でした。

ボランティア活動などの社会的活動も活発で、寄付を募るためのランチやディナーも数多く催されていました。

「日本から来た留学生」ということで、当時の私は、これらの会合に招待され、スピーチを求められることもよくありました。

スピーチの演題は様々でしたが、多くの場合、終わった後で質問が寄せられます。

『あなたが好きな米国の食べ物は何ですか』と問われ、『Rice』と答えると、みんな大笑い・・。

中には『米国による原爆投下をどう思うか』といった質問も寄せられました。

『原爆がもたらす恐ろしさは一瞬にして10数万人の命を奪ってしまうことだけではない。

たとえ生き延びても、白血病やその他の癌が、何年か後に襲ってくる可能性が高くなる。あるいは胎内で被爆した場合にも障害が現れることがある』

こうした晩発性障害や胎内被爆の説明をすると、米国人からは異口同音に、

『それは知らなかった』

といった反応が返ってきました。

我々日本人は原爆の恐ろしさ、残酷さについて、もっときちんと発信していかなければならない。

高校生としてそんな感想を持ったのを思い出します。

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2025年8月 5日 (火)

メタ、AI事業の現在地(その2)

今年4月に予定されていた「ラマ 4」の最上位モデル「ビヒモス」の発表延期。

いまメタ社のAI開発の最前線で何が起きているのでしょうか。

メタ社で起きている幹部社員の大胆な入れ替えも話題を呼んでいます。

今年5月30日付にて、メタのAIリサーチ部門のトップだったジョエル・ピノー氏(バイスプレジデント)が退社。

後任として6月30日付で28歳のアレキサンダー・ワン氏が新たにチーフAIオフィサー(CAIO)に就任しました。

彼は、新設のスーパーインテリジェンス研究所のトップにも就いています。

メタのAIを新たに率いることになったワン氏とは、どんな人物なのでしょうか。

アレキサンダー・ワン氏は中国系移民の両親のもと、米国で生まれました。

両親は共に原子核物理学者で、ロスアラモス国立研究所で勤務しています。

ワン氏は幼少期から英才教育を受け、幼稚園に入るころには大学レベルの物理学を学び始めたとのこと。

MIT(マサチューセッツ工科大学)に進学するも1年で中退し、2016年、19歳で「スケールAI」を創業しています。

スケールAIは、AI開発に不可欠な「データへのラベル付け」を専門に行う企業です。

例えば、自動運転車の開発では、AIが歩行者と路上の紙袋を正しく識別できるようにしなければなりません。

そのために、大量の映像データに対して「これは歩行者」「これは紙袋」と人手でラベルを付け、これをAIに学習させることが必要とされてきました。

この単調で労力のかかる作業を事業として確立させたのが「スケールAI」社です。

同社は早期にこの分野へ参入し、人員を大量に確保することで競争優位を築いてきました。

ネット上で、単発ベースで仕事を請け負う人のことをギグワーカーと言っていますが、

スケールAIはギグワーカーを積極的に利用。

「リモタスクス」と「アウトライヤー」という2つの子会社を通じて、なんと世界中で24万人以上のギグワーカーを雇用しているのです。

この事業を19歳で始めて、成功を収めてきたのが、現在28歳のワン氏なのです。

(以下、次回に続きます)

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2025年8月 2日 (土)

メタ、AI事業の現在地(その1)

現在のAI(人工知能)は、いずれAGI(人工汎用知能)、そしてさらにASI(人工超知能)へと進化すると考えられています。

AGIは人間のように幅広い知能を備えたAI。

そしてASIはその知能が人間をはるかに超える異次元の存在です。

つまり、AIは、「AI→AGI→ASI」という進化の道筋を辿ると考えられているのです。

なおASIのSIは、「スーパーインテリジェンス」のことです。

こうした未来を見据えて、Facebookやインスタを運用する米国のメタは新たな動きに出ました。

2025年6月30日、メタは「スーパーインテリジェンス研究所(Meta Superintelligence Labs)」を設立したのです。

これはメタのAI戦略における大きな転換点を意味します。

まずは、その背景と現状を見てみましょう。

大規模言語モデルの分野では、オープンAI(チャットGPT)やアルファベット(ジェミニ)、イーロン・マスク氏率いるxAI(グロック)などがしのぎを削っています。

こうした中、メタはこれまでオープンソース型の大規模言語モデル「ラマ」を開発し、差別化を図ってきました。

競合他社がソースコードを非公開にしているのに対し、メタは先端技術を広く公開し、デファクトスタンダード(事実上の標準)の獲得を目指してきたのです。

23年2月に「ラマ 1」、同年7月に「ラマ 2」と矢継ぎ早に登場させましたが、今年4月に予定されていた「ラマ 4」の最上位モデル「ビヒモス」の発表は延期されてしまいました。

現在の予想では、ビヒモスのリリースは秋以降になり、さらにオープンソースとしての公開は見送られる(ソースコードは非公開になる)との見方も出てきています。

こうした状況は、メタのAI戦略が大きな岐路に差し掛かっていることを示唆しています。

(以下、次回に続きます)

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