2024年3月 3日 (日)

IBJ Professorship

IBJとは、Industrial Bank of Japan の略で、海外では興銀(日本興業銀行)のことを英語でこう呼んでいました。

三行統合で興銀の名が消え「みずほ」になってから、残念ながら IBJ の名前も聞かれなくなってしまいました。

銀行としての名は消えてしまったのですが、スタンフォード大学ビジネススクールでは IBJ の名前が残り続けました。

どういうことでしょうか。

1987年、興銀はスタンフォードのビジネススクールに寄付をしました。

当時のビジネススクール学長 Robert Jaedicke はファイナンス(株式投資論)を教えていたマクドナルド教授を冠名教授としました。

IBJ Professorship の誕生です。

マクドナルド教授は、IBJ Professor と呼ばれ、1968年から2017年まで50年間に亘って株式投資論をスタンフォードで教え続けました。

翌18年、教授は80歳で他界しましたが、教授の薫陶を受けた資産運用業界で活躍する人たちがビデオメッセージ(『こちら』)を送りました。

本日の日経ヴェリタス紙に掲載の寄稿記事は、教授のことを思い出しながら書いたものです(『こちら』でお読みいただけます)。

なお記事の中では、マクドナルド教授が授業に招いたゲストスピーカーの名前を例として数名挙げました。

ウォーレン・バフェット、

チャーリー・マンガー、

フィリップ・フィッシャー、

ノーラン・ブッシュネル(アタリの創業者)

しかし大事な人の名前を記事には書き忘れました。

スティーブ・ジョブズです。

1980年、マクドナルド教授は スティーブ・ジョブズをゲストスピーカーとして授業に呼びました。

トピックスは『もしアップルがIPO(株式公開)をするなら、いくらの値段が適当だろうか』というもの。

ちなみにこの時のジョブズは25歳。

そしてこの年の12月12日、アップルはIPOを実施。

売出価格は1株22ドルでした。

その後、アップルは何度か株式分割をしていますので、分割調整後のベースでは、売出価格は0.1ドル。

現在アップルの株価は約180ドルですので、当時1000ドルを投じていれば、180万ドル(2.7億円)になっている計算です(そのほかに配当金として16万ドルを得ている計算)。

1980年当時のジョブズを交えての、IPO価格に関するクラス討論、きっと興味深いものであったに違いありません。

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(Jack McDonald, From the website of Stanford Business School, Photo by R.J. Muna)

最後に、マクドナルド教授にビデオ・メッセージを送った人々の名を記しておきます(ビデオに現れた順番。なお資産運用業界の人に限定して載せます)。

Sandy Dean, Sansome Partners

John Saer, GI Partners

John Zellerbach, BE Properties, Inc.

Wallace Hawley, InterWest Partners 

Charles R. Schwab, The Charles Schwab Corporation 

Steve Denning, General Atlantic 

John S. Osterweis, Osterweis Capital Management 

Warren Buffett, Berkshire Hathaway Inc.

Andreas Halvorsen, Viking Global Investors, L.P.

Bill Barnum, Brentwood Private Equity

Peter Chung, Summit Partners 

Jody Fowler Jonsson, The Capital Group

Mary Ellen Martin Zellerbach, Martin Investment Management, LLC 

Jim Coulter, TPG Holdings 

Frank Quattrone, Qatalyst Partners

Gene Skyes, Goldman Sachs Group, Inc.

John H. Scully, SPO Partners & Co.

Bill Oberndorf, Oberndorf Enterprises, LLC 

Carter McClelland, Union Square Advisors

Glenn Solomon, GGV Capital

Charlie Anderson, Fox Point Capital 

Don O’Neal, The Capital Group

Doug Valenti, QuinStreet, Inc.

Dave Hodgson, General Atlantic 

Alex Seaver, Stadium Capital Management

Bill Matthes, Behrman Capital

John Hurley, Cavalry Asset Management

Hadley Mullin, TSG Consumer Partners 

Mike McCaffery, Makena Capital Management LLC 

Tim Bliss, Investment Group of Santa Barbara

Thomas A. Russo, Gardner Russo & Gardner LLC

Bill Ford, General Atlantic

John Bartholdson, Juniper Investment Company, LLC

Reece Duca, Investment Group of Santa Barbara

Ed McDermott, Spring Tide Partners

Michael Fisch, American Securities LLC

Terry O’Toole, Macanta Investments LLC

George Davis, Hotchkis & Wiley

Lizzie Fisher Marshall, Hall Capital Partners LLC

John Anderson, Anderson Dealership Group

Ori Uziel, Uziel Capital Management, LLC 

Tom McKinley, Cardinal Partners

Pete Masucci, New Mountain Capital, LLC

Ted Muhs, The Muhs Company, Inc.

Christine Hammer, Hammer & Associates, Inc.

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2024年1月27日 (土)

生涯現役、定年後は「好き」を仕事に

私ごとで恐縮ですが、40年以上も前のことです。

当時、興銀に勤めていて、まだ20代でした。

人事部から電話があり、「何事か」と思って行ってみると、「米国シカゴに赴任して欲しい」と言われました。

この後5年近くをシカゴで過ごすことになるのですが、もちろん希望していた訳ではありません。

事前に何の話もなく、まさに晴天の霹靂でした。

そしてシカゴは冬が寒くてたいへんでした。

ウィンディ・シティと呼ばれ、風が強くて、体感温度はマイナス10℃にも20℃にもなります。

会社勤めをするということは、どこに住むのか、どういった仕事をするのかについて、多くの場合、自分でコントロール出来ません。

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      (写真は日経新聞電子版の当該記事サムネ)

もっとも最近の若い人は、こうした滅私奉公的な、昭和的価値観から少しずつ距離を置いてきているように思います。

中には、FIRE(Financial Independence, Retire Early;経済的な自立による早期リタイア)を目指す人も多いと聞きます。

会社から離れて、早く自由になりたいということなのでしょう。

ところで話は変わりますが、日本で60歳以上で仕事をしている人に聞くと、44%の人が「75歳を超えても働いていたい」と回答しています(内閣府「高齢社会白書」)。

FIREを目指している若者からすると、「何で?」といった感想になるのかもしれません。

なお米国で何歳まで働くつもりかを聞くと、54%の人が65歳以下と答えています(下図;出所は『こちら』)。

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こうした統計の数字を並べてみても、あまり意味ないのかもしれません。

「働く」ということに対しての捉え方が、人それぞれで違うからです。

そんなことを考えながら記事を書き、日経新聞に寄稿しました。

『こちら』です。

明日発売の日経ヴェリタス紙にも掲載されます。

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2024年1月 1日 (月)

明けましておめでとうございます

今年もよろしくお願いします。

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                            (元旦の朝の富士)

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2023年8月11日 (金)

論文数

文部科学省『科学技術・学術政策研究所』は、8月8日、『科学技術指標2023』を公表しました。

これは日本の科学技術や学術研究の活動を把握する資料として有用なものです。

報告書は本文だけでも200頁以上にわたる大部なものですが、

この中でも特に『論文数ランキング』がマスコミ各社によって報じられました。

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   (出所:上図は東京新聞のサイトより)

これによると注目論文数のランキングで、日本はイランにも抜かれ世界13位になってしまったことが分かります。

新聞やテレビでの報道では一般の読者、視聴者にも分かりやすくするため、『注目論文数』と記していますが、

これはいったいどういうことなのでしょうか。

上記報告書を読むと、ここで言っている『注目論文数』とは、Top10%補正論文数のことであると分かります。

Top10%補正論文数とは、論文の被引用数が各年各分野(22分野)の上位10%に入る論文を抽出後、実数で論文数の1/10となるように補正を加えた論文数を指します(上記の『科学技術指標2023』<報告書全文、132頁>)。

上記報告書には、Top10%補正論文数のランキング推移だけでなく、Top1%補正論文数推移も記されています。

(Top1%補正論文数とは、論文の被引用数が各年各分野の上位1%に入る論文を抽出後、実数で論文数の1/100となるように補正を加えた論文数のこと)。

Top10%だけでなくTop1%も示した表が、上記『科学技術指標2023』の統計集、189頁に記載されています(下図;クリックすると大きくなって読めるようになります)。

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Top10%でなく、Top1%で見ると、日本はまだイランに勝っています(だからといって、特にどうと言うことはないのですが)。

そもそも表の一番左(1999年―2001年)では、日本はTop10%、Top1%、何れにおいても世界4位でした。

ちなみに下図は人口100万人当たりの学士号取得者(『科学技術指標2023』118頁>。

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各国を比較すると、英国(6,520 人)、韓国(6,363 人)が、学士号取得者が多く、米国(6,229 人)が続きます。

日本はドイツ、フランス、中国などよりも上位。 

それが修士になると、日本は急に低くなります(下図;同119頁)。

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つまり大学院に行く人が他国に比べて少ないのです。

博士号取得者についても同様のことが言えます(下図;同120頁)。

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なお日本の企業及び大学部門の研究開発費は18.1兆円で、米国、中国に次いで、世界3位となっています(上記『科学技術指標2023』1~2頁)。

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2023年7月14日 (金)

欧米投資家が注目する核融合の現実性

核融合が実現すれば、電力は安すぎてメーターで計るに値しなくなるだろう、と言われてきた。

しかし過去70年の歴史が示す通り、核融合は思った以上に難しかった。

それが最近の人工知能の発達でブレークスルーに近づきつつあるのかもしれない。

日経新聞に寄稿しました(『こちら』です)。

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2023年6月24日 (土)

人口の減少

6/13「こども未来戦略方針」が閣議決定されました(『こちら』)。

一部を引用してみます。

『2022 年に生まれたこどもの数は 77 万 747 人となり、統計を開始した 1899 年以来、最低の数字となった。

1949 年に生まれたこどもの数は約 270 万人だったことを考えると、こどもの数はピークの3分の1以下にまで減少した。

また、2022 年の合計特殊出生率は、1.26 と過去最低となっている。

しかも、最近、少子化のスピードが加速している。出生数が初めて 100 万人を割り込んだのは 2016 年だったが、2019 年に 90 万人、2022 年に 80 万人を割り込んだ。

このトレンドが続けば、2060 年近くには 50 万人を割り込んでしまうことが予想されている』

* * *

ところで、以下の文章は、6/4付の日経新聞の春秋欄から。

1974年にはむしろ『子どもを産まないように』と、今とは逆の訴えがなされていたことが分かります。

『「子どもは2人まで」。

1974年7月4日、東京で開かれていた日本人口会議は中国の産児制限を思わせるような大会宣言を採択した。

増え続ける人口を支えるための住宅や工場、公共施設、農地などを

「この狭い国土のどこにどう割り込ませたらよいのか」ー。

民間の主催だったが、当時の厚生省がバックアップし、会議には著名人が顔をそろえた。

ところが、この時期に第2次ベビーブームは天井を打った。

75年の合計特殊出生率は2.0を下回り、出生数も減りはじめる』

* * *

日本人口会議のことはこの新聞記事で知りましたが、

人口会議大会宣言採択後の状況をグラフにしてみました。

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これからどうなるのでしょうか。

下図は、国連の予測です。

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この図は、2000年を100とした場合の、2100年までの人口推移予測図で、 

日本も韓国も、そして中国も、人口は半分から65%程度に減ってしまう(一方、米国は伸び続ける)との予測になっています。 

冒頭の閣議決定にもありましたが、去年1年間で生まれた赤ちゃんの数は77万747人。

ということは、20年後の2043年。

この年の年齢20歳の人は(移民を前提としない限り)、78万人を超えることはありません。

このように、未来の人口推移は比較的正確に予測できるものと考えられています。

* * *

先ほどの閣議決定を読み込むと政府の危機感が伝わってきます。

もう10年くらい前になるのでしょうか。

少子化対策というと、必ずと言っていいほど、国や自治体が予算をつけて行う『出会いのための合コンやお見合いパーティー』のことが報道されてきました。

今回の閣議決定はこういった以前の対策とは違って、問題の本質にグッと迫る、より踏み込んだものになっているように思います。 

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2023年6月10日 (土)

ダグ

もう40年以上も前のことだが、1980年にスタンフォードのビジネススクールを卒業した。

当時のクラスメート(同年度の卒業生、Class of 1980)は今よりも少なくて一学年370人くらい。

日本人が10人いた。

クラスメートのうち名前と顔が一致したのは精々50人くらいだったろうか。

会って話をしたことのある米国人はもっと少なく20人くらいだったかもしれない。

とくに大学院1年生の時は、私は授業についていくのに必死だった。

米国人クラスメートたちは週末にパーティなどを開いていたが参加する余裕がなかなかなかった。

キャンパスで会って談笑したりする米国人はあまり多くなかったが、先方から話しかけてきてくれる人が4~5人いた。

ダグはそのうちの1人だった。

18年前の卒業25周年記念の同窓会(Reunion)の時も、ダグは私を見つけて話しかけてきてくれた。

5年前。

ナデラさん(マイクロソフトのCEO)が書いた『本』を読んでいると、ダグのことが出てきた。

『私(岩崎注:ナデラさんのこと)はその頃 Microsoft Dynamics(マイクロソフト・ダイナミクス)の新規事業を運営していた。

その仕事は、(中略)ダグ・バーガムから引き継いだ。

ダグは部下を激励するのがうまく、私がより優れたリーダーになれるよう指導してくれた。

また、ビジネスや仕事を社会や生活と切り離して考えるのではなく、より幅広い社会機構の一部、人生の中核として考えるべきだと教えてくれた。

ダグから学んだ教訓の一部は今でも自分がどんなリーダーであるべきかを判断する重要な要素となっている』(上記書72頁)。

スタンフォードの場合、同窓生の動向は年に数回自宅に送られてくる雑誌で知ることが出来る。

2016年、ダグがノースダコダ州知事になったのを知ったのは、この雑誌でだった。

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       (州知事の公式ポートレート)

そして今回、彼は米大統領選への出馬を表明した。

州知事として歳出削減や減税の実績を強調。

『米国でも同じことが出来る』と訴えた(朝日新聞6/8)という。

共和党指名候補者はこれまでのところ、トランプ前大統領、ペンス前副大統領、デサンティスフロリダ州知事、ニッキー・ヘイリー元米国国際連合大使などたくさんいる。つまり競争相手が多い。

でも頑張って欲しい。

ダグの立候補演説は『こちら』から。

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2023年3月 5日 (日)

アパートか、コンドミニアムか

米国人が英語をしゃべる時、日本のマンションのことをよくアパートメントと言います。

賃借しているのではなく、専有している場合には、教科書的にはコンドミニアムなんでしょうが、私の経験上は専有の場合もアパートメントと言うのを耳にすることの方が多い(ニューヨークにある10~20億円くらいする高額マンションもアパートメントという人がいました)。

そこでチャットGPTに聞いてみました。

以下、【1】、【2】、【3】は私が出した質問と、それに対するチャットGPTの答えです。

なぜアパートメントと呼ぶ人が多いのかの答えは、以下の【2】にあります。

(以下すべて英語になってしまって、すみません。またヨコ道に逸れますが、チャットGPTは英語で質問した方が切れ味が鋭いように思います。)

【1】What is the difference between apartment and condo?

【答え】

An apartment and a condo both refer to a type of housing, but they differ in ownership and management.

An apartment is a unit within a building or complex that is owned by a landlord or property management company, and is rented out to tenants. In an apartment, the landlord is responsible for maintaining the building and its amenities, collecting rent, and ensuring that the property is up to code.

On the other hand, a condominium, or condo, is a unit within a building or complex that is owned by an individual or a group of individuals. In a condo, the individual owner is responsible for maintaining their own unit and paying for any necessary repairs or maintenance. The building or complex is managed by a condominium association, which is made up of all of the individual unit owners. The association is responsible for maintaining the common areas of the building, such as hallways, elevators, and recreational facilities.

In addition to ownership and management differences, there may also be differences in the amenities and services provided. Condos may offer more amenities, such as a pool or fitness center, while apartments may have more basic amenities.

Overall, the main difference between an apartment and a condo is the ownership structure and the responsibility for maintenance and management.

【2】Do people call "apartment" when it is actually condominium?

【答え】

Yes, people often use the term "apartment" to refer to a unit in a condominium complex, even though the two are technically different in terms of ownership and management.

This may be because the term "apartment" is more commonly used and better understood by the general public, while "condominium" may be seen as a more technical or legal term.

Additionally, some condominium complexes may be marketed or referred to as "condominium apartments" or simply "apartments" to appeal to renters or buyers who are more familiar with the term. In these cases, the individual units within the complex are still technically condominiums, but they may be marketed and referred to as apartments for marketing or branding purposes.

【3】In comparing the term "apartment" and "condominium", which sounds more expensive?

【答え】

The terms "apartment" and "condominium" do not necessarily imply a difference in price or cost, as both types of housing can be found at various price points depending on factors such as location, size, amenities, and condition.

However, in general, the term "condominium" may sound more expensive than "apartment" to some people, as condominiums are often associated with ownership rather than rental, and may be seen as a higher-end or more luxurious type of housing. Condominiums also often have amenities such as swimming pools, fitness centers, and 24-hour security, which can contribute to a higher cost.

That being said, there are many factors that can affect the cost of both apartments and condominiums, and it is possible to find both types of housing at a variety of price points. Therefore, it is important to research and compare specific properties in order to determine their relative cost and value.

* * *

チャットGPTの使い勝手の良さは、実際にこうして使ってみると実感できます。

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2023年2月27日 (月)

見逃した方に

今度の日曜日(3/5)まで、NHKプラスで見ることが出来ます。

ロシア工作員により少なくとも13回もの暗殺の企てがあり、それらを乗り切り、72時間を戦い抜いたゼレンスキー大統領。

秀逸のドキュメント。

NHKスペシャル「ウクライナ大統領府 軍事侵攻・緊迫の72時間」(→『こちら』)。

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2023年1月 1日 (日)

明けましておめでとうございます

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               (23年元旦の朝)

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