エヌビディアは10兆ドル企業になるか(2)
前回の記事「エヌビディアは10兆ドル企業になるか(1)」の続きです。
2時間半のインタビュー記事をまとめるのは難しく、著作権の問題も生じかねません。
そこで、ほんの一部のみを抜粋する形で、ご紹介します。
ご関心のある方は、是非とも『本編』をご視聴ください。
こちら(↓)になります。
https://www.youtube.com/watch?v=vif8NQcjVf0
以下の翻訳文章は、AI(ジェミニ)と私との合作です。
* * *
【Lex Fridman】
あなたは、エヌビディアがいずれは10兆ドル企業になかもしれないと考えていますか?
【Jensen Huang】
エヌビディアの成長は極めて可能性が高く、私の中ではもはや「必然」であると考えています。
1. 「検索」から「生成」へのパラダイムシフト
第一の理由は、コンピューティングが「ファイルの検索」をベースとしたシステムから脱却したことです。
これまでのコンピュータは、ほぼすべてが「ファイル」でした。
人間があらかじめ書き込み、録画し、描画したものをウェブやファイルに保存する。
そして「レコメンド機能」や「スマートなフィルター」を使って、あなたのために何を取り出す(リトリーブする)かを判断していました。
つまり、人間による事前記録とファイル検索のシステム、それがこれまでのコンピュータの本質でした。
しかし今、AIコンピュータは「文脈(コンテキスト)」を理解しています。
これは、リアルタイムで「トークン(AI用に最適化された分割単位)」を処理し、生成しなければならないことを意味します。
私たちは「検索ベース」から「生成ベース」のコンピューティング・システムへと移行したのです。
この新しい世界では、旧来の世界よりも遥かに多くの処理能力が必要になります。
旧世界では情報の「蓄積(ストレージ)」が資産でしたが、新世界では膨大な「計算(コンピュテーション)」が必要なのです。
これが第一のポイントです。
私たちはコンピューティングのあり方を根本から変えました。
もし、この「文脈に即し、状況を認識し、新たな洞察に基づいた情報を生成する」という計算集約的な手法が、効果的でないと判断されるようなことがあれば、元のやり方に戻ることもあるでしょう。
しかし、ディープラーニングに取り組んできたこの10〜15年間で、「これはうまくいかない、行き止まりだ」とか「スケールしない」と思った瞬間は一度もありませんでした。
むしろ、ここ5年間の進展は、それ以前の10年間よりも大きな確信を私に与えてくれています。
2. 「倉庫」から「工場」への役割の変化
第二の考え方は、コンピュータの役割の変化です。
かつてのコンピュータは保存システムであったため、言わば「倉庫」でした。
しかし、私たちが今作っているのは「工場」です。
倉庫自体はそれほど大きな利益を生みませんが、工場は企業の収益と直接的に連動します。
コンピュータは、その動作方法を変えただけでなく、世界における「目的」そのものが変わったのです。
もはや単なる計算機ではなく、収益を生み出すための「工場」なのです。
この工場が、人々が求める製品やコモディティ(商品)を生成しているだけでなく、その生成物(トークン)が非常に興味深く価値あるものであるため、iPhoneのようにセグメント化が始まっています。
無料のトークン、プレミアムなトークン、そしてその中間といった具合です。
「知能」というものが、実はスケーラブル(拡張可能)な製品であることが分かってきました。
専門的な用途に使われる極めて高度な知能トークンには、人々は喜んで対価を支払うでしょう。
「100万トークンに対して1,000ドルを支払う価値がある知能」が生まれる時代は、すぐそこまで来ています。
それは「もし(if)」ではなく「いつ(when)」の問題です。
経済の加速とNVIDIAの未来
さて、ここで問い直すべきは、
「世界はこうした工場をいくつ必要としているのか?」
「世界はどれほどのトークンを必要とし、社会はそれらにいくら支払う用意があるのか?」
ということです。
そして、生産性がこれほど劇的に向上したとき、世界経済はどうなるでしょうか。
新しい薬、新しい製品、新しいサービスが次々と発見されるのではないでしょうか。
これらを総合して考えると、私は世界全体のGDP成長が加速すると確信しています。
そして、そのGDPのうち計算(コンピュテーション)に使われる比率は、たとえば過去の100倍になるでしょう。
なぜなら、コンピュータはもはや「保存ユニット」ではなく「製品生成ユニット」だからです。
この文脈でNVIDIAの役割を捉え直し、この新しい経済圏において我々がどれほどの恩恵を享受できるかを逆算すれば、当社の規模は今よりも遥かに大きくなるはずです。
(注:エヌビディアの直近の年間売上は2159億ドルだが)「近い将来、NVIDIAの売上高が3兆ドル(注:現在の14倍)に達することは可能か?」という問いに対して、私の答えはもちろん「イエス」です。
物理的な限界は何一つありません。
3兆ドルが不可能だと思わせる要素は見当たらないのです。
NVIDIAのサプライチェーンは200社以上のパートナーと負担を分かち合っており、このエコシステムと共にスケールアップしていくことができます。
「それだけのエネルギーがあるか?」という問いもありますが、確実に調達できるでしょう。
これらすべてを考慮すれば、世間で言われる数字(時価総額や売上の目標値)など、単なる数字に過ぎないのです。
エヌビディアの売上が初めて10億ドルを超えた時のことを今でも覚えています。
あるCEOにこう言われました。
「ジェンスン、工場を持たない半導体メーカー(ファブレス)が10億ドルを超えるなんて、理論的に不可能だよ」と。
もちろん、そんな考えには何の論理性もなかったことは、今の私たちが証明しています。
その後も、「あの大企業がいるから、君たちは250億ドル以上にはなれない」などと言われ続けました。
しかし、これらはすべて「過去の延長線上」でしか物事を見ていない意見です。
物事の本質(第一原理)から考えれば、答えはシンプルです。
「私たちは何を作り、どれほど大きなチャンスを自ら創り出せるか」、それだけなのです。
誰かのシェアを奪うのではない「新しい市場」の創造
エヌビディアは、既存の市場で「シェア争い」をしているわけではありません。
私が今お話ししていることのほとんどは、まだこの世に存在すらしていない市場なのです。
ここが、人々に理解してもらうのが難しい部分でもあります。
もし私たちが、既存の100億ドルの市場から「10%のシェアを奪う」という話をしていれば、株主にも将来像が描きやすいでしょう。
しかし、私たちがやろうとしているのは、「比較対象が誰もいない、全く新しい巨大市場」をゼロから作ることです。
だからこそ、世界の人々にとって「エヌビディアがどこまで大きくなれるか」を想像するのは難しい挑戦なのです。
ですが、私にはたっぷりと時間があります。
論理的に考え続け、語り続けます。
毎年開催しているカンファレンス(GTC)のたびに、この未来はより現実味を帯びていくでしょう。
いつか誰もが気づく日が来ます。
私は100%、そこへ到達できると確信しています。
「知能の工場」と「AI版iPhone」の登場
【Lex Fridman】
なるほど、つまり『知能の工場』ですね。
消費電力あたりの計算スピード、そして生み出される『答え(トークン)』そのものに価値がある。
人によって、あるいは場面によって、その『答え』の価値は変わりますが、それこそが真の商品です。
AIが解決できる問題の多さを考えれば、本質的に見て、この『知能の工場』は今後、指数関数的に増えていく必要がありますね。
【Jensen Huang】
その通りです。
そして、私が今もっともワクワクしている理由をお教えしましょう。
ついに「知能(トークン)の世界におけるiPhone」が登場したからです。
それは「エージェント(自律的に動くAI代理人)」です。
特定のアプリではなく、自分に代わって仕事をこなしてくれるAI、それが一般に普及し始めました。
これは人類史上、最も速いスピードで普及しているアプリケーションです。
まさに垂直立ち上がりの勢いです。
OpenClaw(オープンクロウ;注:OpenAIやAnthropicのClaude、あるいはそれらを統合した次世代の高度な自律型AIを指す象徴的な呼称) のような存在が、知能の世界のiPhoneになったことは疑いようがありません。
【Lex Fridman】
確かに、最近(2025年末〜2026年)の空気が変わったのは実感します。
みんながOpenClawやその高度なコード生成能力の凄まじさに目覚めました。
実は私も、ここに来る途中の空港で、ノートPCに話しかけるだけでプログラミングをしていたんですよ。
人前でそんなことをしたのは初めてでしたが、それほど魔法のような体験でした。
* * *
(岩崎注)最後に、もういちど、オリジナルのYouTube動画のリンクを貼っておきます。
https://www.youtube.com/watch?v=vif8NQcjVf0
| 固定リンク


コメント