2021年4月11日 (日)

電子の目

真っ暗な田舎道を対向車と行きかう時、対向車のドライバーを即座に見分け、その部分だけにハイビームが当たらないように配光してくれる。

こんな機能を持つクルマが5年くらい前から市販されています。

このほかに道路標識を随時読み取り、現在走る道路の制限速度をインパネに表示してくれるクルマとか、

前方に障害物があるときには勝手にブレーキをかけてくれるクルマとか・・。

クルマが「電子の目」を持つようになったことで安全性が随分と向上しました。

さて、この「電子の目」にあたる『クルマ用イメージセンサー』(画像半導体)の分野で世界最大のシェアを持つのが米国のオン・セミコンダクター(ON Semiconductor)。

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    (出所:2020年7月28日付 日経新聞、『こちら』

もともとは米モトローラの半導体部門でした(本日の日経新聞「私の履歴書」にモトローラの半導体部門の話が出てきます)。

それが1999年。

モトローラからディスクリート半導体やアナログIC、標準ロジック部門などがスピンオフの形で切り離されます。

つまり親元のモトローラから見れば、余り成長が期待されず、親の足を引っ張りかねない部門を切り出すことで、親の株価を上げようとしたーこういったような背景があったのかもしれません(あくまでも私の勝手な推測です)。

しかし、ここからがオンの凄いところ。

次のように毎年のように企業買収を繰り返していきます。

2006年LSI Logic、

2008年AMI Semiconductor、

2009年PulseCore Semiconductor、

2010年California Micro Devices、

2011年三洋半導体とCypress Image Sensor Business部門、

2014年Aptina ImagingとTruesense Imaging、

2016年Fairchild Semiconductor

こういった買収を繰り返すことで、オンはクルマ用CMOSイメージセンサーで世界シェアトップに躍り出ます(『こちら』)、

更にはパワー半導体の分野ではドイツのインフィニオンに次ぎ、世界2位の地位を確保するに至っています(日経新聞、4月9日)。

「2020年ー2021年」の日本カー・オブ・ザ・イヤーを受賞したのはスバル『レヴォーグ』ですが、このクルマの新しい『アイサイトX』。

この目となるイメージセンサーとして搭載されているのがオン・セミコンダクターの2.3Mイメージセンサー AR0231(『こちら』)です。

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ちなみにオンの株価ですが、1年間で3.1倍になっています。

On-semiconductor

グラフで、上からオン(青)、エヌビディア(緑)、半導体30社で構成されるフィラデルフィア半導体指数(黄色)、S&P500(赤紫)。

今後もクルマの電子の目が進化し活躍していくことが期待されます。

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2021年4月 4日 (日)

完全無人タクシー

米国アリゾナ州の郊外では完全無人タクシーが走っています。

スマホでタクシーを呼ぶと、やってくるのは運転手がいない無人タクシー。

  Waymo3

アルファベット(グーグル持ち株会社)の子会社ウェイモの自動運転車です。

すでに200億マイル(320億キロ)の走行テストを重ね、地元チェンドラー市のKevin Hartke市長によると、「人間が運転するよりずっと安全」なのだとか。

  Waymo2

昨年1年間で18件の事故に巻き込まれたと言いますが、そのほとんどは人間が運転する他の自動車による交通違反に起因するものとのこと。

新型コロナの感染リスクを心配する人にとっても無人タクシーは好評のようです。

  Waymo1

NBC放送の「Today」という朝の番組が報じました。

『こちら』でこのニュース(3分35秒)をご覧になれます。

番組のスタジオトークの部分は要らないという方は『こちら』のYouTube(2分53秒)をどうぞ。

完全無人タクシーが増えてくると、タクシーの運転手さんが職を失うという社会問題も出てきそうです。

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2021年3月 7日 (日)

10年違えばぜんぜん違う

『2030年:すべてが「加速」する世界に備えよ』を読みました。

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斬新なカバーで、否が応でも目に入ってくる・・装幀者を見たら水戸部功さんでした(『こちら』)。

この本は昨年米国で出た『The Future Is Faster Than You Think』の翻訳本。

原書の方は3部作の三冊目であることを『はじめに』で明記しているのですが、翻訳本ではなぜか原本の『FOREWORD』の最初の頁(3パラグラフ)が全て飛されて翻訳されず、3部作ということが分からないような形で出版されています(それ自体、翻訳本によくあることで、別にどうということはないのですが)。

さて、2030年というと、いまから9年後。

本書を読まなくとも時代は相当変わっていることが(ある程度は)想像できます。

逆に今から10年前を振り返ってみるとどうでしょう。

現在の情景は当時(10年前)には想像もつかなかったような気がします。

たとえばウーバーイーツで注文して昼食や夕食を食べることが都心でリモートで働く多くの人にとっては日常化してきています。

ちなみにウーバーは配達員を20万人へと倍増し、今年中に日本全国にサービス展開するのだとか(『こちら』)。

なおウーバーイーツが始まったのは米国で2014年、日本では2016年です。

10年前というと、スマホも iPhone4 が2010年に出たところ。

このときは3Gの世界です。

4Gのサービス開始は2015年。

クラウドも今ほど一般化していませんでした。

そしてなによりもウィンドウズは「7」でした(「10」のリリースは2015年)。

以下は『2030年』の一節です(47頁)。

「2006年には小売業は絶好調だった。

シアーズの時価総額は143億ドル、ターゲットは382億ドル、ウォルマートはなんと1580億ドルだった。

一方アマゾンと言う名のベンチャーのそれは175億ドルだった。

それが10年後にはどうなっていたか。何が変わったのか。

大手小売業は苦境に陥った。

2017年にはシアーズの時価総額は94%減少し、わずか9億ドルとなり、まもなく倒産した。

ターゲットはもう少しましで、550億ドルになっていた。

最も成功していたのはウォルマートで、時価総額は2439億ドルに増加していた。

だがアマゾンはどうなっていたか。

『エベリシングストア』の時価総額は2017年には7000億ドルに膨らんでいた(岩崎注:先週末現在1兆5110億ドル)」。

このように10年経てば、世の中は圧倒的に変わります。

もう一つの例。

2000年のことです。

ネットフリックスのCEO、ヘイスティングスは、何か月もアプローチした結果、やっとのことでブロックバスターのCEOに会うことが出来ました。

当時のブロックバスターはヘイスティングの言葉によると

「ぼくらの1000倍もデカい」会社でした。

「5000万ドルでネットフリックスを買収して欲しい」

ヘイスティングスは、こうブロックバスターに頼みますが、断られてしまいます。

しかしそれから10年後の2010年。

破産したのはブロックバスターの方でした。

今ではネットフリックスの時価総額は、2287億ドル。

「高すぎる」とブロックバスターに言われた5000万ドルの4500倍以上になっています。

このように10年間という期間は世の中を大きく変化させてきました。

しかし『2030年』の著者は「これから先の10年間はきっともっと凄いに違いない」と考えます。

「exponential (指数関数的)な変化」、

「Turbo-Boost(ターボ・ブースト)」(注:翻訳本では訳出されず)とか

「The Acceleration of Acceleration(加速が加速する)」

といった言葉が出てきて、これからの10年は「サプライズに満ちたものになる」と予想します。

本書に出てくる「ハイパーループ」。

「磁気浮上技術を使い、筒状の真空チューブ内で乗客を乗せたポッド(車両)を最大時速約1200キロで走行させる、高速交通ネットワークだ。

うまくいけばカリフォルニア州を35分で横断できる。

商業用ジェット機を上回る速さだ」(本書41頁)。

「最高技術責任者のジーゲルはこう語る。

『ハイパーループが存在するのは、パワーエレクトロニクス、計算論モデリング、材料科学、3Dプリンティングの加速加速度的進歩のおかげです。

計算能力が非常に高まったので、今ではハイパーループのシステム全体の安全性と信頼性をクラウド上でシミレーションできるようになりました。

さらに製造面のブレークスルーとして、電磁気システムから大規模なコンクリート建造物までを3Dプリンティングで製造できるようになり、コストとスピードが飛躍的に高まったんです』

このようなコンバージェンスの結果として、今では世界中で大規模なハイパーループ・ワンのプロジェクトが10件進行中だ。

開発のステージはさまざまだが、シカゴとワシントンを35分で結ぶプロジェクト、プネからムンバイまで25分で結ぶプロジェクトなどがある。

ジーゲルによると

『ハイパーループは2023年の認可取得を目指しています。

2025年までに複数のプロジェクトの建設を進め、乗客を乗せた試験走行も実施する計画です』」(本書42頁)。

イーロン・マスクが最初にハイパーループの概念について語り始めたのは2012年。

2014年にはハイパーループ社を設立。

2017年には英バージングループ(the Virgin Group)創設者ブランソン(Richard Branson)の資本を受け入れ、バージン・ハイパーループに社名変更。

コロナ禍の昨年11月8日(日曜日)の夕方です。

人間を乗せた最初の試験走行がネバダ州の砂漠で行われました。

走行距離はたったの500メートル。

それでも時速173キロに到達したのだとか・・(注:いずれ時速1200キロになることを目指している)。

実験に参加したのはサラ・ルチアン(Sara Luchian; director of customer experience)と最高技術責任者のジョシュ・ジーゲル(Josh Giegel)。

このときの様子は『こちら』の動画(1分31秒)でご覧いただけます。

Hyperloop

(写真はハイパーループのポッド内のジョシュ・ジーゲル(左)とサラ・ルチアン(右))

10年後の未来はこのように明るいものであって欲しい・・。

こう切に願うところですが、一方で警鐘を鳴らす人もいます。

バークシャーハザウェイの副会長、チャールズ・マンガ―(97歳)。

いわく、

『現在流行っているSPAC(特別目的買収会社)はクレージーな投機だ。

上場されるべき会社はまだ発見もされていないし特定もされていない(注:空箱のまま上場するので)。

これは腹立たしいほどのバブルだ。

投資銀行はこんな糞のような金融商品であっても売れるものは何でも売る。

こんな商品がない方が世の中は上手く行くのに・・。

SPACの熱狂は悪い結果に終わるに違いない。

それがいつになるかは知らないが』『こちら』および『こちら』)。

デストピアが来ないことを祈ります。

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2020年12月 1日 (火)

ハリウッドと日本のコラボ

米国のコンサート市場の規模は3兆6000億円。

本日(米国時間昨日)のMarketWatch(ウォール・ストリート・ジャーナルの兄弟会社)によると

「この市場が新型コロナウイルスの影響で動揺を余儀なくされている」『こちら』)。

この空いた空間を埋めるべく、米国ではバーチャルコンサートの市場が形成されつつあります。

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上記の記事によると、実際にインタラクティブな形でコンサートに参加できるプラットフォームを提供するのが、ベンチャー企業の「アニフィー社」

アニフィー社は、日本と米国、両国の経営陣、技術、資金がコラボした形で運営されている会社。

ハリウッドの著名なプロデューサー、パトリック・ウッドランド氏や、グラミー賞を受賞したプロデューサーのジョン・エッチェン氏などが同社に参画(両氏とも同社副社長)。

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同社ウッドランド副社長によると、

「当社の事業は、コロナウィルスの前から始まっています。Anifieは、もともとは、引きこもりの人や家から出れないような人達のために設計されました。インタラクティブな音楽とコミュニティは、傷ついた心を癒やし、人々を寄せ集め、忘れられない瞬間を作り出せます」

とのこと。

困難な時に新たな事業が生まれる・・。

今年3月にセコイアが投資先のCEOたちに送ったレター(『こちら』)の言葉を思い出しました。

「多くの、後に伝説となるような会社は、困難の中で、鍛えられ磨き上げられてきた。・・制約は(思考をつかさどる)心をフォーカスさせる。そして創造性を産み出す肥沃な土壌を提供する」

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2020年3月18日 (水)

17歳の高校生が開発したデータ・シートが凄い!

シアトルに住む17歳のアヴィ・シフマン君。

彼が開発したコロナ・ウィルスのデータ・シートは刻一刻と変わる現況を克明に把握。

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現在、総感染者は204,000人。

死者が8,200人。

私はこれまでWHOのデータを見ていましたが、シフマン君のデータの方がはるかに分かりやすく全貌が把握できます。

『こちら』をクリックすることで、刻一刻と変わるデータの「その時点での数字」が掴めます。

これを見ると、イタリア(7.9%)、中国(4.0%)、日本(3.5%)の致死率が高く、

逆に、ドイツ(0.3%)、ノルウェー(0.3%)、オーストリア(0.2%)の致死率が低いことが分かります。

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2020年3月 1日 (日)

アメリカ合衆国のCTO

CTO とは Chief Technology Officer (最高技術責任者)の略。

例えばアマゾンであれば Werner Vogels が CTO、フェイスブックであれば Mike Schroepfer がCTOを務めます。

ところで、アメリカ合衆国にもCTOがいることは意外と知られていません。

米国の歴代CTOのリストは『こちら』

第3代(2014-17)のCTOはMegan Smith

          Megan_smith_official_portrait

MITを出て、アップル、General Magic、グーグルなどで活躍。

           General-magic

一昨年、General Magic の映画が公開(トレイラーは『こちら』)されましたが、若い頃(30年前)の Megan Smith が出てきます。

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2019年12月 8日 (日)

5,000万人という節目(マイルストーン)

ある商品なりサービスが提供され始めて、5,000万人の利用者を獲得するのに、どれくらいの時間がかかるんでしょうか。

Internet

実際にかかった年数を調べてみると:

自動車  62年

電話  50年

テレビ 22年

コンピューター 14年

携帯電話  12年

インターネット  7年

 iPod  4年

ユーチューブ  4年

フェイスブック  3年

ツイッター  2年

ポケモンGO   19日

Milestone

世の中のスピードがどんどんと速くなる。

こう説明するのはニュージャージー工科大学経営大学院Reggie J. Caudill教授。

教授のスピーチ(1分間の動画)は『こちら』でご覧いただけます。

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2019年10月23日 (水)

iPhone11

日本ではあまり報じられていませんが、海外ではiPhone11の売れ行きが好調(『こちら』『こちら』の記事)。

このためアップルの株価は今月に入って、史上最高値を何度か更新。

22日(火)にはとうとう 241.95ドルにまで上がりました(もちろん史上最高値;米国時間22日11時25分現在)。

        Iphone11_20191022215201

         (Photo from Apple Japan's site)     

実は日本でもアップルストアの前には、銀座でも表参道でも長蛇の列。

これはiPhone11を買い求める客の列だそうで、iPhone以外の客(Apple Watchを買うなど)は、列に並ぶことなく店に入れます。

iPhone11を求めて列に並ぶ人たちの中には、中国の人も多く見受けられます。

中国でのiPhone11 Pro Max(64GB)の値段は9,599元(14万7千円;『こちら』)。

日本のアップルストアでは11万9800円(税別価格)ですから、並ぶ価値があるのかもしれません。

ところで、このiPhone11。

同じ日本の中でも、どこの店で買うかによって、値段がみんな違います(分割ではなく一括で買う場合で比較すると、最高値と最安値で2万円くらいの差が!)

キャリアのショップ(ドコモショップなど)に比べれば、アップルのサイトやアップルストアが安いようです(家電量販店はその中間?)

もっとも下取りに出すiPhoneがあったりすると、下取り価格も違ったりして、ちょっと複雑。

気になる方は事前に少しチェックしてみることをお勧めします。

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2019年10月 8日 (火)

20年前のべゾス

アマゾンの創業者、ジェフ・べゾス。

CNBCは今年になって20年前のインタビュー動画をネット上に公開しました(『こちら』)。

6分30秒。

当時べゾスは35歳でした。

さすがに若いですね。

      Cnbc

(From https://www.cnbc.com/video/2019/02/08/jeff-bezos-1999-interview-on-amazon-before-dotcom-bubble-burst.html)

さて、インタビューが行われたのは、1999年7月13日。

アマゾンが上場してから2年が経っていました。

当時の株価は63ドル。

現在は1,732ドル(昨日)ですから、27倍になっています。

実はアマゾンは上場後も長い期間、赤字でした。

ちなみに、この年の赤字額は▲7.2億ドル(▲770億円)。

取扱商品も当時は今よりもずっと少なくて、書籍、音楽、DVD、ビデオのみ。

インタビューが行われた1999年7月に、ようやく玩具とエレクトロニクス(テレビ、PCなど)を始めたところでした。

現在ではアマゾンの稼ぎ頭となっているクラウド・サービスのAWS(Amazon Web Services)。

AWSも、もちろんまだありませんでした(AWSがlaunchされるのはこの7年後の2006年)。

インタビューにも出てきますが、当時のアマゾンの従業員数は3,000人。

それが現在では、200倍以上の647,000人に膨れ上がっています。

「あなたは激しいギャンブルをしている(You're making intense gambling here)」

とのインタビューアーの問いかけに対して、

「我々がやろうとしていることはひじょうに複雑な(complicated)ことです。

実際にビジネスを執行する上では、とてつもないリスクがあります(there is huge execution risk involved)」

とべゾスは回答。

しかしその目は自信に溢れていました。

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2019年9月30日 (月)

マイクロソフト・ナデラ会長による「2019年 Inspire + Ready Corenote Video」

マイクロソフト、ナデラ会長による「2019年 Inspire + Ready Corenote Video」。

ここで、日本の「ゑびや」の事例が紹介され、世界的に注目を集めています。

100年続く老舗の食堂「ゑびや」。

ここで働く「アキヨシ」さんは、近くのパソコン教室に通いながら、授業の合間にマシーンラーニングの本を読んで、AIの勉強を始めたのだとか・・。

世界が注目した「ゑびや」のビデオについては『こちら』でご覧になれます。

わずか2分のビデオです。

「英語のビデオだと苦手」という方もいるかもしれませんが、日本の事例です。

話し言葉は全て日本語。

これに英語の字幕をつけて、全世界に向けて発信しています。

もう少し詳しく「ゑびや」の事例を知りたいという方は『こちら』が参考になります。

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