2023年5月 7日 (日)

人生で大きな失敗をしない為には

バークシャー・ハサウェイの年次株主総会。

米国時間で6日(土曜日)に開催されました。

例年同様、今年も総会は8時間近く続きました。

ウォーレン・バフェット会長92歳、チャーリー・マンガ―副会長99歳。

この2人が中心となって株主からの質問に丁寧に答えていきます。

冒頭、バフェットは「今年は60の質問に答えたい」と宣言。

会社業績の説明は手短に抑えて、早速株主からの質問へと移っていきました。

【質問の一例】

人生で大きな失敗をしない為には?

【答え】

(答えをそのまま書くと長くなってしまうので、印象に残った点を幾つか簡潔に書きます)

[バフェット]

トム・マーフィーが良い例だが、私は彼と50年以上に亘って付き合ってきたが、彼が人に対して不親切にするのを見たことがない。

私は多くの人を知っているが、親切な人が友だちもなく亡くなっていくのを見たことがない。

逆に、友だちもなく死んでいく金持ちも大勢見てきた。彼らは時には家族にさえも看取られることなく死んでいった。

[マンガ―副会長]

失敗しない為の教訓はひじょうにシンプルだ。

稼ぐ以上の金額を使うな。抜け目なく投資せよ。Toxicな奴らを避けろ。

(注:英語ではよくtoxic people と言う言葉が出てきます。文字通り訳すと、有毒な人々。

より具体的には、有害な人、自己中心的で嫉妬深く、他人を騙したりして、周りに不幸をもたらす人々のことです。)

[バフェット]

他人のことをmanipulateする(巧みに操る)人がいることも知っておく必要がある。

ときに他をmanipulateしたいとの気持ちに駆られることがあるかもしれないが、そんなことをしてはいけない。

[マンガ―副会長]

そうそう、toxicな奴らは、人に嘘をついたり、騙したり、約束を守らなかったりする。

人生の大きな教訓はそういった奴らをあなたの人生から排除することだ。それも早く!

* * *

今年の総会では何度かトム・マーフィーの名前が出てきました。

マーフィーはテレビ局ABCなどを傘下に持つ Capital Cities/ABC Inc. 社(注:96年にディズニーに買収された)のトップを務めたこともある人で、バフェットの長年(50年以上)の親友でした。

彼は20年近くにわたってバークシャー・ハサウェイの取締役を務めていましたが、

新型コロナウイルスに罹患し、体調が悪化、昨年2月に退任しました。

そしてその3か月後の5月に逝去しました。

96歳でした。

今年のバークシャーの総会には新しく取締役として選任された息子さん(トーマス・マーフィー・ジュニア;63歳)が出席していました。

Nikkei-live

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2023年3月 5日 (日)

Sane という言葉

Sane の反対語は insane。『正気でない』といった強いニュアンスの言葉のように(私には)思えます。

ジョブズのインタビューを聞いていて、sane と言った彼の言葉が印象に残りました。

『多くの人は起業しても途中で止めてしまう。』
『Because they are sane』

Sane(正気な)人は多くの場合、起業の厳しさに耐えられない。

長いインタビューのうち1分半のみを抜き出した動画は『こちら』

起業にまつわるエッセンスが語られています。

   Sj
 

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2021年8月 1日 (日)

All Good Things

スティーブ・ジョブズが亡くなったのは10年前。

彼が遺した言葉、All good things に込められた意味とは?

NHKの記者が綴る感動の物語(『こちら』)。

   Steve-jobs

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2020年10月25日 (日)

夢に向かって進め

誰でも小さい頃、夢を持っていたはずです。

アリッサの場合、宇宙飛行士になって火星に行くことでした。

シングルファーザーに育てられた彼女は、3歳の時、テレビアニメを見て、父に尋ねました。

「人間は火星に行ったことがあるの」

「まだだけど、アリッサが大人になるころには火星に行くようになるよ」

以来、彼女は夢に向かって突き進み始めます。

現在19歳の彼女は、これまでにNASAが提供した7つのSpace Camp 全てを完遂(うち1つはトルコ、もう1つはカナダで開催)。

全部のSpace Campを制覇した最初の人となりました。

しかもSpace Camp では最高峰のRight Stuff Awardを受賞。

彼女が経験した訓練が如何にハードで過酷なものであったかは下記のビデオでご覧いただけます。

アリッサはさらに NASA の Space Academy にも3回参加、

外国語の能力も必要だとのことで、中国語、スペイン語、フランス語を操るようになり、現在はフロリダ工科大学で宇宙生物学を専攻中。

『So, You Want to Be an Astronaut』と題する本も出版し、ナイキのCMでも取り上げられました。

  Nike

    (Photo is from Nike's Space to Dream video)

ナイキのCMはたった1分14秒の動画なのですが、夢を追い求めるというのがどういうことかが伝わってきます(『こちら』)。

2年前、17歳の時に彼女がTEDで行ったスピーチは『こちら』です。

  Ted

     (Alyssa Carson at TED)

2030年か33年か、人類は火星に向かって飛び立つようになると言われています。

地球を飛び立って火星に着くのは6ヶ月後、帰路は9ヶ月間かかるとのこと。

『自分の夢を信じ、境界・限界を超えよ(Cross your boundaries)』

2年前のTEDのスピーチではアリッサはこう締めくくっていました。

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2020年3月 8日 (日)

危機の中での1枚の手紙

「パロアルト(Palo Alto;スタンフォード大学がある)の町は、今日はひじょうに静かだ」

フェイスブックの友だちがこう投稿していましたが、コロナウィルスが米国でも人々の話題の中心になってきています。

会社を創業したばかりの起業家たちにとっては、これはとくに一大事。

会社基盤はまだまだ脆弱で、コロナの猛威で景気が後退すれば、会社の存立自体が危なくなるかもしれません。

そんな中、ベンチャーキャピタルとして著名なセコイア・キャピタルが、彼らの投資先の起業家たちに宛てた1枚のレターが関心を集めています。

セコイアと言えば、Apple、Google、Oracle、PayPal、LinkedIn、YouTube、Instagram、Yahoo! などの初期段階に投資して、これら各社を成長させたベンチャーキャピタルとして有名。

「2020年のブラックスワン」と題されたレターの中では:

  • Drop in business activityに備えよ
  • Supply chain disruptionsがあるかもしれない
  • Softening demand にどう対応するか
  • Cash runway が起きたらどうする?
  • Contingency plans はもう作成したのか
  • ビジネスを傷つけずに、どの分野でexpenses をtrimできるのか
  • これから先、プライベートな Fundraisingはますます難しくなるぞ
  • Sales forecastsは変更しなくて大丈夫か
  • 人員(Headcount)削減を考えるべきか
  • 設備投資(Capital spending)の変更は?

といった具合に、危機的状況のこの時期に、経営者がまず考えておくべき事項を懇切丁寧に説明。

そして、

「下り坂では売り上げや現預金残高は、常に経費よりも早く落ちていく(In downturns, revenue and cash levels always fall faster than expenses)」

と解説。

「困難な時期に環境変化に適応すべく、自信をもって素早く決断すべきだ。そうすることで後悔する人はいない(nobody ever regrets making fast and decisive adjustments to changing circumstances)」

と説いています。

「従業員はあなたのことを見ている。意味のない楽観主義に陥ることなく、科学的(臨床的)根拠に基づき、決断して実行せよ」

といったアドバイスも・・。

米国の創業者たちは、こうした(セコイアのような)メンター的なベンチャーキャピタリストの言葉によって鼓舞され、困難時の対応に関するアドバイスをもらっているんですね。

最後に印象に残ったのは手紙の中で語られた次の1節です。 

「多くの、後に伝説となるような会社は、困難の中で、鍛えられ磨き上げられてきたんだ。

我々がシスコに投資したのは1987年のブラックマンデーの直後だ。

グーグルやペイパルは、ドットコムバブル崩壊(インターネットバブル崩壊)の中を頑張って切り抜けた。

もっと最近の例では、エアビーアンドビーや、スクエア、ストライプの各社は、まさにリーマンショックの最中に設立されたんだ」

「制約は(思考をつかさどる)心をフォーカスさせる、そして創造性を産み出す肥沃な土壌を提供するんだ(Constraints focus the mind and provide fertile ground for creativity)」

こうしたアドバイスを得られる米国の起業家たちが羨ましいです。

なおセコイアのレターの全文は『こちら』でご覧になれます。

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2019年10月22日 (火)

インビクタス(invictus)

インビクタス(invictus)はラテン語で、

「屈服しない」(undefeated)、

「征服されない」(unconquerable)

を意味します。

「人種差別は間違っている」。

こう主張したことで、国家反逆罪の判決を受けた「ネルソン・マンデラ」。

27年間に及ぶ獄中生活を余儀なくされました。

彼ほど、この単語が相応しい人物はいないでしょう。

「 I am the master of my fate, I am the captain of my soul」

(我が運命を決めるのは我なり、我が魂を制するのは我なり)

これは、英国の詩人ウィリアム・アーネスト・ヘンリーの詩「インビクタス」の一節ですが、

マンデラ自身、この詩の一部を自らのスピーチで使ったことで知られています。

   Nelson_mandela2008

(Photo: Wikimedia Commons; Attribution: South Africa The Good News / www.sagoodnews.co.za)

ところで、今朝の朝日新聞に「ラグビーが開いた新たな扉」と出して、

李淳馹(李スンイル)さんが寄稿していました(『こちら』;なお有料記事とありますので、もしかすると全文が表示されないかもしれません)。

今回のラグビーW杯における日本チーム活躍に関連しての寄稿文なのですが、

記事の中で、ラグビー映画「インビクタス」が引用されていました。

クリント・イーストウッドが監督した2009年の映画「インビクタス」。

1995年に南アフリカで開催された第3回W杯ラグビーを舞台とする映画なのですが、李さんの寄稿文はこの映画にも触れつつ、今回のW杯に関して、こう結んでいます。

『この大会の成功には日本チームの大躍進があったことは間違いない。

が、他の世界各国のチームの熱いプレーや紳士的な振る舞い、そしてなによりも彼らを分け隔てなくもてなし、彼らに好感を与えた日本の人々の姿に私はある種の感動を覚えている。

「日本人」ではないプレーヤーも多い日本チームに熱狂する人々の姿に、私は24年前の南アフリカ大会を思い起こし、この日本の国の何か新しい扉が開かれた気がしているのである』。  

歴史が少しずつ良い方向に変わっていくことを信じたい。

マンデラもそう思っていたに違いありません。

 

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2018年1月31日 (水)

『就活で30社以上受けたが全て落ちた。24人中23人がKFC(ケンタッキーFC)に受かったとき、私1人が落とされた。6人中5人が警察に受かったとき、1人だけ落とされたのは、私だった』

アリババのマー会長のダボス会議でのスピーチ。

『こちら』で日本語の要約を読めます。

全体はもっと長くて58分。

『こちら』でその58分の動画を見ることができます。

長いですが、時間をかけて聞いてみる価値はあります。

私が『さすがに面白いことを言っているな』と思ったのは(日本語訳には出てきませんが)、始まって19分くらいのところ。

『1億円や2億円のお金を持っているのなら、それは自分のお金だ(自由に使える)。

20億円だと問題の方が多くなる。どうやって運用するかとか余分なことを考えないといけなくなる。

1000億円や2000億円になると、これは『責任』だ。これはもう自分のお金じゃない。社会はこのお金を持つ人のことを信頼する。上手くこのお金を使ってくれるに違いないとの信頼だ。

仮にもしこれが自分のお金だと思うのなら、トラブルに陥る。

これだけのお金を持つようになるというのは、人々が持っている人に Trust と Credit を寄せてくれるからだ。したがってこのお金を政府よりも賢く使うべきだ。正しいところに使うべきなのだ』

他にも興味ある発言が満載の58分。

お勧めです。

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2018年1月 7日 (日)

考えて行動する力

お正月には山のようにドサッと新聞が届けられました。

けれどもいちばん読みがいがあったのは、6日(土)の朝日新聞。

「僕は意味がないと思うインタビューは受けませんが、このインタビューに答えることは、色々な人にとって意味を持ってくれるのではないか。自分の価値観で、すごくそう感じたので、受けました」

と語るダルビッシュ投手のインタビュー記事。

『こちら』でさわりのところだけ読むことができます(以下ネットで無料で読める部分を再掲します)。

* * *

母校の東北高では、いわゆる強豪校の練習をみんながしていたけど、僕はしなかった。

納得がいかない練習は絶対にしたくないと強く思っていたので、ウサギ跳びとかそういう類いの練習は一切しなかった。

主将になるまで、ほぼ全体練習にも参加しませんでした。  

小さい頃から日本人じゃないような考え方を持っていて、そういうのが当たり前というみんなの常識が、僕の中では常識ではなかった。

日本ハム入団1年目のキャンプで、2軍監督と面談した時も、「君は何が一番大事なんだ」と聞かれ、「納得がいかない練習だけはしたくない」と答えたくらいです。

* * *

朝日新聞もこういう優れたインタビュー記事については『以下、有料会員限定記事です』などと言わないで欲しい。

購読者じゃなくても全文がネットで読めるような太っ腹なところを見せて欲しいのですが・・・

(ちなみにニューヨークタイムスは購読者じゃなくても、多くの記事の全文が読めます)

* * *

ダルビッシュは、監督が右と言えば、右、そういうことが当たり前の環境にあっても、はたしてそうだろうかと常に自分の頭で考えて行動するようにしていた、と言います。

近くの図書館に行けば新聞はあると思いますので、ご覧になってみることをお勧めします。

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2018年1月 2日 (火)

世界平和の日

1月1日は、ローマ・カトリック教会が「世界平和の日」と定める日。

この日にちなんで、ローマ・カトリック教会のフランシスコ法王は、原爆が投下された直後の長崎で撮影された少年の写真とともに「これが戦争の結末だ」というメッセージを添えたカードを配布するよう指示しました。

NHKニュースが伝えています。

『こちら』をクリックしたときに現れる写真の右下の再生マークを押して、1分11秒のNHKニュースを是非ご覧になってみてください。

1枚の写真は百の言葉よりも多くを人々の胸に刻み込みます。

Nagasaki_2

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2017年3月 1日 (水)

極度の心配性の人間だけが変化に適応できる

これはインテルのアンディ・グローブの言葉です。

1996年に彼が著した本のタイトル 『Only the Paranoid Survive』 を訳したものなのですが、

日本では『パラノイアだけが生き残れる』との言葉で広まっているかもしれません。

             Intel_3   

一昨日のテレビ (『こちら』) で、

「企業は高いマーケットシェアと利益率を取っていれば安心なのか」

といった趣旨の質問がありました。

私は「そんなことはない」と答え、それを説明する為に、思わず頭に浮かんだのが、このアンディ・グローブの言葉でした。

パラノイア(偏執病)とも形容しうるような極度の心配性。

これをもってしてインテルの経営にあたっていたグローブのことを思うにつけ、

それとは対照的に、例えば東芝の経営陣は、

何であっさりと安直に米国のCB&Iストーン・アンド・ウェブスター社(S&W)を買収してしまったのか、

不思議でなりません。

アンディ・グローブはスタンフォードのビジネススクールで教鞭をとることもしていました(『こちら』 および 『こちら』)。

彼から直接教えを受けたという日本人も多いと思います。

インテルの執行役員だった板越正彦氏はネット上に 『こんな記事』 を残しています。

早いものでアンディ・グローブが亡くなってからほぼ1年になります。

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