2023年8月11日 (金)

論文数

文部科学省『科学技術・学術政策研究所』は、8月8日、『科学技術指標2023』を公表しました。

これは日本の科学技術や学術研究の活動を把握する資料として有用なものです。

報告書は本文だけでも200頁以上にわたる大部なものですが、

この中でも特に『論文数ランキング』がマスコミ各社によって報じられました。

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   (出所:上図は東京新聞のサイトより)

これによると注目論文数のランキングで、日本はイランにも抜かれ世界13位になってしまったことが分かります。

新聞やテレビでの報道では一般の読者、視聴者にも分かりやすくするため、『注目論文数』と記していますが、

これはいったいどういうことなのでしょうか。

上記報告書を読むと、ここで言っている『注目論文数』とは、Top10%補正論文数のことであると分かります。

Top10%補正論文数とは、論文の被引用数が各年各分野(22分野)の上位10%に入る論文を抽出後、実数で論文数の1/10となるように補正を加えた論文数を指します(上記の『科学技術指標2023』<報告書全文、132頁>)。

上記報告書には、Top10%補正論文数のランキング推移だけでなく、Top1%補正論文数推移も記されています。

(Top1%補正論文数とは、論文の被引用数が各年各分野の上位1%に入る論文を抽出後、実数で論文数の1/100となるように補正を加えた論文数のこと)。

Top10%だけでなくTop1%も示した表が、上記『科学技術指標2023』の統計集、189頁に記載されています(下図;クリックすると大きくなって読めるようになります)。

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Top10%でなく、Top1%で見ると、日本はまだイランに勝っています(だからといって、特にどうと言うことはないのですが)。

そもそも表の一番左(1999年―2001年)では、日本はTop10%、Top1%、何れにおいても世界4位でした。

ちなみに下図は人口100万人当たりの学士号取得者(『科学技術指標2023』118頁>。

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各国を比較すると、英国(6,520 人)、韓国(6,363 人)が、学士号取得者が多く、米国(6,229 人)が続きます。

日本はドイツ、フランス、中国などよりも上位。 

それが修士になると、日本は急に低くなります(下図;同119頁)。

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つまり大学院に行く人が他国に比べて少ないのです。

博士号取得者についても同様のことが言えます(下図;同120頁)。

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なお日本の企業及び大学部門の研究開発費は18.1兆円で、米国、中国に次いで、世界3位となっています(上記『科学技術指標2023』1~2頁)。

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2023年7月14日 (金)

欧米投資家が注目する核融合の現実性

核融合が実現すれば、電力は安すぎてメーターで計るに値しなくなるだろう、と言われてきた。

しかし過去70年の歴史が示す通り、核融合は思った以上に難しかった。

それが最近の人工知能の発達でブレークスルーに近づきつつあるのかもしれない。

日経新聞に寄稿しました(『こちら』です)。

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2023年6月24日 (土)

人口の減少

6/13「こども未来戦略方針」が閣議決定されました(『こちら』)。

一部を引用してみます。

『2022 年に生まれたこどもの数は 77 万 747 人となり、統計を開始した 1899 年以来、最低の数字となった。

1949 年に生まれたこどもの数は約 270 万人だったことを考えると、こどもの数はピークの3分の1以下にまで減少した。

また、2022 年の合計特殊出生率は、1.26 と過去最低となっている。

しかも、最近、少子化のスピードが加速している。出生数が初めて 100 万人を割り込んだのは 2016 年だったが、2019 年に 90 万人、2022 年に 80 万人を割り込んだ。

このトレンドが続けば、2060 年近くには 50 万人を割り込んでしまうことが予想されている』

* * *

ところで、以下の文章は、6/4付の日経新聞の春秋欄から。

1974年にはむしろ『子どもを産まないように』と、今とは逆の訴えがなされていたことが分かります。

『「子どもは2人まで」。

1974年7月4日、東京で開かれていた日本人口会議は中国の産児制限を思わせるような大会宣言を採択した。

増え続ける人口を支えるための住宅や工場、公共施設、農地などを

「この狭い国土のどこにどう割り込ませたらよいのか」ー。

民間の主催だったが、当時の厚生省がバックアップし、会議には著名人が顔をそろえた。

ところが、この時期に第2次ベビーブームは天井を打った。

75年の合計特殊出生率は2.0を下回り、出生数も減りはじめる』

* * *

日本人口会議のことはこの新聞記事で知りましたが、

人口会議大会宣言採択後の状況をグラフにしてみました。

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これからどうなるのでしょうか。

下図は、国連の予測です。

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この図は、2000年を100とした場合の、2100年までの人口推移予測図で、 

日本も韓国も、そして中国も、人口は半分から65%程度に減ってしまう(一方、米国は伸び続ける)との予測になっています。 

冒頭の閣議決定にもありましたが、去年1年間で生まれた赤ちゃんの数は77万747人。

ということは、20年後の2043年。

この年の年齢20歳の人は(移民を前提としない限り)、78万人を超えることはありません。

このように、未来の人口推移は比較的正確に予測できるものと考えられています。

* * *

先ほどの閣議決定を読み込むと政府の危機感が伝わってきます。

もう10年くらい前になるのでしょうか。

少子化対策というと、必ずと言っていいほど、国や自治体が予算をつけて行う『出会いのための合コンやお見合いパーティー』のことが報道されてきました。

今回の閣議決定はこういった以前の対策とは違って、問題の本質にグッと迫る、より踏み込んだものになっているように思います。 

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2023年6月10日 (土)

ダグ

もう40年以上も前のことだが、1980年にスタンフォードのビジネススクールを卒業した。

当時のクラスメート(同年度の卒業生、Class of 1980)は今よりも少なくて一学年370人くらい。

日本人が10人いた。

クラスメートのうち名前と顔が一致したのは精々50人くらいだったろうか。

会って話をしたことのある米国人はもっと少なく20人くらいだったかもしれない。

とくに大学院1年生の時は、私は授業についていくのに必死だった。

米国人クラスメートたちは週末にパーティなどを開いていたが参加する余裕がなかなかなかった。

キャンパスで会って談笑したりする米国人はあまり多くなかったが、先方から話しかけてきてくれる人が4~5人いた。

ダグはそのうちの1人だった。

18年前の卒業25周年記念の同窓会(Reunion)の時も、ダグは私を見つけて話しかけてきてくれた。

5年前。

ナデラさん(マイクロソフトのCEO)が書いた『本』を読んでいると、ダグのことが出てきた。

『私(岩崎注:ナデラさんのこと)はその頃 Microsoft Dynamics(マイクロソフト・ダイナミクス)の新規事業を運営していた。

その仕事は、(中略)ダグ・バーガムから引き継いだ。

ダグは部下を激励するのがうまく、私がより優れたリーダーになれるよう指導してくれた。

また、ビジネスや仕事を社会や生活と切り離して考えるのではなく、より幅広い社会機構の一部、人生の中核として考えるべきだと教えてくれた。

ダグから学んだ教訓の一部は今でも自分がどんなリーダーであるべきかを判断する重要な要素となっている』(上記書72頁)。

スタンフォードの場合、同窓生の動向は年に数回自宅に送られてくる雑誌で知ることが出来る。

2016年、ダグがノースダコダ州知事になったのを知ったのは、この雑誌でだった。

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       (州知事の公式ポートレート)

そして今回、彼は米大統領選への出馬を表明した。

州知事として歳出削減や減税の実績を強調。

『米国でも同じことが出来る』と訴えた(朝日新聞6/8)という。

共和党指名候補者はこれまでのところ、トランプ前大統領、ペンス前副大統領、デサンティスフロリダ州知事、ニッキー・ヘイリー元米国国際連合大使などたくさんいる。つまり競争相手が多い。

でも頑張って欲しい。

ダグの立候補演説は『こちら』から。

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2023年3月 5日 (日)

アパートか、コンドミニアムか

米国人が英語をしゃべる時、日本のマンションのことをよくアパートメントと言います。

賃借しているのではなく、専有している場合には、教科書的にはコンドミニアムなんでしょうが、私の経験上は専有の場合もアパートメントと言うのを耳にすることの方が多い(ニューヨークにある10~20億円くらいする高額マンションもアパートメントという人がいました)。

そこでチャットGPTに聞いてみました。

以下、【1】、【2】、【3】は私が出した質問と、それに対するチャットGPTの答えです。

なぜアパートメントと呼ぶ人が多いのかの答えは、以下の【2】にあります。

(以下すべて英語になってしまって、すみません。またヨコ道に逸れますが、チャットGPTは英語で質問した方が切れ味が鋭いように思います。)

【1】What is the difference between apartment and condo?

【答え】

An apartment and a condo both refer to a type of housing, but they differ in ownership and management.

An apartment is a unit within a building or complex that is owned by a landlord or property management company, and is rented out to tenants. In an apartment, the landlord is responsible for maintaining the building and its amenities, collecting rent, and ensuring that the property is up to code.

On the other hand, a condominium, or condo, is a unit within a building or complex that is owned by an individual or a group of individuals. In a condo, the individual owner is responsible for maintaining their own unit and paying for any necessary repairs or maintenance. The building or complex is managed by a condominium association, which is made up of all of the individual unit owners. The association is responsible for maintaining the common areas of the building, such as hallways, elevators, and recreational facilities.

In addition to ownership and management differences, there may also be differences in the amenities and services provided. Condos may offer more amenities, such as a pool or fitness center, while apartments may have more basic amenities.

Overall, the main difference between an apartment and a condo is the ownership structure and the responsibility for maintenance and management.

【2】Do people call "apartment" when it is actually condominium?

【答え】

Yes, people often use the term "apartment" to refer to a unit in a condominium complex, even though the two are technically different in terms of ownership and management.

This may be because the term "apartment" is more commonly used and better understood by the general public, while "condominium" may be seen as a more technical or legal term.

Additionally, some condominium complexes may be marketed or referred to as "condominium apartments" or simply "apartments" to appeal to renters or buyers who are more familiar with the term. In these cases, the individual units within the complex are still technically condominiums, but they may be marketed and referred to as apartments for marketing or branding purposes.

【3】In comparing the term "apartment" and "condominium", which sounds more expensive?

【答え】

The terms "apartment" and "condominium" do not necessarily imply a difference in price or cost, as both types of housing can be found at various price points depending on factors such as location, size, amenities, and condition.

However, in general, the term "condominium" may sound more expensive than "apartment" to some people, as condominiums are often associated with ownership rather than rental, and may be seen as a higher-end or more luxurious type of housing. Condominiums also often have amenities such as swimming pools, fitness centers, and 24-hour security, which can contribute to a higher cost.

That being said, there are many factors that can affect the cost of both apartments and condominiums, and it is possible to find both types of housing at a variety of price points. Therefore, it is important to research and compare specific properties in order to determine their relative cost and value.

* * *

チャットGPTの使い勝手の良さは、実際にこうして使ってみると実感できます。

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2023年2月27日 (月)

見逃した方に

今度の日曜日(3/5)まで、NHKプラスで見ることが出来ます。

ロシア工作員により少なくとも13回もの暗殺の企てがあり、それらを乗り切り、72時間を戦い抜いたゼレンスキー大統領。

秀逸のドキュメント。

NHKスペシャル「ウクライナ大統領府 軍事侵攻・緊迫の72時間」(→『こちら』)。

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2023年1月 1日 (日)

明けましておめでとうございます

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               (23年元旦の朝)

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2022年10月 1日 (土)

ワッツアップの会話

1971年7月~72年7月の1年間にカリフォルニア南部の高校に留学したAFS生たち。

数年前ですが彼らはワッツアップ(WhatsApp)のグループ・チャット(LINEのグループトークのようなもの)を開始。

私も参加しました。

2日ほど前ですが、私が

『みんなCovid-19のワクチンはどうしているの?

私は3回目を打った時に38度の熱が出たこともあって4回目をどうするか迷っている』

と投稿すると、さっそくみんなから回答が寄せられました。

なお全員私と同じ年代で67~69歳です。

■ベルギーのAさん(Aさんの職業はお医者さんです)

『明日、4回目の接種を受けます。

これまでの3回はアストラゼネカとファイザー。

副反応はありませんでした。

しかしこれまでにCovid-19に2度、感染しています。

1回目はワクチンを受ける前で、結構たいへんでした。

2回目はワクチン後でオミクロン株。

この時はこれといった症状は出ませんでした。

人それぞれで症状も違い、ワクチンの副反応も違うようです』

■オーストリアのBさん(この人もお医者さんになりました)

『3回、ファイザーのワクチンを打ちました。

一度、デルタ株に感染。それほど大した症状は出ませんでした。

これから2週間後にファイザーの4回目のワクチンを受けます(BA4/5)。

というのも、11月にインドネシアに旅行で行くから。

去年メキシコに旅行した時に感染し、ホテルに缶詰めになって大変でした。

あなたの場合、38度の熱ならそれほど大したことはない。

ワクチンを打つことの利点の方が、打って副反応になる潜在的マイナスよりもはるかに大きいと思います』

■グアテマラのCさん

『アストラゼネカを3回、ファイザーを1回。

副反応は1度もありませんでした』

■ヨルダンのDさん

『ファイザーを3回。

2回目と3回目の時に骨が痛かった(12時間くらい続いた)。

4回目を打つ気はありません』

■エクアドル出身、米国在住のEさん

『3回、ファイザーを打った。

3回目の後、体調が良くない。

4回目は打たないつもり』

■英国のFさん

『3回ファイザーを打った。

2週間後に4回目とインフルエンザワクチンを同時に打つ予定。

7月に感染したけど、その時の症状の方がワクチンの副反応より酷かった。

ワクチンをしていなければ、もっと酷かったに違いない』

■イラン出身、米国在住のGさん

『3回ファイザーを打った。

4回目はまだ』

■スペインのHさん

『3回目のワクチンの時に頭痛と風邪のような症状。

4回目についてはよく分からない』

■アルゼンチンのIさん

『最初はスプートニク。

次はファイザー。

3回目と4回目はモデルナ。

副反応は全くなし』

■オーストラリアのJさん

『最初の2回はアストラゼネカ。

次にファイザー、

4回目、モデルナ。

副反応については全くなし』

* * *

こう並べてみると、ほんとうに人それぞれ。

10人中、コロナの感染経験者が3人。1人は2度も感染。

日本に比べてワクチンの種類がいろいろでアストラゼネカ、スプートニクなども。

何となく日本人の方が副反応に苦しむ人が(少なくとも私の周りには)多いように思えます。

ただしこれだけの例では何とも言えないので、上記の例から何らかの結論を導くのは控えた方が良さそう・・。

アルゼンチンの状況とかヨルダンではどうしているかなど、日本ではほとんど報道されていません。

そういった意味で、ワッツアップのグループ・チャットは新鮮でした。

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2022年8月13日 (土)

企業投資情報部

昨日OCA TOKYO でミーティングを持ったこともあり、興銀時代のことを少し書いたのですが、その続きを少し・・。

私は(昨日書いた)営業第3部の後、企業投資情報部という部署に移り、2年近くいました。

当初は結構な大所帯だったのですが、直ぐに機構改革があり、私が担当することになったセクション(班)は、

私(班長)のほかに、総合職の担当者が3名というこぢんまりとした陣容。

3人とも優秀で、班長の私は随分と楽をさせてもらいました。

今となっては懐かしいサラリーマン時代の思い出ですが、振り返ってみると、サラリーマンというのは、どんな上司に仕えるのか、どんな部下がやってくるのか、自分では選べないことが多い・・。

つまり今風に言うと、ガチャ(運)に左右される要因が強いように思います。

当時、私の班にいた総合職3人のうち、

1人は、現在の「みずほ銀行副頭取」(副頭取執行役員)、

もう1人は、現在の「みずほ証券副社長」(副社長執行役員)

になっています。

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2022年8月12日 (金)

OCA

かつて興銀ビルが建っていた場所は、みずほ丸の内タワー(29階)と丸の内テラス(10階)になっています。

このうち丸の内テラスは1~2階と9~10階がレストラン。

3~7階がプライベートクラブの「OCA TOKYO(オーカトウキョウ)」。

本日はOCAメンバー、A氏のホストで、OCAでミーティングをしてお昼をご馳走になってきました。

A氏は、私が興銀出身であることを知っていて敢えてOCAでのミーティングをセットしてくれたのだと思います。

やはり懐かしかったですね。

ミーティングは5階で行われたのですが、かつて私がいた営業3部もたしか5階(?)にあったように記憶しています。

向かいのビルも生まれ変わっていましたので、5階から見る景色は、かつてとは違っていました。

それでも、通り(丸の内仲通り)からの高さとか、向かいのビル(永楽ビル)との距離感とか、以前と同じ!

なんとなく昔の雰囲気が感じられました。

ミーティング後、5階のフロアをうろうろ回りながら、

「たしか営業3部はこの辺にあり、私の席はこのあたりでした。部長は窓際で、この辺・・」

とAさんに説明。

営業3部にいたのは92年~97年ですので、今から25年~30年前。

時が経つのは早いものです。

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